岡豊撃沈
裏日本旧高知県旧岡豊市…
「…ジジイども、そっちはどうだ?」
国繁は小さな端末を手に戦線を支えている艦隊に繋ぐ。
小さな端末から幾つもの画像が表示・展開し、その中の五つがブラックアウトし、三つはノイズが酷く、二つは血肉に塗れた何かが映り、残りの二つのみが正常に映る。
「もう駄目だと?泣き言を言うな!…すまん、あの閃光を見てから兵達の士気が大きく下がっている、これ以上は難しいだろう」
「我が艦隊はしぶとさでは負けんぞ!僚艦を庇いつつ攻撃を加えい!…コッチはもう保たん、粘ればあと一、二分は保つがどうするんじゃ?」
四国勢が総崩れになっている中で唯一戦線を支えている堀と久武が指揮を執りながら国繁に伝える。
「もういい、キリのいいところで手筈通り逃げろ、向こうには話はつけてある」
艦隊がほぼ壊滅状態な事に少々面を顰めるが、堀と久武が健在な事に国繁は少しだけ安堵した様な口調で言う。
「…儂もまだまだよ、こんな事では四国の民に笑われてしまうわ」
「むう、口惜しいがこの負け戦ではなぁ…」
「しかし、天霧をはじめとする敗残兵を悉く避難させ、最後まで戦線を維持したのは貴殿らの艦隊のみだ、流石はしぶとさに定評のある偏屈ジジイどもといったところか」
国繁は少々微笑みながら言う。
「…褒め言葉ととっておこう」
「貴様に言われたくないわ、もういいなら儂らは逃げるぞい!貴様もさっさと準備を整える事じゃな!」
堀と久武はそれだけを言うと、敬礼をしてから回線を切る。
「………」
「堀艦隊が撤退を開始、間も無く最終防衛線が突破されます」
市街地に展開していた久武艦隊をはじめとする四国反政府連盟の凸マークが転進するや、政府軍の凸マークが二手に分かれて市街地に雪崩れ込んでいくのが国繁の眼に映る…。
「民の避難状況はどうか」
「予定より1時間早く完了し、現時点では地下政府が手筈通り避難民を受け入れているとの報告がありました」
「ふむ」
国繁の言に副官が知らせ、国繁は何かを決意した様に席を立つ。
「戦もいよいよ終いよ、残存する全ての部隊に通達せよ、よう戦った、手筈通り速やかに離脱せよとな」
「了解!告!残存する全ての部隊は速やかに離脱せよ!繰り返す、残存する全ての部隊は速やかに離脱せよ!」
国繁は席を立って言い、副官は予め纏めておいた回線に素早く繋ぎ、残存する部隊に伝達する。
「皆もよう戦った、ここから先は儂のみで良い、残る総ての者は地下へと逃れよ」
「本艦はここで固定する、総員退避せよ!」
「総員退避だ!急げ!」
国繁と艦長が総員退避命令を出すや、岡豊の乗組員達が慌ただしく去っていく。
数分後には国繁と艦長を除く乗組員達が全て艦を降り、岡豊のブリッジが静寂に包まれる。
「…貴様は降りんのか?」
静かになった岡豊の中で、国繁は敵部隊の動きを映しているモニターを見ながら言う。
「…私は岡豊の艦長です、岡豊級戦艦の一番艦であるこの艦の最期…見届けねばなりません」
艦長は自動操縦システムのチェックをしながら言う。
「その役目は儂が承ろう」
「…いいえ、私はこの艦が就航してから艦長を務めてまいりました。どうせなら最期もこの艦と共にありたいものです」
艦長は岡豊の最終チェックをしながら国繁に言う。
「…しからば岡豊の真の力を用い、この艦の最期を飾りとうございます、皆の避難が成ったならば存分に戦ってみせまする」
「…無礼を詫びる、流石よ」
静かになった岡豊のブリッジの中で、国繁と艦長は真顔のまま呟く。
「…安芸代表殿」
「なんだ?」
「…老い朽ちるのを待つだけの私に声をかけていただいた事、感謝致します」
艦長は国繁に向かって深々と頭を下げて礼をいう。
「…此方こそ、隠居の身にもかかわらず若造の我儘に付き合っていただいた事、感謝いたします」
国繁も艦長に頭を下げて礼をいう。
「………」
「………」
国繁が下げた頭を上げ、艦長に向かって何かを言いかけるが…。
-チュン-
「…む!?……、………、………」
-ガクッ-
突然、国繁の背後に人影が現れ、国繁は気絶する。
「…わりい、ちょっくら眠っちゃりや」
