再会〜芙蓉と泉と恋
陰日本新潟県のとある場所にて…。
-ザシッ-
「…何とか創連の勢力圏内には入ったけど、どうやって芙蓉に接触しようかしら」
器用に身を隠しながら市街地の様子を伺っている泉が呟く。
「…創世連合は親切、芙蓉の居場所も教えてくれたし、下手な小細工をするよりも堂々と会いに行った方が良い」
恋は端末機を操作しながら言う。
「ふぅ、そうね…芙蓉相手に回りくどいやり方をするより、正々堂々と行った方が良いわね」
-シュゥン-
泉はふっと笑みながら呟き、部分装着していた来鳴疾風の双眼鏡を解除する。
「…決行は何時するの?」
恋は泉に言い、微笑む。
「…今でしょ?」
泉は恋に微笑むと、恋に手を差し伸べる。
-ガシッ-
「…決まり、目的地は…あっち」
泉の手を掴んで起き上がった恋は、市街地を指差して言うが…。
次の瞬間…
-ピン-
「!?…市街地に因果の黄昏と卵の反応…!」
アホ毛が立ち、芒霊と魔法卵の存在を感知した新は突然言う。
「段階は?」
「早い…もう…孵化する」
泉に対し、新は冷静に呟く。
-ヴゥゥゥゥン-
市街地に因果の黄昏が広がっていく…。
-ドゴォォォォォォォン-
『グォォォォォン!!!』
-ズゥゥゥゥゥン-
-ビシビシビシシシッ-
-バカァァァァァン-
『『『ピキィェァァァァ!!!』』』
毛虫芒霊が現れると同時に卵が孵化して数多の魔法生物が出現する。
「あ…泉!」
「…恋!」
-シュゥゥゥン-
恋は因果の黄昏から切り離され、泉だけが因果の黄昏の中に閉じ込められる。
「恋が因果の黄昏から切り離された…?…魔法生物と芒霊が同時に出るなんて…最悪の組み合わせね、来鳴疾風!」
-シュゥゥゥン-
-ギショォォォン-
-ピコ-
泉は冷や汗を流しながら呟き、泉の専用WRF・来鳴疾風を装着して戦闘態勢を整える。
『オォォォォォォン!!』
「この戦力差でセイズ呪歌は厄介ね…食らいなさい!」
-ウゥゥゥゥゥン-
-ズガァン-
-ズガァン-
-ズガァン-
泉は毛虫芒霊に狙いを定め、超電磁砲を放つ。
-バキィィン-
-バキィィン-
-バキィィン-
-ズゥン-
『グォォォ…ン』
-バキバキバキィッ-
-ドドドドドドドドドォォォン-
超電磁砲は全て毛虫芒霊に命中するが、芒霊フィールドの歪曲で面影には届かず、毛虫芒霊は損傷箇所を再構築して数多の毒針型ミサイルを構築。
来鳴疾風に多連装毒針型ミサイルを発射する。
-シュシュシュン-
「く…しぶといわね…!こうなったら…!」
-ガォォォォォォン-
-ウゥゥゥン-
-ピコ-
-キュゥゥゥン-
「一発で決めてあげる…!」
泉は来鳴疾風の超電磁砲の砲身を長く展開し、毛虫芒霊の面影を捕捉して言う。
「疾風怒涛!フルバァァスト!」
-カチン-
-ズガァァァァァァン-
捕捉した毛虫芒霊に対し、泉はフルチャージした超電磁砲を放つ。
放たれた閃光が空間を歪曲させながら毛虫芒霊に向かっていく。
-バキィィィィィン-
-ゴシャァッ-
-ズゴォォォォォォン-
『ギャァァァァァァ!!!!!』
-ビシビシビシシシッ-
-ブシャァァァァ-
フルチャージした超電磁砲の光は毛虫芒霊の芒霊フィールドを貫き通し、続いて弾丸が毛虫芒霊の面影を貫き、破砕して毛虫芒霊を崩壊させる。
『ピキィィィ!』
-ガァン-
