激突〜降下
-ジジ-
-キュゥゥゥン-
「…停戦に導いた火力は健在か、メンテナンスはしていたようだねぇ」
ジャウキルはラフェンクルの火力を再認識しながら呟く。
-シュゥゥゥゥゥゥ-
-ギュゥゥゥン-
連装巨大共振粒子砲を撃ち終えたラフェンクルが主砲とVSDSの冷却システムを作動させ、白い煙の様なものが機体を包む…。
白煙の中…過回転による過熱で黄昏時の海面の様な光を放っていたVSDSは冷却によって光を失っていき、漆黒の装甲がVSDSの周囲を保護する様にして戻っていく。
-ギュゥゥゥン-
-ガギュゥゥゥン-
冷却を終えたラフェンクルは元の巡洋形態に戻っていく。
「…さて、この程度で怯んで欲しくはないがねぇ」
先程まで交戦していた敵艦隊が消滅したのを確認したジャウキルは、ラフェンクルのモニターに映し出されている戦場の動きを読みつつ呟く。
ラフェンクルの連装巨大共振粒子砲で前衛艦隊と海賊艦隊、制空権を失った四国勢は、反転攻勢を仕掛けた政府軍艦隊によって押し込められていくのがジャウキルの眼に映る…。
同時にラフェンクルの周りを親衛隊の艦隊とZWが固め、ムラウ艦隊が三列横陣に展開して砲門を開く。
その少し後に…先程まで交戦していた残存艦隊と海賊艦隊が再集結し、二手に分かれてラフェンクルに向かってくるのも見える。
「…機を逸したねぇ、既に遅いのだよ」
ジャウキルはラフェンクルに向かってくる艦隊を見ながら呟く。
「総員退避しろ!儂は一矢報いるまで残る!四国勢の底力を見せてやる!」
「弔い合戦だ!あんなものを使われて黙っていられるか!全弾撃ち尽くしてでも落とすぞ!」
「総員退避!これより先は自動操舵で十分だ!行け!」
四国勢の艦隊は乗員を退避させた後に半数がラフェンクルに向かい、半数は退避した乗員達を回収して後退していく。
「四国勢の残存艦隊、ラフェンクルに向かっていきます」
ムラウ艦隊の目である偵察型リグイースのパイロットが旗艦に信号を送り、信号を捉えた旗艦のオペレーターがムラウに伝える。
「つまらん事で中将の手を煩わせるなよ、中将の機嫌を損ねたら…あの砲門が何処に向くかわからんぞ」
ムラウは極めて冷淡な口調で言うや、ムラウ艦隊が艦砲射撃を開始。
ラフェンクルに向かっていた四国勢の艦隊は、側面からの艦砲射撃を受けて陣形を乱し、直後に迫ってきた魚雷群が四国勢の艦隊に牙を剥く。
-ドゴォォォン-
-ボォォォォン-
-チュドォォォォォン-
「くそ!こんなもんで下がるかぁ!」
-バキィィィィン-
-ズドォォォォォン-
四国勢の艦隊が艦砲射撃や数発の魚雷を受けて轟沈していく中、進撃をやめない艦艇があったが…。
-ヒュゥン-
「………」
-ガシッ-
-ズガァァァァン-
進撃を続ける艦艇に政府軍のZW・ルルゼイースが肉迫し、機関部に向けてハイブリッド・バスター・ライフルを放つ。
-バキィィィィン-
「!…ここまでかぁ!」
-チュドォォォォォン-
機関部にハイブリッド・バスター・ライフルの弾を受けた四国勢の艦艇は爆砕する。
他にも大破炎上した艦が尚も進撃していたが、他のZW隊がそれを順に始末していき、ラフェンクルに辿り着く前に四国勢の艦隊は全滅する。
「中将、後退した残存艦隊は淡谷艦隊に始末させましょう」
「いや、それには及ばんよ、奴等の退路には既に兵を伏せてあるからねぇ、私達は其々の攻め口に上陸するとしようか」
ムラウの提案にジャウキルは穏やかな口調で言う。
「ハッ、…兵とは先日降下してきた役立たず共の事ですか?」
ジャウキルの言に大凡の見当がついたのか、ムラウは冷めた口調で問う。
「はは、君にとってはそうだろうがねぇ、私にとっては可愛い部下だよ」
「………」
ジャウキルは冗談の様な口調で言い、ムラウは無言で淡路島の港に向けて移動を開始する。
親衛隊各機はジャウキルのラフェンクルに続き、ムラウ艦隊は淡路島の港を押さえると、旧徳島県上陸の為にジャウキル達と別れて転進する。