「…御免」
国繁の背後には日に焼けた肌と鍛え抜かれた身体とやや長い顎髭が特徴的な青年…式部と、倒れそうになった国繁を支える童顔の青年…秦野の姿があった。
「秦野、式部、代表殿は任せる」
「…親父は儂らが守っちゃるき、クソジジイ」
艦長は秦野と式部に国繁の身柄を託し、式部は涙を堪えながら艦長に言う。
「…ジジイ、化けて出んなよ」
「…時間がない、さっさと行かんか!」
秦野は国繁を背負いながら艦長に言い、二人を見かねた艦長は一喝する。
「行くぞ秦野、もたもたしちょる暇はないぜよ!」
「…わぁった」
秦野と式部は国繁を担いで岡豊から脱出し、ブリッジには艦長のみが残る。
艦長は暫く式部と気絶した国繁を担いで走る秦野の姿を見ていたが、暫くして艦長席に座る。
「…(代表殿は四国の民、いや…世界の民の為にも生きて貰わねばなりません、この様なつまらぬ戦で散っては誰が地下に逃れた民を守りましょうや、誰が馬鹿共を抑えましょうや。代表殿は生きて民を御守りくだされい)」
艦長は誰も居なくなったブリッジの中で思案し、最期の戦場に向かう…。
旧岡豊市街には既に政府軍の大部隊が展開しており、残敵掃討をしつつ岡豊に迫ってきていた。岡豊はステルス擬装を付けたまま沈黙を続け、只管に政府軍のZW部隊や艦艇を引きつける。
「…あやつらもそろそろ離脱できる頃か、岡豊の真の力…時代に忘れ去られた力が通じるとは思わんが、この艦と四国勢の意地を見せるには十分よ」
艦長は退艦した乗組員達の避難状況と敵の位置を確認しながら呟き、艦長椅子にある端末の封印を解く。
-ゴゴゴゴゴゴゴゴ-
艦長は椅子の手掛けにある蓋を外し、その中にある虎枠で囲われた強化ガラスのカバーを拳で叩き割り、叩き割った衝撃でカバーの中にあったボタンが押されると、旧岡豊市街全域に地震が起きたかの様な揺れが襲い、次に地割れが起きて地形が変わっていく…。
中央広場の外枠から対艦隊防壁が盛り上って岡豊の四方八方を囲って保護し、ある区画は沈下し、ある区画は隆起して円を描く様に回転。
いい加減に設置されていたかの様な各地の対空砲が整然と配置され、地下からは新たな対空連装砲が姿を現して凄まじい弾幕を形成。空を飛ぶZWや小型巡洋艦を次々と撃破していく。
普通の町並みだった旧岡豊市街が瞬く間に要塞に変貌を遂げる。
旧岡豊市街に展開していた政府軍のZW隊は町並みの変化に巻き込まれて陣形が乱れ、動揺したZWパイロットは飛翔して対空連装砲の餌食になり、またあるZWと陸上艦艇は岡豊の放った単装砲の直撃コースに誘導されて撃破されていった。
旧岡豊市街に向かってミサイルや弾の嵐が伸びるが、変化する対空砲によって悉くが迎撃され、仮に弾幕をすり抜けても岡豊の四方八方からせり上がっていた対艦隊防壁がそれを跳ね返してしまう。
レーザーなどの兵器は、対艦隊防壁によって歪曲した後、旧岡豊市街内に巧妙に仕組まれていた数多の特殊鏡面装甲板が絶妙な角度を付けて反射を繰り返し、死角からのレーザー射撃を受けた政府軍のZWが爆砕する。
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-ゴゴゴゴゴゴゴゴ-
「なんだい!?」
「地震…?」
旧岡豊市街で残敵掃討をしつつ岡豊を探していた弓菜達は、変わっていく市街地に驚く。
「結依菜、何が起きている」
「…旧岡豊市全域が変形してます、まるで…要塞の様に…」
巽の問いに岡豊の位置と状況を分析していた結依菜は冷静に答える。
同時に数多の方角からレーザーが迫る。
「…要塞の形状に該当データあり、聖戦時に築かれた防衛型要塞の一部と断定。皆は方円陣を組んで防御体制を取りつつ、私の動きに付いてきて、姉さんと義兄さんは準備が整うまで私を守って下さい」
結依菜は冷静に言い、端末を操作しながら回避運動を取る。
「ちょっ!?こんな無理ゲー!?にゃぁぁぁん!」
「いいっ!?予測出来ないよ!?ヒャァァァン!」」
「だぁぁぁ!煩いわ!!もう少し静かにできんのか小娘共!!結依菜を見習え!」