-シュルルル-
-ギショォォォン-
「しまった!?くっ…!」
数多の魔法生物が四方八方から触手を伸ばして泉の来鳴疾風の手足を拘束し、来鳴疾風の動きを封じる。
『シュォォ!』
-ゴォォォ-
「…っ!!」
動きを封じられた来鳴疾風に、弩に変化した魔法生物が巨大な矢を放つ。
-バッキュゥゥゥン-
-ヒュゴォォォォ-
『ピキ……』
「炎…?」
閃光と炎が魔法生物の放った矢を瞬く間に焼き尽くし、泉は放たれた炎の元を見る。
-ガシッ-
「泉、手を貸すね」
「芙蓉…?」
泉の視線の先には芙蓉と紅炎灰燼の姿があり、泉は驚く。
「話は後、さっさとかたづけよ?」
「うん!」
芙蓉は泉に言い、二人は連携態勢を整える。
「邪魔!」
-バシュシュゥ-
『ギィィィィ…』
芙蓉は手に焔の力を集中させ、紅炎灰燼の手刀が魔法生物を切り裂く。
「超電磁加速!」
-ヒュン-
『グワッ!?』
『ケェェ!?』
急に消えた来鳴疾風に魔法生物は驚いて動きを鈍らせる。
-ガシッ-
-ピコッ-
「来鳴疾風を甘く見ないことね!」
天から急降下して来た来鳴疾風が超電磁砲を構え、泉は攻撃範囲を確認しながら言う。
「この光の雨に貫かれなさい!」
-シュゥゥゥン-
-ズガァァァァァァン-
泉の言と共に、限界までチャージされた超電磁砲が放たれ、閃光が空を裂きながら地に向かっていく。
-パァァン-
-ドドドドドゴォン-
『クェキィ…』
『キュゥゥ…』
『シュォォ…』
来鳴疾風の放った拡散超電磁砲の弾が途中で爆ぜ、光の雨が地に降り注ぐ。
光の雨に突き刺さり、ハリネズミの様になった魔法生物達が一気に消滅していく。
-ヒュン-
『キキキキ!』
-ヴゥゥン-
「芙蓉!そっちに!」
「任せて!アタシの猛火に焼かれて消えろぉ!」
-バッキュゥゥン-
-ヒュゴォォォ-
『ピキキキキキ!?』
『シギャァァァ!?』
-ドゴォォォォン-
「一丁あがり!」
紅炎灰燼が放った炎の竜巻により、魔法生物達は纏めて焼き尽くされていく。
-バサバサァ-
『クエェェェ!!』
-ガッキョォォン-
「きゃ!?」
『シギャァァ!』
-ガァァン-
-ギギギギギギィッ-
姿を消していた魔法生物は、背後から泉の来鳴疾風に体当たりし、バランスの崩した来鳴疾風を追撃、鋭い爪で鷲掴みにして来鳴疾風を握り潰そうとする。
「泉!?このぉ!!」
-シャァァン-
-ヒュゴォォォ-
-バシュゥッ-
『クェェ…』
「助かったわ、芙蓉」
芙蓉は紅炎灰燼の焔の刃を最大展開し、来鳴疾風に取り付いていた魔法生物を一刀両断、泉と来鳴疾風を救う。
『ピキキキキキ!』
『シャァァァッ!』
-バキィィン-
「あぐっ!?」
「芙蓉!?」
-ドゴォッ-
「うぅっ!」
今度は芙蓉の紅炎灰燼に二匹の魔法生物が体当たりし、芙蓉はダメージを受けつつ姿勢制御する。
「芙蓉はやらせない!」
-ズガァン-
-ズガァン-
-ヒュン-
-バキィン-
『グェェェ』
泉は援護射撃を加え、芙蓉に迫る魔法生物を撃墜する。
『キキキキ!』
『シャァァァッ!』
-バキィン-
『キェェェェ…』
芙蓉に迫る魔法生物達が側面からの超電磁砲を受けて撃墜されていき、その間に芙蓉の紅炎灰燼が態勢を整える。
「…アタシを…舐めんなぁ!!」
-ガシィッ-
