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超創機大戦  作者: 馗昭丹
表裏陰世界
40/77

陰日本の関東にて

今回は陰日本編になりまする。

裏日本の沖縄陥落から数日後…


陰日本関東地方にて、連日の様に評定の場が設けられ、関東の各家の代表達が評定の場に潜って今後の方策を検討していたが、八家の代表になっている宇都宮氏が連日の様に欠席していたことで方策は中々定まらず、関東軍の足並みは揃わなかった…。


なかなか揃わない足並みに苛々しつつ、八家の者達は合間を縫って評定を開き続ける。


…今日の評定は八家の内の誰かが仕切り、比較的順調に進んでいた…。



「…裏の彼の地は衛連の手に落ちたか」


下がり藤の家紋が刻まれた画像が呟く。


「はい、 器も奴らの手中に」


「奪取の為、先日も我が手の者に命じ、流れ者を雇って襲撃させましたが、全て失敗に終わりました」


日の丸扇の家紋、丸に上の字の家紋が刻まれた画像が報告する。


「…そうか、衛連の備えは万全の様だな」


下がり藤の家紋が言う。


「如何なさいますか、もう一度襲撃する余力はありますが?」


日の丸扇紋が言う。


「よい、かの地の器の入手はもう叶うまい、当面の問題は此方だな」


「では、我が手の者は拠点の防衛に当たらせます、失礼」


下がり藤の家紋が言い、丸に上の字の家紋が場から消える。


「ふむ、我等がもたついている内に陰の箱と陰の鍵は創世連合が握り、星籠同盟も独自に箱と鍵を見出した…」


「………」


月星紋の画像が言い、雁金紋と片喰紋がやや遠ざかる。


「協定を結んでいる以上、此方も早急に器を見つけ出さねばならんというに…!」


「………」


三つ鱗紋の画像が言い、今度は丸に蔦紋が遠ざかる。


「ならば…」


-ヴゥゥン-


「…如何するつもりか?」


場に桔梗紋の画像が割り込む。


「…大道寺代表、来ておったのか」


「ついさっき到着した、…宇都宮殿は今日も御見えにならんのか?」


竹に雀紋の画像が言い、桔梗紋の画像が右三つ巴の家紋の画像を出しながらいう。

桔梗紋の言に各家紋の画像同士が集まって疑惑のメッセージをぶつけ合い、場は少し騒がしくなっていく。


「…んんっ!あの御仁は多忙の様子でな、此処には顔をお見せにならん」


咳払いで場を静めようとした日の丸扇紋の画像だったが、各家紋同士のやり取りが止まらない。


メッセージのぶつけ合いが段々エスカレートしていき、場はメッセージで埋め尽くされていく…。


「…むう…暫し休憩に致す、儂は席を外すぞ!」


「ふむ」


-ヴゥン-


各家紋同士の激しいメッセージのぶつけ合いを見て、日の丸扇紋は吐き捨てる様に言い、桔梗紋の画像と共に密かに場から消える。



「…宇都宮殿が居らねば、場が纏まらぬわ…」


-ボゥッ-


日の丸扇紋の入ったスーツを着た初老の男…佐竹繁(さたけ・しげる)が、咥えた葉巻の先に火を点けながら呟く。


「…して、大道寺代表…何用か?」


繁は少々不機嫌そうに大道寺代表に言う。


「…場を荒らしてしもうて済まんな、これは御主への土産だ、取っておけ」


大道寺代表は謝りつつ、繁に老舗の銘菓と電子メールを差し出す。


「その銘菓…叔母上からか…?」


繁は銘菓と電子メールを見ながら大道寺代表に尋ねる。


「そうだ、我が母が御主の身を案じておってな、偶には此方に来てはどうだ?」


「………」


大道寺代表の言に繁は無言で首を横に振る。


-プシュッ-


「…その気にはならんか…まあよい、処で繁勝は何処におる?儂は奴に用があって参ったのだが」


大道寺代表は缶コーヒーの蓋を触れずに開け、缶コーヒーを飲みながら言う。


「ふう…あれは今、宇都宮殿の下に居る、要件なら儂が聞いても良いが?」


繁は大道寺代表に煙草の煙を吹き付けながら言い、大道寺代表の眉が微かに動く。


「…うむ…いや、個人的な話故、それには及ばん。あとで宇都宮殿の元に向かうとしよう」


大道寺代表は眉間に皺を寄せまいと堪えながら言う。


「ふん、左様か、…処で…あれは…朱花はどうしておる?」


繁は灰皿に葉巻の灰を落としながら言う。


「…朱花なら儂の直轄地で健やかに過ごしておる、先日も儂の倅が痛い目にあって泣き付いて来た故、元気が有り余っている様だ」


大道寺代表は作り笑顔を浮かべながら繁に言う。


「…ふん、結構な事だ」


繁は大道寺代表の作り笑顔に冷や汗を流しながらつぶやく。


「…忘れておったが…磯上が朱花の見合いの件…御主も是非参加して欲しいと言っておったぞ、…忙しい御主には無理な話やもしれんがな…」


大道寺代表は恍けた様な風を装いながら言う。


「…清孝め、余計な気を回しおって…」


繁は葉巻を灰皿の内に置き、火を消しながら呟く。


「…さて…来るなら、磯上の気が変わらん内に…な、失礼する」


大道寺代表は繁に釘を刺す様に言い、その場から去っていく。