文紀と穣が叫びながら器用に回避運動を取り、二人の声に耐えきれなくなったラバンが怒鳴る。
「だってですよ!?こんなっひぇぇぇ!!」
「そうだって!このレーザーの雨を前にって危なっ!?」
「お前ら余裕なのかふざけてんのかどっちなんだ!?」
ラバンの怒鳴り声に文紀と穣が反論しつつレーザーを回避し、ラバンは更に怒鳴る。
「………」
三人の喧しいやり取りに取り残された霊司は、一人で地味にレーザーを防ぎ、地味に三人を守っていたが、誰も気に留めなかった。
「こんな切り札を隠していたとはな、唯の反乱軍と侮った事、改めねばならんな…。それと噂の紅蓮と影…、奴らの腕、練度もかなりのものと見た、ネオンプラス4型であそこまで動ける奴は数少ない、新型機を与えられないからと侮った事も改めねばな…!」
レイスは数多の方向から迫ってくるレーザーを器用に回避し、弓菜と巽の働きを見ながら呟く。
「…これがテイロンのZW隊か、このレーザーの雨を前にこの余裕、白鷹艦隊と互角にやりあえる精鋭の評判も納得だな…」
遼はレーザーを回避または防御しつつラバンと文紀と稔のやり取りを聞きながら感心する。
-ビシュゥゥゥン-
-バチュゥゥゥ-
「結依菜、姉ちゃんがしっかり守ってやるさね!集中しな!」
市街地から反射してきたレーザーが結依菜のネオンプラス4型に迫るが、弓菜の/ネオンプラス4型がディフェンス・コードでレーザーを打ち消して結依菜を護る。
「うん、ごめん…暫く待っててね」
結依菜は端末を弄りながら弓菜に言い、要塞の掌握にとりかかる。
しかし、レーザーが予測外の方角から迫って来たり、上からは撃墜された友軍機が墜落してきたりでどうにも集中出来ない。
「…(今のシステムとは違う分、遺跡そのものの掌握は困難。でも遺跡は聖戦の激戦で土台のみを残して消滅した筈、再利用にあたって修復に使ったパーツは今のものに違いないわ、そこから進入出来れば…)」
結依菜は思案しつつ岡豊を中心に変化している町並みを見ながら複数の端末を操作しながら移動する。
-シュン-
-ズゥゥン-
「…っ!?」
「結依菜!」
予想外の方角からレーザーが迫り、結依菜のネオンプラス4型がバランスを崩すが、弓菜の/ネオンプラス4型に支えられる。
「結依菜、大丈夫かい?」
「…大丈夫、ありがとう、姉さん」
弓菜は直接回線で結依菜の身を案じ、結依菜は衝撃でズレた眼鏡を直しながら弓菜に言う。
「岡豊の武装は実弾がメイン、…よもやこのレーザーの雨は味方の放ったレーザーが反射しているのではあるまいな」
巽は弓菜機と結依菜機に迫るレーザーをシールドとディフェンス・コードで防ぎながら呟く。
「…おそらくそうかと。(一般家屋のソーラーパネルや道路のカーブミラー、反射板に可変型の特殊鏡面装甲板を仕込んでいるのね、先ずはこれらを排除しないと掌握作業どころじゃなくなるわね)」
-ズガァン-
-ドゴォォン-
結依菜は巽の呟きに反応しつつ、先ほど友軍機を撃墜したレーザーの方角を逆算して軌道を割り出し、ソーラーパネルやカーブミラーに向けてハイブリッド・ライフルを放って破壊する。
「姉さん、義兄さん、先ずは周辺のカーブミラーと反射板の破壊を優先して。このままじゃ味方のレーザーにやられます」
「任せときな!」
「任せろ」
結依菜は左右を固めている弓菜と巽に指示を送り、弓菜と巽のネオンプラス4型はカーブミラーと反射板を次々と破壊していく。
同時に結依菜は死角になるであろう部分を計算しつつ、その位置に移動する。
-ビシュゥゥゥン-
-ボゥゥゥッ-
「…(ビンゴ、明らかに反射間隔、角度補正、命中精度が下がったわね、これで…!)」
迫るレーザーがその部分だけを何度も避けて過っていくや、結依菜は確信する。
「皆さん、レーザーやビームを使わずに一般家屋のソーラーパネルや道路のカーブミラー、反射板、標識、看板、公園のクリスタル状のオブジェを優先的に破壊して下さい。今私達を襲っているレーザーはおそらく味方の放ったレーザーがそれらに反射・拡散して彼方此方に襲いかかっているのでしょう、先ずはこれらを破壊して反撃の準備を整えましょう」
