表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超創機大戦  作者: 馗昭丹
表裏陰世界
46/77

雷影の術士〜天の芒霊

渦巻く暗雲の中央が光り、更に凄まじいエネルギーを収束させる。


-ウゥゥゥゥゥゥン-

-ズドォォォォォン-


落雷と放電を回避したコヨミ・ユミルに更なる電撃が放たれる。


「…そこだぁ!」


-ドォォォォン-

-ゴォォォォォッ-


「…!」


黒煙の向こうから巨大な鉄槌が迫り、暦と雫は即座に回避行動に移る。


-ズゥゥゥゥゥン-


「甘いんだよ!」


-バチィッ-

-ドォォォォン-


「フェイント…!」


コヨミ・ユミルを掠めた巨大な鉄槌は、建造物を破砕した後に空中で停止して放電。

広範囲に放たれた電撃がコヨミ・ユミルとシズク・ユミルを襲う。


-ゴォォォォォッ-


「御嬢!」


-ヴゥゥン-

-バチュゥゥン-


咄嗟に反応した苅藻が、HU-XのSFSを発動させてコヨミ・ユミルの下に向かう。


-ドゴォォォォォン-


「ユミル…?芒霊じゃなかったのかよ…!」


「…ちょっと待って、もう一度調べるわ」


「……!」


-ヒュンヒュン-


-ガシュゥン-


放電を停止させた巨大な鉄槌が、電磁力を得て回転しながら向こう側に飛んでいき…ユミルらしき影が巨大な鉄槌をキャッチして構える。


-ガシュゥン-

-ピシュゥン-


「…御嬢、雫様、魅鳥様、大丈夫ですか?」


暦達の盾になるべく間に割り込み、HU-Xの簡易魔導フィールドを最大展開していた苅藻が暦達に言う。


「…大丈夫だ、苅藻」

「…大丈夫よ」

「はい、大丈夫です」


暦と雫と魅鳥がそれぞれ健在なまま苅藻に言う。


「…追撃してこない…?」


「…御嬢、雫様、魅鳥様、どうやら向こうは此方が芒霊だと誤認して攻撃してきた様子、ですが…油断は禁物です」


僅かながら術を発動させていた苅藻は、向こう側のユミルの様子を見て呟く。


-ズゥゥゥゥゥン-


「…協定を結んでる以上、無駄な戦闘は避けろって言われてるしなぁ…、でも手ぇ出しちゃったし…」


巨大な鉄槌を担いだユミルの術士は臨戦態勢を取ったまま様子を見て呟く。


「…暦、あれは…」


「…分かっている、雫。…向こうは手強い、苅藻、命、後方にも強力なユミルが居る、迂闊に仕掛けるな」


「…了解です、お嬢」

「う、了解」


雫はモニター越しに暦に訴え、暦は苅藻と命に伝えて突出を防ぐ。


「あれは…、今は戦う時ではありませんわね」


見覚えのあるユミルの武器に何かを感じた羽鳥は、攻撃の構えを解いて間合いを取る。


『理愛様、協定勢力に該当する反応あり、追撃しない事と戦意が急激に萎えた事から、向こうは此方を誤認したと判断します』


「…チッ、星籠同盟側の術士か」


アルレジックスの検索結果のデータを転送された理愛は、狙撃を断念して後退する。


「…射程外…!先手必勝…はさせてくれなさそうね、おまけにあのWRFは創世連合の西五条直属の娘、向こうは氷の騎士じゃないの…!どうする…?」


巨大な鉄槌を担いだユミルの術士が後方に控えるユミルらしき影の術士の少女に言う。


「…普通なら仕掛けてくるけど、向こうも戦う相手が分かってるみたいね、此処は戦いを避けるべきよ?」


少女は冷笑を浮かべながら言う。


「…チッ、さっきの粟坂執気とかいう馬鹿と遊んでたせいで時間も無いし…しょうがないか」


-ギュゥゥン-


冷笑を浮かべていた少女の言を聞いて時間を見た少女は、観念した様に言い、ユミルに構えを解かせる。


「…此方は星籠同盟の者だ、さっきの攻撃は…その…悪かった!芒霊と誤認したんだ!御免!」


少女は暦達のユミルとWRF、アルレジックスに協定勢力用の専用回線を繋ぎ、勢い任せに頭を下げて謝罪する。


「………」

「………」


両者の間に沈黙が漂う。


「………」


「…この沈黙は謝罪を受け入れたと判断していいですね、それより…」


「…了解した、因果の黄昏が閉じる前に芒霊を見つけ出し、殲滅しよう」


場の沈黙を破る様にして、術士の少女が回線に割り込んだ話を進めるが、状況を察した暦は少女が全てを言う前に答えを伝えて索敵を再開する。


「…すんなりといって助かった…」


「…話が早くて助かったわね、後でどんなツケを払わされるか分からないけど」


「…だよな、早く芒霊を見つけて潰さないと…!」