全長120mの巨体を持つラフェンクルが夜明けの空を不気味に飛行し、朝日の影がラフェンクルの黒い装甲と赤く煌めく装甲の隙間の不気味さを一層引き立たせている。
ラフェンクルの威容とムラウ艦隊の威嚇で戦意を喪失した淡路島の四国勢は政府軍に降伏し、ジャウキルとムラウ艦隊は一気に四国本土へと迫っていく…。
そんな中…。
-ピコッ-
「…うん?」
-ゴゴゴゴゴゴゴゴ-
ラフェンクルの各種レーダーが近畿から迫る正体不明の反応を捉え、ジャウキルはラフェンクルを止めて方向転換する。
次の瞬間…
-ビシュゥゥゥン-
-ドドドドドドドゴォォン-
「…!!」
数多の閃光が親衛隊のルルゼイースやリグイースⅢを貫き、ジャウキルを護衛していたZW隊の内、5機が爆砕。
-シシシシュン-
-バキィィィィン-
-ドゴォォォン-
直後に超長距離からの狙撃が親衛隊のZWを順に貫いていき、爆砕していく。
「…ほう、ほうほう…!」
-ギュゥゥゥン-
-ヴゥゥゥゥン-
ジャウキルは何かに気付いて呟きつつ、ラフェンクルを人型に変形させ、無線機動連装砲と多連装レーザー・クローを展開しつつ、尾部大出力レーザー・ソードで空を豪快に薙ぎ払う。
-バチゥゥゥゥッ-
-ガキィィィィン-
-グググググググ-
-バシュゥゥ-
直後にラフェンクルの多連装レーザー・クローが左右から迫ってきた何かを受け止め、尾部大出力レーザー・ソードが遠方からの狙撃を斬り払う。
-キィィィィィン-
-ヴゥゥゥゥン-
ラフェンクルのVSDSが多連装レーザー・クローの先にある何かの姿を暴いていき、ジャウキルの口端が僅かに吊り上がる。
「ふ、ふふ…君達か、前々大戦以来だなぁ」
-ガシュゥゥン-
-ウゥゥゥゥゥゥン-
ジャウキルは白銀のZWと弐閃、遠方にいるガン・ゼーヴァルの姿を見ながら呟き、ラフェンクルのVSDSを再び開放して出力を上げていく。
「…私が独立した動きを見せれば何らかの動きがあるとは思っていたが、まさか君達が来るとはねぇ」
-グググググググ-
-ヴゥゥゥゥン-
-ビシュゥゥゥン-
「………」
-ビシュゥゥゥン-
-バチュゥゥン-
ジャウキルは微笑みつつ、出力の上がった大型レーザー・クローで二機を薙ぎ払い、多連装ホーミング・レーザーを放つが、白銀のZWの両肩から放たれた88連装プラズマ破光砲・ヴァジュラで打ち消される。
-ヴゥゥゥゥン-
-バチュゥゥッ-
ジャウキルはラフェンクルの尾部大出力レーザー・ソードによる刺突と斬撃を白銀のZWに繰り出すが、弐閃の虎牙と龍爪によって切り払われる。
-シュシュン-
-ビシュゥゥゥン-
その隙を突くようにしてラフェンクルの頭部が狙撃されるが、ジャウキルは間一髪で回避し、肩部共振粒子砲を放ってガン・ゼーヴァルを牽制。
-ヴゥゥゥゥン-
-バチュゥゥン-
-シュシュシュン-
-ドドドドドドゴォォン-
同時に多連装レーザー・クローと尾部大出力レーザー・ソードで白銀のZWと弐閃を迎撃しつつ、23mm側頭部レーザー砲を連射しながらガン・ゼーヴァルから放たれたミサイル群を迎撃、再び斬撃を加える。
-ジッ-
「TLD粒子かね、そんなもので私とラフェンクルの目眩ましにはならんよ」
-ゴォォォォォ-
-ビシュゥゥゥン-
-ピシュゥン-
-ドォォォォン-
迎撃したミサイル群からTLD粒子が散布されるが、ジャウキルのラフェンクルは高速で回転してTLD粒子を吹き飛ばし、直後に拡散共振粒子砲を乱射して巡航形態に変形し、白銀のZWに突っ込んでいく。
-ギュゥゥゥン-
-ギショォォン-
-ヴゥゥゥゥン-
ラフェンクルは凄まじい速度で白銀のZWに迫り、即座に人型に変形して多連装レーザー・クローの連撃を放つが、白銀のZWに悉く回避される。
「…相変わらずよく動くねぇ、ラフェンクルのクローは並の機体じゃ掠っただけでも致命傷になるのだが…」