結依菜は次に皆に特殊鏡面装甲板の仕込まれた物の破壊を指示する。
「ちょい待ち、何故そう言えんだ?」
「…証拠はあるのか?」
「…はい、上空の友軍機、岡豊を護る壁、輝く町並み、友軍機、そして私の位置、これらを順に見ていけば自ずと疑問が晴れる筈です」
ラバンとレイスが結依菜に言うが、結依菜はその位置に停止してラバン達に証拠を示す。
友軍機が攻撃しているのは実体弾とレーザーで、レーザーは岡豊を護る壁が悉く下に反射、そして反射したレーザーは町並みの各所に仕込まれた特殊鏡面装甲板に何度も反射・拡散し、地上部隊の友軍機に迫るのがラバン達の目に映る。
「…如何ですか?」
「ほう…なるほどな、大したもんだぜ」
「…あの一瞬でよく見ていたな、並の能力では無いな」
落ち着いてそれらを見ていたラバンとレイスは納得し、結依菜の冷静さと分析能力に感心する。
「えっと、兎に角レーザーが反射しそうなものを破壊すれば良いのよね?結依菜ちゃん」
「…はい、可能な限りでお願いします」
「よし、お姉ちゃん達に任せなさいって!」
「おりゃおりゃぁ!」
-ズガァン-
-ドゴォォン-
文紀は結依菜に尋ね、結依菜は謙虚に言うや、文紀と穣は気合を込めて周辺にあるミラーや標識を破壊していく。
「おっし野郎ども!反射しそうなもんは片っ端からぶっ壊せ!」
「「おおおお!」」
ラバン達も文紀達に負けじと周辺にあるミラーや標識などを破壊していく。
テイロン隊の破壊活動で結依菜達の居る区画は次々と特殊鏡面装甲板を失い、徐々にレーザーの反射間隔が長くなっていき、命中精度も大幅に落ちていく。
「…(これで落ち着いて作業に専念出来る、あとは櫓と堀を黙らせれば、岡豊は裸の城も同然ね)」
結依菜はレーザーの安全地帯を確保するや、次は電子戦対応の防衛要塞に進入するべく複数の端末を操作して進入口を捜索、軈て新旧の継接ぎ部分を見つけるや、そこのセキュリティを容易く突破して進入し、岡豊の他の制御システムを突き止める。
「…(ここを掌握すれば外堀は埋まるわね、でも内堀はこことは別になっているから岡豊が制御下に置いているとみて間違いない、外からが無理なら懐に入り込んで掌握するまでね)」
結依菜は思案しつつ要塞の制御システムを掌握していき、要塞の外郭部分が動きを止めていく。外郭部分の町並みの変化と対空砲が沈黙し、政府軍の上空部隊と地上部隊は漸く進撃を再開する。
「…変化が止まった?」
「チッ、何処の誰のお陰か知らねえが感謝しといてやるぜ!」
「これで堂々巡りにならずに進撃できますね」
外郭部分で変化とレーザーによる足止めを食らっていた光牙達は、レーザーを回避しつつ岡豊に向かって進撃を再開する。
「…(…これは結依菜の仕業か、我が妹ながらよくやる)」
光牙は移動しながら思案し、少しだけ微笑む。
「外郭さえ突破出来れば、内郭が如何に堅固だろうと問題は無い」
光牙はNEエクスオーバスターソードの情報体を握りながら呟き、クラネオンⅢは凄まじい加速をかける。
「岡豊を潰すのは俺様が先かお前が先か、勝負するか?」
暁は光牙のクラネオンⅢの加速に追従しながら勝負を持ちかける。
「良いだろう、いざ!」
「勝負!」
-ドォォォォォォン-
光牙は勝負に乗り、二人の機体は凄まじい勢いで加速する。
「…(…浅野副会長、こんな勝負に乗るなんて、私に逃げろってことかしら?そうでなくてもそろそろ逃げるけど…)」
二人に置いてけぼりをくらった杏奈は若干呆れ気味に思案するが、直ぐに頭を切り替えて転進し、戦場からの離脱を開始する。
光牙と暁は一気に外郭を突破し、内郭に進入。岡豊と要塞の砲撃とレーザーの反射を巧みに交わして岡豊との距離を縮めていく。
「…突破されたか、要塞と岡豊の弾幕をものともせぬとは、あの黒いZWは差し詰め雷光というべきであろうか」
岡豊の艦長は急速に迫ってくるクラネオンⅢの姿を見ながら呟く。
次の瞬間には間近にまで迫って来たクラネオンⅢが一旦上昇し、NEエクスオーバスターソードを振り下ろしながら急降下してくるのが艦長の眼に映っていた。
-ゴォォォォォッ-
