天と地の芒霊
『グォォォォォン!』
-チュン-
-ヴゥゥゥゥン-
『理愛様、羽鳥様、落雷砲が来ます』
「そんなのに当たる訳ないじゃない!」
「私も当たってあげる訳にはいきませんわ」
-ビシュゥゥゥゥゥゥン-
渦巻く暗雲の中心から落雷に似た魔導砲が放たれるが、理愛達は即座に散開して雷を回避する。
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天の芒霊が放った雷は暦達の居る地表に向かっていくが…。
「雷を使えるからって図に乗るんじゃねえ!ユミル!」
-ゴォォォォッ-
-ピシャァァァァン-
-バチュゥゥゥゥゥン-
雷術士の少女が乗るユミルが、得物のハンマーを投げて雷を吸収し、暦達を守る。
「すまない、助かった」
「礼はいい、それより…」
落雷を防いだ雷術士の少女に暦は礼を言うが、雷術士の少女は雫の方を見る。
-ドクン-
「?…私のユミルが何かを捉えた、…そこ!」
雫とシズク・ユミルは地表に何かを捉え、其処に向けて方陣術を発動させる。
-シュン-
-ガォォォォォン-
『グォォォォォン!』
地表に溶け込んでいた方陣が発動し、地表に溶け込んでいた鮃芒霊の姿が露わになる。
「こんな所にいたとはな」
「見つかったのが運の尽きだぜ」
暦は鮃芒霊にユミルのコンデム・リヴォルヴァーを向けながら言い、雷術士の少女は先程のハンマーを振り上げながら言う。
「「砕けろぉぉ!!」」
-ズドドドドォォン-
-ドゴォォォォォン-
『グォォォォォン!』
-ボォォォォォン-
コヨミ・ユミルの連射で蜂の巣にされ、其処に雷術士の少女のユミルのハンマーが炸裂し、鮃芒霊は木っ端微塵に砕かれてしまう。
しかし…
「…面影が無い…?」
「チッ、ダミーかよ…」
粉砕した鮃芒霊には面影らしきものがなく、二人は再び臨戦態勢を整える。
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「貫きなさい!」
「通れ!」
-シュシュン-
-バキィィィィン-
-ボコォッ-
『グォォォォォン!」
羽鳥の氷の槍と理愛の対芒霊ランチャーが天の芒霊の障壁を突き破り、天の芒霊にダメージを与える。
「通った?」
「障壁が弱くなりましたの…?」
『理愛様、羽鳥様、地表の芒霊…形状から鮃芒霊と呼称、それの撃破により、天の芒霊の障壁が弱まっていると推測、今こそ好機と判断します』
アルレジックスは二人に猛攻を提案し、理愛の対芒霊ランチャーの弾を補給する。
「なら…羽鳥、アルレジックス、一気に落とすわよ!」
「そうですわね、そろそろ決めて差し上げましょう」
『了解しました、私も援護いたします』
対芒霊ランチャーを構えた理愛と氷の槍を構えた羽鳥が前に展開し、アルレジックスが二人の後方でアルオン・ライフルを構える。
「それそれそれそれ!」
-カチン-
-ズドォォォン-
-カチン-
-ズドォォォン-
「貫きなさい!氷の槍!行きなさい!私の僕達!」
-ヒュゴォォォォッ-
-シュシュン-
『有尾社製の対芒霊用のアサルト・ライフル…、此処で使わずして!』
-ガシュゥン-
-ドドドドドドォ-
理愛と羽鳥とアルレジックスが一斉に射撃を開始し、天の芒霊は数多の弾丸を受けて煙に包まれていく。
天の芒霊の障壁はかなり弱まっており、理愛達の猛攻を受けた天の芒霊の装甲がボロボロになっていく…。
『グォォォォォン!!』
-ドクン-
「!…暦、面影を捉えたわ!」
「…天と地より…上か!」
-ズドドドドドドォォォン-
上空の理愛達の猛攻を受けた天の芒霊は、面影に働きかけて自己修復をしようとするが、索敵の方陣を発動させていた雫に面影の反応を捉えられ、雫の言を受けた暦は即座に上に向けてコンデム・リヴォルヴァーを連射する。
-シュシュン-
-チュン-
-バキィィン-
-ボコォッ-
『『ギャァァァァァァァ!!!』』
-バキバキバキィッ-
-ボォォォォォォン-
-ブシャァァァァッ-
空中に浮かんでいた双子の様な形をした面影が砕かれ、天の芒霊と潜んでいた地の芒霊の二重の断末魔が響き、天の芒霊と地の芒霊は崩壊、爆砕して大量の泥水が飛散する。
「…なんとか保ったわね…」
複数の芒霊を足止めしていた影の術士の少女は、暗雲が晴れて大量の泥水が飛散している空と動きを止めた芒霊達を見て呟く。
『グォォォォォ…』
-ビシビシッ-
-ガラガラガラ-
-ヴゥゥゥゥン-
-シュゥゥゥゥン-
地の芒霊の力で地を這いずり回っていた芒霊の欠片とゴーレムも崩壊し、因果の黄昏は元の通常空間へと戻っていく…。
通常空間に戻っていく最中、コヨミ・ユミルを始めとする各ユミルは別空間に転移し、ユミルの中に居た暦達はユミルの魔導フィールドに包まれてゆっくりと地面に降下。通常空間へ戻るに
従って魔導フィールドが薄くなり、戦闘で破壊された町並みも元どおりになっていき、暦達も元居た場所に戻る。
「えと…こ、これって…」
「どど、どういうことでしょうか…」
雷の術士の少女と影の術士の少女も何故か朋鳴家の中に居り、雷鳥を始めとする朋鳴家の濃い強面の野郎衆と迫力のある女郎達に囲まれて固まっていた。
「あの、その方達は私の友達です、今日は無理を聞いてくれて…ね?小野宮由真さん、春日野灯さん」
「お、おう…、誕生日おめでとう」
「お、お誕生日おめでとう…ございます」
魅鳥は固まってる二人を発見するや、即座にフォローを入れ、二人は魅鳥に祝いの言葉をかけるや、緊迫した空気から解放される。
「…先程は共闘に感謝します、私は天郷暦」
「…天郷暦が従者の斯堂苅藻といいます、お茶をどうぞ」
すかさず暦が二人に近付き、苅藻が二人に茶を差し出しながら自己紹介をする。
「こ、こちらこそ…アタシは小野宮由真、雷術士だよ」
「さ、先程は…御迷惑をおかけしました…、わ、私は春日野灯といいます、影術士…です、一応」
由真と灯は苅藻に差し出された茶を受け取りながら自己紹介するが、灯は緊張が過ぎて全身が震えていた。
「…そう緊張しない、慣れれば大丈夫」
「家の人達は皆優しいんですよ、大丈夫です」
それを察したのか、今度は雫と魅鳥が灯に近づいて言い、灯の緊張の何割かを解す。
理愛は相変わらず腰巾着と太鼓持ち達とケーキや和菓子の食べ比べをして楽しみ、羽鳥は暦と魅鳥と雫を交互に見て微笑んでいた。
朋鳴家で開催された魅鳥の誕生日パーティは深夜まで続き、魅鳥達は其々楽しむ…。
パーティが終わると、理愛達は由真と灯を自宅まで送り届け、暦達と羽鳥は後片付けを手伝った後に朋鳴家に泊り、朝になると共に学院に通ったという…。
その日の朝は快晴だった…。