ジャウキルはぼやきつつ白銀のZWに猛攻を仕掛けるが、悉く回避される。
しかし、ラフェンクルも巨体に似合わぬ柔軟な動きを見せて白銀のZWと弐閃の猛攻を回避しており、互いに譲らない。
ラフェンクルの無線機動連装砲も遥か遠方にいるガン・ゼーヴァルに猛攻を仕掛けるが、ガン・ゼーヴァルはその猛攻を回避しながらラフェンクルを的確に狙撃するという神業を披露していた。
「…流石の私でも1対3は分が悪いかねぇ、とはいえ、親衛隊にはこの機体は見えないだろうから困ったものだよ、はは…」
ジャウキルは不敵に微笑みながら言い、予測で援護射撃をしている親衛隊各機に機体のデータと予測位置を送る。
親衛隊各機はジャウキルから送られてきたデータと予測位置を参考にして攻撃しつつ、見えない三機の大体の動きを把握。
徐々にデータを参考にせず対応していく様になる。
親衛隊各機の対応の速さに白銀のZWや弐閃、ガン・ゼーヴァルの猛攻が緩み、今度はジャウキル達が攻勢に移る。
「さて…そろそろ退散して頂ければ疲れなくて済むのだがねぇ…」
ジャウキルは親衛隊各機が三機を相手に善戦しているのを見て呟くが…。
-コォォン-
-バシュゥゥッ-
「むぅ…?いつの間に…!」
-ヴゥゥゥゥン-
ラフェンクルの翼の装甲が切断され、ジャウキルは驚く。
そこには親衛隊各機と戦っている筈の白銀のZWと弐閃が居り、親衛隊各機が戦っている相手が別のZWであることを認識したのである。
親衛隊各機と戦っているZWは漆黒のマントを羽織ったZW…スカルネオンであり、他の親衛隊各機は量産型クラネオンⅢと戦っていた。
「ほう…もう来るとは…、流石というべきかな?」
ジャウキルはスカルネオンの戦いぶりからパイロットが誰かを見破った様子で、穏やかな口調で呟く。
-バシュゥゥ-
-ガッキョォォォン-
-ブゥン-
柘榴博士の乗るスカルネオンは親衛隊が操縦するルルゼイースをフックで絡め取り、振り回した後にラフェンクルに向けて放つ。
「…ふふ、即脱出したまえ」
「ハッ、機体を放棄します」
-ボォン-
-バシュゥゥッ-
ジャウキルはルルゼイースのパイロットに言い、ルルゼイースのコクピットブロックが射出された後に多連装レーザー・クローがルルゼイースを溶断破砕する。
-バチュゥゥゥゥッ-
-グググググググ-
「久しいな、ジャウキル」
「やはりねぇ…」
スカルネオンのハイパー・プラズマ・ザンバーがラフェンクルの多連装レーザー・クローと激突した瞬間に柘榴博士から直接回線が開かれ、ジャウキルは穏やかな口調で応える。
「さて、このまま沈むか否か答えよ」
「はは、私がそんな取引に応じると思うかね?」
-パシィィン-
-ガッキョォォォン-
-バチュゥゥッ-
柘榴博士の言にジャウキルは惚けた風に応え、スカルネオンの斬撃を受け流した後にラフェンクルの多連装レーザー・クローで白銀のZWと弐閃の斬撃を受け流して飛翔する。
-ウゥゥゥゥゥゥン-
「これで落ちてくれれば有難いのだがねぇ…」
-ズドォォォォォン-
ラフェンクルは雲間で反転し、チャージしていた拡散共振粒子砲を放つ。
-ヒュゴォォォォォォッ-
-ズドゴォォォォォォォン-
-ドドドドドドゴォォォン-
「ふん、貴様の考えなどお見通しだ」
-チュゥゥゥゥッ-
-ヴゥゥゥゥン-
「おやおや、私の狙いを分かっていてそうするとは…食えない奴等だねぇ…」
ラフェンクルの放った拡散共振粒子砲はスカルネオンや白銀のZW、弐閃、ガン・ゼーヴァルに回避され、四国各地に向かって伸びていた共振粒子砲の光は白銀のZWが放っていた粒子によって瞬く間に分解・吸収される。
「国繁の元に行きたくば、拙者の首を落としてからにせよ」
-ヴゥゥゥゥン-
-バチィッッ-
柘榴博士は凄みのある口調で言い、スカルネオンのハイパー・プラズマ・ザンバーを振り下ろして蜘蛛の巣状に張り巡らされた網を見せる。
「…ふふ、私を侮っているのかね?」
