衛連奮起~偽撃転殺
「…陣形を整えたか、既に遅い」
-ゴォォォォ-
敵のフォーメーションを見たハルツィスは、呟きつつ前進。
親衛隊の二機もハルツィスのイズロツに追従する。
-ビビッ-
「白い機体…、あれが隊長機か」
斑鳩先生はハルツィス専用イズロツを見て呟く。
-ジッ-
「朱花、気をつけな!」
「…互いにな!」
-ビシュゥゥゥン-
弓菜と朱花は遣り取りをしつつ、親衛隊二機とアルマ隊の斉射を回避する。
「…三方から挟み撃つ気か、隊長機は任せるぞ、弓菜」
「コッチは任せな!」
朱花は他の親衛隊の動きを捉えて言い、弓菜は力強く叫ぶ。
朱花達は回り込んできた親衛隊に向かっていき、交戦状態に入る。
-ゴォォッ-
「中佐!」
アルマ隊がハルツィス隊に合流しようとするが…。
-シュシュン-
「ふふ、君達の相手は俺達がするよ」
「くっ…!」
綾一達の夜刀集弐型がアルマ隊を妨害し、綾一達とアルマ隊が交戦状態に入る。
「「墜ちろ!」」
-ビシュゥン-
ハルツィスと光牙は同時にレーザーを放つが、互いに回避する。
-シャン-
「落とします!」
-ゴォォォォ-
続いて親衛隊のガロツⅢがコーティング・ソードを構えて光牙のブレイドクラネオンⅢに向かう。
-ブルブルブルブル-
「!?」
雲の隙間から二つのストライク・リッパーが迫るが…
-ゴォォォォ-
-ガシィッ-
「ふん、返すぞ」
-ガァァン-
-ブルブルブルブル-
「…!」
ハルツィス専用イズロツがストライク・リッパーをキャッチし、もう一つのストライク・リッパーを切り払った後にキャッチしたストライク・リッパーを投げる。
-ブルブルブルブル-
-ガシィッ-
「…ちぃ!」
-ビビビシゥゥン-
光牙のブレイドクラネオンⅢがストライク・リッパーをキャッチし、追撃のレーザー斉射も回避するが…。
-ゴォォォォ-
「青いな」
-ガキィィン-
-ドゴォォォン-
「ぐっ!?」
ハルツィス専用イズロツが光牙のブレイドクラネオンⅢに肉迫し、フェイントをかけてブレイドクラネオンⅢを蹴り飛ばす。
-ブルブルブルブル-
蹴り飛ばした先に…先程投げたストライク・リッパーが飛来し、ブレイドクラネオンⅢに迫る。
「見てらんないね光牙!」
-ガシィッ-
-ガキィィン-
「…!」
弓菜の/ネオンプラス4型が間に割り込み、ストライク・リッパーをキャッチしてガロツⅢの斬撃を防御する。
「吹っ飛びな!」
-シュシュン-
「チッ!」
「ふん」
追撃を仕掛けようとした弓菜だったが、ハルツィス専用イズロツの援護射撃が間に入り、弓菜は回避しつつ舌打ちする。
「姉上!」
「やらせん!」
-ビシュゥゥン-
「くっ!」
-ビビシュゥン-
光牙は援護に向かうが、親衛隊のガロツⅢに阻まれ、集中攻撃を回避する。
「姉さん!」
-ズガァン-
-ズガァン-
雫石が別方向から援護射撃を加える。
-シュシュン-
「…ふん、墜ちろ」
-ビビシュゥン-
「…!」
雫石の射撃を回避したハルツィスは、動きの甘い雫石のネオンプラス4型を瞬時に捕捉し、レーザーを放つ。
「…雫石!」
-バチュゥン-
結依菜のネオンプラス4型が割り込み、ハイブリッド・ライフルでレーザーを弾く。
「…雫石、兄さんから離れないで」
「ね…姉さん…ごめん…」
結依菜は雫石に言い、雫石は申し訳無さそうに呟く。
-ガシッ-
「…其処」
-ズガァン-
-ズガァン-