____________


陰日本関東宇都宮邸前…


「佐竹様、明日も宇都宮殿は多忙の為、評定の場には出られないとの事です」


宇都宮邸の防衛用魔戦殻のパイロットが門前で待機していた佐竹繁勝(さたけ・しげかつ)に伝える。


「…わかった、叔父貴にはそう伝えておく、由乃にはゆっくりと休む様に伝えておけ」


「はっ、そう伝えておきます」


繁勝の言に魔戦殻のパイロットは静かに宇都宮邸に引き返していく。


「…何時になったらこっちに戻って来るんだよ由乃」


繁勝は少々心配そうに呟きながら、待機している部下達のもとに向かっていく。


「…待たせたな、宇都宮殿は忙しいらしい」


繁勝は三人を見ながら言う。


「今日もかよ、…なら繁勝、創連の捕虜になっている芙蓉の奪還を俺様に命じろ、芙蓉は俺様のもんだからよぉ」


先駆衆のエースである嘉賀芳弘(かが・よしひろ)が繁勝に言う。


芳弘は繁勝の従甥にあたり、「異能」と戦闘能力は先駆衆最強と言われている赤髪の少年である。


「!、待って下さい、芙蓉の奪還なら私達が!」


「そう、私達が適任、奴は余計なものまで持ち帰る」


強引に話を進めようとする芳弘に対し、琴織泉(ことおり・いずみ)新恋(あたらし・れん)が待ったをかける。


琴織泉と新恋は敷島芙蓉の親友であり、芙蓉に執心する芳弘とは仲が悪かった。


「…何だカス共、決定事項に逆らう気か?」


「勝手に決めないで、芙蓉も貴方のものじゃない」


「貴方が行けば、芙蓉が嫌がるだけじゃ済まない」


泉と恋は芳弘に抗議するが…。


「…カス共、俺様の前でよくそんな口が聞けるな、…死にたいか?」


-グググググ-


「ぐっ…!」

「…!」


二人の言にカチンときた芳弘は「異能」で二人の首を締め付けていく。


「カスが…!」


-ギリギリギリギリ-


「…!!」

「…!?」


芳弘は二人の態度に腹を立て、更に首を締め付けていく。


「芳弘」


「…チッ!」


-ドサァッ-


「…げほ…くっ…!」

「…っ!」


繁勝は芳弘を一睨みして言い、芳弘は繁勝の殺気を感じ取って二人を解放する。


「ふん、やめておけ」


「…教官」

「………」


泉と恋は「異能」で芳弘に報復しようとするが、繁勝にとめられる。


「…芳弘には宇都宮殿から申し渡された任務がまだ残っている、敷島の件は琴織と新に任せて行け」


繁勝は三人の目を見ながら言い、宇都宮邸を後にする。


「………」


「…了解」


「…準備はもうできている」


泉と恋は直ちに専用のWRFを装着し、新潟方面に向かって行く。


「…チッ、あのカス共…!帰ってきたら二度と俺様に逆らえなくしてやるぜ」


芳弘は舌打ちしつつ、専用のWRFを装着して任地に向かっていく。


「…(…敷島芙蓉、琴織泉、新恋、元より此処に貴様らの居場所はない、…もう戻って来るなよ)」


繁勝は大空を舞う泉と恋のWRFを見ながら思案する。


「…其処で何をしている、大道寺代表」


「…気づいておったか、流石だな」


繁勝は透明になって様子を伺っている大道寺代表に気付き、大道寺代表は姿を現して繁勝に近づく。


「…叔父貴には会ったのか?」


「先程会ってきた、どうにも荒れておるな」


繁勝は大道寺代表に言い、大道寺代表は銘菓を繁勝に手渡しながら言う。


「…そうですか、それで…代表が俺に何用か?」


繁勝は溜め息混じりに呟いた後、大道寺代表の目を見て尋ねる。


「…ふむ、敷島芙蓉の件で来たのだが、芳弘を見て返還する意味が無いと感じた、…あの二人は敷島芙蓉の知人か?なかなか筋が良さそうだが」


大道寺代表は顎髭を弄りながら言う。


「…あの二人は敷島芙蓉の友人ですが、我等の足を引っ張り続けている故、此方に居場所はありません。…其方に居る敷島芙蓉と併せて面倒を見てくれるなら此方も好都合ですが」


繁勝は少々威圧的に言う。


「…少しでも遅れれば切り捨てる、相変わらずキツイ様だな、…まあ良い、あの二人は儂らが面倒を見よう」


「…有り難い、暫くしたら俺と芳弘が其方に挨拶に伺いますよ?…無駄でしょうが、備えだけはしておいて下さい」


大道寺代表は少々呆れた様な口調で言い、繁勝は表情一つ変えずに言う。


「…ふむ、此方に来るなら御手柔らかに頼むぞ、其方と違って素人ばかりだからな…」


大道寺代表は繁勝の目をみながら言う。


「ふ、俺は善処しましょう。芳弘は本気で潰して回るでしょうがね」


「やれやれ、これは早急に戻らねば高いツケを払わされそうだな…、そろそろ失礼するぞ」


繁勝の言に大道寺代表は苦笑気味に言い、繁勝の前から瞬く間に去っていく。


「さて、俺も叔父貴を援護しに戻るか…」


繁勝は大道寺代表が去るのを見届けた後、実家がある方角に向かって歩み去っていく。


繁勝の帰還によって…延々と続いていた関東軍の評定は、一応の纏まりを見せ、次なる動きを見せ始める事になる。

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