「さあな、拙者が侮っているか、身を以って証明してみるか?」
ジャウキルの言に柘榴博士は試すような口調で言い放つ。
「言葉通り、君の首を落としてから行かせてもらおうかねぇ」
柘榴博士の言にジャウキルはスカルネオンに狙いを定める。
「ふっふ、拙者はただではやられんぞ」
「…小細工が何度も通用すると思ったかね?」
-ヴゥゥゥゥン-
-バシュゥゥ-
ジャウキルは先手必勝とばかりにスカルネオンに尾部大出力レーザー・ソードを繰り出すが、スカルネオンを映し出していた端末が両断される。
同時に連装巨大共振粒子砲を放つが、エネルギーが全て網に吸収される。
-グググググググ-
「…何…?」
更に展開した多連装レーザー・クローでも網を切ることができず、ジャウキルは驚く。
「こうまで鍛え上げるとは…、ただの網では無いみたいだねぇ」
ジャウキルは顎髭を弄りながら呟く。
「…再び問う、このまま沈むか否か」
「ふふ、否だよ、…この網を外してくれないかね?窮屈でたまらんのだよ」
ジャウキルは不敵な微笑みを浮かべたまま応える。
「相変わらず図々しいな、断れば強引にでも突破するつもりであろう、拙者がその程度を読んでおらんと思ってか?」
「図々しいのはお互い様ではないかね?私がこの程度を見通していないとでも思っていたかね?」
ジャウキルは柘榴博士は柘榴のスカルネオンと此方に狙いを定めている白銀のZW、弐閃、ガン・ゼーヴァルを見回しながら言う。
…少しすると、数多のZWが一斉に姿を現し、スカルネオン、白銀のZW、弐閃、ガン・ゼーヴァル、量産型クラネオンⅢは猛攻に其々対応する。
「…ふん、煮ても焼いても食えん奴よな」
「さて、仕切り直しといくかねぇ」
-バシュゥゥ-
-ゴォォォォォ-
柘榴博士は呆れた様な口調で言い、ジャウキルはラフェンクルの隠し腕に搭載されているソニック・シュナイダーで網を切断して脱出する。
_________________________
四国各地で激戦が展開している頃…。
旧高知県上空では…
「…旧高知県旧岡豊市まであと少し、そろそろ限界ね…」
結依菜はフライトネオンプラス4型のコクピット内で呟き、音に神経を使いながら最後の偵察機の目を欺く。
「…敵の本拠地にしてはやけに静かだな、不動静寂の備えと罠が待ち受けているか…」
仮眠から目を覚ました神楽坂は、静か過ぎる旧高知県全域を見て呟く。
「ハッ!此処まで来たら罠も備えも関係ないさね!アタシらは腹括って突っ込むよ!」
弓菜は/ネオンプラス4型のコクピット内で生き生きとした口調で言う。
「艦長、どのみちテイロンの姿を隠すのは此処で限界です、出撃の許可を」
巽は落ち着いた口調で神楽坂に言う。
「…うむ、ZW隊!全機降下せよ!」
「「「了解!」」」
神楽坂の命の後、テイロンのZW発進口が開き、弓菜機、巽機、結依菜機、文紀機、穂機、霊司機が順に降下していく。
それに呼応するかの様にして旧高知県の一部から対空砲火が浴びせられるが、ZW隊は難なく潜り抜けて各々着地に成功する。
因みにZW隊が無傷で降下できたのは技量云々ではなく、結依菜が予め旧高知県の新式対空砲を掌握していた為、旧式の対空砲しか機能しなかったからである。
-コォォン-
-バシュゥゥ-
-ズゥゥン-
警戒していた甲型紅花が霊司のネオンプラス4型の両刃型プラズマ・シュナイダーで両断され、続いて弓菜機と巽機が四国勢の甲型紅花を次々と両断していく。
「…事前に諜報活動をしていて正解だったな、やはり対ZW爆雷が彼方此方に仕掛けられている、各機…結依菜の解析を参考に警戒して進め」
「了解!」
「了解さね」
巽は各機に注意を促すが、弓菜は御構い無しに進んでいく。
「…結依菜、文紀達のナビを任せる、俺は弓菜と先に行く」
「…了解、義兄さんも大変ね」
巽は溜め息混じりに呟き、弓菜機に追従。
結依菜は呟きつつ頭を切り替えて文紀達のナビを務める。