結依菜は雫石を狙っていたガロツⅢの動きを予測しており、僅かな死角を突いてハイブリッド・ライフルを放つ。
「しまった!?」
親衛隊の一人が気付いた頃には既に間近くにリニア弾が迫っており、親衛隊は叫ぶ。
-シュシュン-
-バキキィィン-
「…っ!?」
結依菜機の放ったリニア弾が撃ち落とされ、結依菜はリニアの軌道から位置を割り出して敵方を見る。
「…墜ちろ」
「…!」
結依菜の目にライフルを構えたハルツィス専用イズロツが映り、結依菜は即座に反応・操縦する。
-シュシュン-
-ガシッ-
「…其処!」
-ズガガァン-
結依菜は機体を縦ロール回転させて攻撃を回避しつつ、ハルツィスの動きを読んで反撃を加える。
-シュシュン-
「…(…最小限の動きで回避、間髪を入れずに的確な反撃をする…か)」
-ビシュゥゥゥン-
ハルツィスはイズロツを縦ロール回転させて攻撃を回避し、大出力レーザー砲で反撃する。
-ヒュゴォォッ-
「…回避完了、反撃予測、相対距離、照準誤差修正、これで」
-ズガァン-
-シュン-
「…(…この短時間で俺を捉える…素人にしては出来過ぎるな、これも血の記憶が為す業か…)」
結依菜の放ったリニア弾がイズロツの頭部バイザーカメラと胸部FC装甲を掠め、ハルツィスはその業に嘗ての戦友を思い出す。
「…再計算、今度は当てる」
結依菜はハルツィス専用イズロツの動きを予測しながら照準を合わせていくが…。
「…ふ、まだまだだな」
-ギュゥン-
-ギショォォン-
ハルツィスは攻撃を回避しながら呟き、イズロツを高速形態に変形させる。
-ドォォォン-
「!?」
ハルツィス専用イズロツが結依菜機の照準からロストすると同時に…親衛隊のガロツⅢのライフルから放たれたレーザーが迫る。
-シュシュン-
「そんな…!?」
結依菜は最初に迫っていたレーザーを回避したものの、死角から迫っていた三射目のレーザーに反応が遅れる。
「…!」
-バチュチュゥン-
「何!?」
ネオンプラス4型の背胸部に迫っていたレーザーが弾かれ、親衛隊は驚く。
-ヒュゴォォッ-
「余所見してんじゃないよ!」
-バシュシュゥゥゥ-
一瞬の隙を付いて間合いを詰めてきた/ネオンプラス4型のツイン・プラズマグレイブが縦横に二閃し…。
「中佐!申し訳ありません!」
-ボォン-
-ドゴォォォン-
ツイン・プラズマグレイブで十文字に切断されていたガロツⅢは、脱出ブロックを射出して爆砕する。
-ギショォォン-
-ジッ-
「…十分な戦果だ、二人は先に白鷹へ帰投しろ」
「「了解」」
先程の脱出ブロックを回収したガロツⅢにハルツィスの通信が入り、親衛隊は白鷹に向かって加速する。
「逃がさん!」
-ビシュゥン-
「…もう少しだけ付き合って貰おう」
「…!」
追撃をかけようとする光牙のブレイドクラネオンⅢに、ハルツィスはレーザーを放って待ったをかける。
-ビシュゥン-
-ズゥゥン-
「シールドが…!」
入れ替わりに後詰めのガロツⅢが到着し、レーザーの斉射を避けきれなかった雫石機のシールドが弾かれる。
「雫石、これを使え!」
-ガシッ-
-ギュゥン-
-バチュゥン-
「ありがとう、兄さん!」
光牙はストライク・リッパーを雫石機に渡し、雫石はストライク・リッパーをシールドに利用する。
-シュシュン-
「落とす!」
-ゴォォッ-
「わわっ!?」