術士の少女たちは安堵した様に呟き、索敵を始める。


「…そういえば、さっきから気になっているんだけど、あの雲…何か変じゃない?」


「雲…?」


雷の術士が上空に渦巻く暗雲を指しながら言う。


因果の黄昏内は特定の対象にとっては時が止まった空間…。


其処にある空は外の空と同じ状態、時が止まった状態なので雲は停滞したままなのだが…、その暗雲は不気味に渦巻き、拡大し続けている。


暗雲は新月を中心に渦巻いており、新月の力が其処に集中して不気味さをを漂わせていた。


「…そうね、因果の黄昏にこんな雲があるなんて…」


影の術士の少女は渦巻く暗雲を見て呟く。


「…ユミルの魔導レーダーには何の反応もない、けど…私の雷術に似せて向こうに放ったり、電撃を防がれた時、跳ね返された様に見せて私に電撃を放ったり…明らかに怪しいよな」


影の術士の少女が思案する中、雷の術士の少女はユミルに残っているデータを転送しながら言う。


「………」


「怪しい所は潰しておくに限るけど、私のユミルは空飛べないし、どうしたものかなぁ…」


雷の術士の少女は渦巻く暗雲を見て唸る。


_________________________


-カチン-

-ドゴォォォォォン-


-ヴゥゥン-


「ちっ、芒霊障壁か…!」


理愛は渦巻く暗雲に向けて対芒霊ランチャーを放つが、芒霊障壁を展開されて跳ね返される。


『…理愛様、芒霊障壁の展開反応から推測するに、目標は戦艦クラスの大きさを持つ大型芒霊と判断します、いくら理愛様と西五条八式でも単体では撃破は難しいかと、ここは…』


アルレジックスは理愛に反応の大きさから割り出した推測データを送信し、皆との共闘を促す。


「…仕方ないわね、羽鳥、アルレジックス、私に付いて来なさい、さっさと潰すわよ」


-ウゥゥゥン-

-ドォォォォォン-


理愛はさも当然の様な命令口調で言うや、アルレジックスと共に渦巻く暗雲に向かって飛翔する。


「…何ですの、頼み方がなってませんわね」


羽鳥は理愛の言にやや機嫌を損ねながら呟く。


「…羽鳥、理愛の援護を頼む」


暦は理愛の言で不機嫌になっている羽鳥に向かって言い、微笑む。


「………、…仕方ありませんわね、天郷さんの顔に免じて…今回だけ従って差し上げます」


-ドォォォォォン-


溜息の後、羽鳥は諦めた様に呟き、理愛とアルレジックスを追って飛翔する。


「…ふふ、お嬢も罪なお方です」


拗ねた様な照れた様な表情をしている羽鳥を見て、苅藻は微笑みながら呟く。


「………」


暦は二人と一機の姿を見つつ、渦巻く暗雲と新月、地に映る影を見ながら思案する。


「…お嬢、今朝の呟きでは今宵の芒霊は天と地から出ずるものと仰っていましたね…」


苅藻はコヨミ・ユミルの補給をしつつ言う。


「…ああ、天に何か動きがあれば、地にも何か動きが有る筈だ」


暦は天の新月と地に映る影を交互に見ながら言い、雫のユミルに何かの文字を送信し続ける。


「…それを掴む為に雫様の方陣を?」


「…その方が確実に倒せる」


「…わかりました、お嬢がそういうなら」


苅藻は暦の言を聞くや、補給を終えたコヨミ・ユミルから離れて配置に着く。



「…方陣、此処と此処を描いて、四角で囲い…暦の描いた文字を打ち込めば…」


雫は漫画のコマの様な方陣を描き、シズク・ユミルもメイスで同じ様な方陣を描く。


「…これで良い筈、方陣発動」


-シュゥゥゥゥン-


シズク・ユミルが描き終えた方陣にメイスを翳すと、方陣は地に溶け込み、拡散して消えていく。


「…?…間違えた…?」


発動した筈の方陣が消えた為、雫は虚空に呟く。


「…いや、方陣術は発動した、これで良い筈だ」


「…暦がそう言うなら大丈夫ね、ありがとう」


暦は雫に言い、雫は暦を見て微笑む。


「…(天郷さんと秋葉先輩、互いに信頼してるんだなぁ…、私…二人の足を引っ張ってて邪魔かも…)」


コヨミ・ユミルの結界の中で二人のやり取りを見ていた魅鳥は、二人の間にある何かを見て思い、力無き己に少し落ち込むが…。


「…(…ううん、私も天郷さんや秋葉先輩に負けない様に頑張らなきゃ…、私は朋鳴雷鳥の娘、天郷暦の友、朋鳴魅鳥なんだから)」


魅鳥は父から貰ったドスを握り締めながら思い直す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