「せぇぇぇぇ!!!」
-ブゥゥゥン-
-ズガァァァァァァン-
-ドゴォォォォォォォォォン-
光牙の思念波の供給を受けたクラネオンⅢの思念波障壁がNEエクスオーバスターソードに纏い、急降下の勢いとともにそれを振り下ろし、直上からNEエクスオーバスターソードを叩きつけられた岡豊は、中央広場諸共凄まじい轟音を立てながら割れて陥没し、更に思念波障壁の暴発を受けて誘爆し爆砕する。
光牙は岡豊の爆砕の衝撃が来る前に思念波障壁を展開しながら加速し、勝負ありと見た暁も岡豊の衝撃に備えて、そのまま岡豊を通り過ぎる。岡豊と要塞の爆砕の衝撃で中央広場付近は壊滅し、地面には爆発で抉り取られた跡が残る…。
-ヒュゥゥゥン-
-ズゥゥン-
光牙のクラネオンⅢと暁のネオンプラス4型が着地し、直接回線を開く。
「…この勝負は俺の勝ちだな」
「へっ、ああまで粉々にやられちゃ文句無ぇ、俺の負けだ」
光牙は暁に言うと、暁はあっさりと負けを認める。
「へっ、なかなか面白かったぜ、機会があったらまた会おうぜ、浅野光牙」
暁はそれだけを言うと、さっさと戦場から去っていく。
「……っ、いかん…」
光牙は無言で暁のネオンプラス4型が去っていくのを見送るが、直ぐに己の消耗具合に気づき、休息場所を求めて移動を開始する。
-パラパラパラ-
-シュゥゥゥゥ-
岡豊を叩き潰した時の負荷に耐え切れなくなったのか、クラネオンⅢが持つNEエクスオーバスターソードの切っ先が折れ、刀身も所々が欠けており、クラネオンⅢも両腕部の損傷が酷くなっていた。
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「…遅かったわね」
衝撃の後に要塞が停止し、岡豊が撃沈したのを確認した結依菜は、掌握作業を中断して呟く。
「岡豊が沈んだのかい?」
「…うん、沈めたのは兄さんだと思う、兄さんとクラネオンⅢなら、あの位は容易い筈だから」
弓菜が結依菜に尋ね、結依菜は直感で弓菜に言う。
「ハッ、愛弟に美味しい所を持って行かれたね、さっさと光牙を迎えにいくよアンタ!」
「わかっているさ、全く…光牙も弓菜に似て無茶ばかりをする」
「アタシの愛弟だからね、何処かは似ているもんさね!」
弓菜は満足気に言い、巽はため息混じりに呟く。
「…私も兄さんを迎えにいきます」
「…いや、結依菜はラバン達と一緒にテイロンに戻って雫石を安心させてやれ、それとメカニック達から要請が来てな、倒れそうになるくらいフル稼働中だそうだ、結依菜にも是非手伝って欲しいらしい」
結依菜も光牙を迎えに行こうとするが、巽は結依菜にテイロンに戻るように促す。
「………、…わかりました、向こうも忙しい様子ですし、姉さんを頼みます」
巽の言に結依菜は少し訝しむが、直ぐに何かを察し、大人しく引き下がる。
「…アンタ、結依菜相手に下手な嘘吐くんじゃないよ」
「…ならどう言えば良い…」
結依菜が去った後、弓菜は少々呆れ気味に巽に言い、巽は真剣に悩んだ様子で弓菜に問う。しかし、弓菜からしっかりとした答えが返ってくる筈も無く、巽は業を煮やした弓菜に連れられて何処かに飛んでいく…。
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…岡豊が沈んだ後、国繁と秦野と式部は行方を眩まし、残る四国のレジスタンス達の殆どが地下へと避難していった…。
地下都市側は予てから国繁を通じて四国側と誼を通じており、新区画を開放して四国の民の受け入れ準備を済ませており、避難民のほぼ全員を新区画にある居住区に住まわせる事に成功している。
四国全域を屠った政府軍は四国反政府連盟の代表・安芸国繁は岡豊と運命を共にしたとして報道し、四国征伐の成功を強調していたが、肝心の安芸国繁の行方が不明である事に不安を感じ、ジャウキル中将の反対を無視して各地で大掛かりな残党狩りを決行する。
…裏日本ではまだまだ戦は終わりそうになかった。
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