三機のガロツⅢが放ったレーザーに紛れ、コーティング・ソードを構えたガロツⅢが雫石機に急迫し、雫石は慌てる。
-ガキィィン-
-ググググググ-
「こ…この!」
雫石はストライク・リッパーでガロツⅢのコーティング・ソードを受け止め、鍔迫り合いを展開する。
-ガシッ-
「もらった!」
「やらせん!」
-ガッキョォォン-
「ぐっ!?」
先程のガロツⅢを囮に、もう一機のガロツⅢが密かに迫るが、光牙のブレイドクラネオンⅢに蹴り落とされる。
「…其処!」
-ズガガァン-
-バキキィィン-
「「!?」」
結依菜は墜落するガロツⅢに追い討ちをかけると見せかけ、鍔迫り合いをしていたガロツⅢにリニア弾を放ち、コーティング・ソードを弾き飛ばす。
「このぉ!!」
-バシュゥゥゥ-
「ぐ!?中佐、先に失礼します!」
「先に戻っていろ、片付いたら戻る」
-ズガガァン-
「あ…当たるもんか!」
-シュシュン-
雫石機がストライク・リッパーでガロツⅢの右腕部と右脚部を両断。
右腕部と右脚部を失ったガロツⅢは、ハルツィス専用イズロツと親衛隊のガロツⅢに庇われながら戦場から離脱する。
「頃は良し、斉射しろ」
「「「了解」」」
-ビシュゥゥゥン-
-ドドドドドドォォォン-
上空と海面から数多の光の雨が降り注ぎ、雲間からは数多のガロツⅢ、海面からは数多の水中戦用ZW・シーグリムが姿を現す。
-ビビッ-
「何…!?」
「囲まれた…!?」
光牙達は上空と海面から数多の敵機の反応を捉え、包囲された味方反応を見て驚く。
「上も下も…後ろも…塞がれているだと」
「完全に包囲された…?」
「くっ…見事に騙されましたわね…!」
織兎と瞑緒は包囲網を見て冷や汗を流し、寧音は敵布陣を睨み付けながら呟く。
「…囮戦力で此方の戦力を分散させつつ…伏兵の位置まで誘導、十分に引きつけ、疲弊させた上で多重に包囲して殲滅する…か、踊らされたな」
「ははっ!!まんまとはめられたね!!」
驚く味方とは対照的に…、朱花と弓菜は微塵の動揺も見せない。
弓菜に至ってはこの状況を理解した上で笑い飛ばしている。
「…聞くまでもないが、この様に包囲された場合、どうするつもりだ?」
朱花は不敵に微笑みつつ、弓菜に尋ねる。
「強行突破に決まってるさね!」
「同感だ、早く終わらせるぞ」
「「………」」
弓菜は力強く答え、朱花は冷静な口調で応える。
弓菜と朱花の遣り取りに光牙達の動揺が収まり、陣形が整う。
-ジッ-
「裏日本沖縄の制圧完了、近隣の海賊達が迎えに来ました」
「確認した、作戦成功だ、全軍撤収して次の敵に備える」
「「了解」」
報告を受け、作戦成功を感じたハルツィスは、各機に伝達し、二重三重に包囲していた衛連のZW隊が速やかに撤退していく。
「うお!?あいつら逃げやがる!?」
「逃がさねえ!一気に叩こうぜ!」
「…待ちな、追うんじゃないよ」
「…死ぬぞ?」
勢気達は追撃しようとするが、並々ならぬ威圧感を纏った弓菜と朱花に制止される。
…今追撃すれば死に物狂いの激しい反撃を受ける…、弓菜と朱花は交戦した敵からその気迫を感じていたからである。
-ジッ-
「…お姉ちゃん」
「…沖縄を落とされたみたいだね、結依菜」
「…うん」
情報を整理していた結依菜が言い、弓菜は冷静に言う。
「…ハルツィス・アーシュ・永戸か、侮れんな…」
朱花は裏日本室戸沖防戦と沖縄・種子島陥落の図を睨みながら呟く。