迫り来る魔法生物に対し、芙蓉は叫びながら紅炎灰燼の左腕で魔法生物を鷲掴みにする。
「イグナイトォ!バァァァスト!!」
-バッキュゥゥゥン-
-ブクブクブクブク-
-チュドゴォォォォン-
『キキ…』
『クエェェェ…』
至近距離で凝縮された猛火のエネルギーが放たれ、魔法生物は沸騰して爆砕する。
「コレで…ラストォォ!!!」
-ヒュゴォォォ-
『ピキキキキキィィィ!?』
芙蓉の叫びと共に紅炎灰燼の掌から猛火が放たれ、魔法生物は猛火に包まれて跡形もなく焼き尽くされていく…。
-ヴゥゥゥン-
-シュゥゥゥゥゥン-
毛虫芒霊と魔法生物達が全滅した事により、因果の黄昏が消滅して元の空間に戻る…。
「ふう…大丈夫?泉…」
「…なんとかね…、ありがとう…芙蓉」
「良かった…」
「………」
泉と芙蓉は互いの無事を喜び合い、互いを見る。
「…芙蓉、また…彼処に戻らない?」
「………」
泉は芙蓉に手を差し出す。
「芙蓉…?」
「泉…アタシは勢気達と行くよ、もう…彼処には戻れない」
芙蓉は泉の手を取らずに言う。
「芙蓉…本気なの…?」
泉は芙蓉の態度に少し残念そうな口調で言う。
「…本気だよ、それでも連れ戻すつもりなら…たとえ泉でも容赦しない」
芙蓉は泉に言い切り、泉を見据える。
「「………」」
二人は暫し沈黙する。
「…なら、私と恋も芙蓉と一緒に行く事にするわ、私達も…彼処には戻りたくないから…」
「え…」
「………」
泉は芙蓉を見据えながら言い、いつの間にかその場にいた恋も芙蓉を見て頷く。
「…泉、恋、本気…だよね?」
芙蓉は泉と新に尋ねる。
「本気よ、ね?恋」
芙蓉の言に泉は決意を込めた口調で返し、恋に話を振る。
「…芙蓉の居ない場所に…私達が居る意味はない。芙蓉…此処で居場所を見つけたみたいだし…、私達も…芙蓉と共に居たい」
恋も決意を込めた口調で言う。
「…ありがとう、えと…これから…改めて宜しく」
芙蓉は泉と恋の決意を悟るや、少し照れくさそうに握手を求める。
「これからも宜しくね」
「改めて…頼む」
-ガシッ-
泉と恋は芙蓉に握手しながら言う。
「…!?…心配かけて…置き去りにして…ごめんね、泉…恋…」
芙蓉は身体の彼方此方に傷痕がある泉と恋を見て…芳弘の暴行に耐えている二人の姿を連想し…涙を流しながら謝る。
「…お互い様よ、芙蓉…」
「…謝ることは…ない…」
泉と恋は芙蓉の肩を抱いて言う。
「………」
芙蓉は泉と恋を抱き締め、静かに泣く。
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-ウゥゥン-
「…パパから報告があって、急いで駆け付けたけど…必要なかったみたいだね、はい、解散撤収〜、朱花にも伝えておいてくれ」
「ハッ」
-ガシュゥゥン-
大道寺御曹司は三人の様子を見てWRF部隊の捕獲ランチャーを下げさせ、WRFの解除コードを打ち込んで部下達を先に撤収させる。
「さぁて、僕も…学校に行って編入手続きをしないとね」
大道寺御曹司はWRFを元の空間に収納しながら言い、欠伸をしながら学校の方向に向かっていく。
その後、琴織泉と新恋は斑鳩朱花によって保護され、芙蓉と同じ学校に編入される事になる。
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