凶人艦隊乱入
今回は舞台が宇宙になります。
光牙達が翼騎士芒霊と戦っていた頃…。
火星圏では…。
「提督、本艦隊は間もなく火星圏内に入ります」
「火星政府軍に再度入電、間もなく決戦が始まるとな…」
「「ハッ!」」
提督の指示に従い、士官達は火星政府軍に打電する。
地球政府軍の大艦隊は火星圏内に布陣し、多星連合軍の迎撃態勢を整えていく。
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「司令官、あと二時間後には火星圏に到達します」
「ふむ、間もなく決戦だな…」
「我々の計画は間もなく第二段階に入りますな…」
「…これより長い戦いが始まるぞ」
木星連邦軍から補給を受けた連合軍は、そのまま火星圏へと向かっていく。
間もなく…地球側と木星側の決戦の火蓋が切って落とされようとしていた。
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火星圏にて…地球政府軍と多星連合軍が激突した頃…。
沈黙を保っていた凶人一家は…。
-ゴォォォォ-
-ビビッ-
-チュン-
「ボス、決戦の宙域に到達しましたぜ!」
髭面の海賊が報告する。
「…おし、此から地球政府と多星連合政府の両方に喧嘩売んぞ、思う存分暴れろ」
「「「オオオオオオ!!!!!」」」
凶人の号令で一家の皆が気声をあげる。
「進路このまま、本艦の主砲斉射と同時に各艦隊のステルス解除、決戦に介入します」
「ふっふ、派手にやっておるわい」
フェンは指揮を執り、柘榴は両勢力の布陣を見て呟く。
「各艦隊に通達、本艦は此より主砲を斉射します、各艦隊は作戦通り行動して下さい」
「了解した!」
「此方も了解!」
「「了解」」
丹生は一家の各艦隊に通達し、各艦隊は陣形を変えていく。
「…凶人よ、主砲のエネルギー充填はかなり前からやっておるのだが、そろそろ良い頃合いではないか?」
エネルギーチャージを行っていた柘榴が凶人に言う。
「…主砲んエネルギーはどうなってる」
凶人は艦長席に足を置いたまま言う。
「親父、主砲のエネルギー充填率…500%を超えてるぜ!」
「射線軸上に味方機無し!何時でもぶっ放せますぜ!」
湊と髭面の海賊が報告し…。
「…おし、奴らの土手っ腹に心地いい風穴を開けてやれ」
凶人は艦長席に置いていた足を床に戻しながら言う。
「主砲、一斉発射ぁ!」
「発射ぁぁぁ!!!」
-ビシュゥゥゥゥゥゥゥゥン-
コの字型に展開していた凶人旗艦の主砲が発射される。
全長約15kmの凶人旗艦から放たれた巨大な光は、デブリを消滅させながら両勢力の激突した戦場に向かっていく。
-シュゴォォォォォォ-
-ドドドドドドドドドゴォォン-
巨大な光の筋が両勢力の艦隊を貫き、爆発の閃光が戦場を照らす。
「「「ステルス解除!」」」
「突っ込め!」
-シュゥゥゥゥゥゥン-
直後に凶人旗艦を始めとする、凶人一家の艦隊が姿を表し、両勢力の艦隊と交戦状態に突入する。
-ビビッ-
「艦隊側方から10…いえ、じゅ…15km級の巨大な物体…、こ…これは…!?ま…凶人旗艦です!さ…更に100隻以上の黒い艦!…凶人艦隊が現れましたぁ!!ゆ…友軍と敵軍の艦隊が次々と撃沈しています!」
凶人艦隊の出現に両勢力の通信士が悲鳴をあげる。
「なんだと!?海賊共が殴り込みに来たのか!?」
「…先陣は直ちに退避しろ!あの艦に蹴散らされるぞ!」
地球政府軍は凶人艦隊の進路から退避し、凶人艦隊と多星連合軍を挟撃する構えを見せる。
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「ぐっ!何が起きた!?」
「艦隊に甚大な被害!…艦隊前方に凶人艦隊出現!」
「凶人め…!貴様らも我々の邪魔をするか!」
「奴らは海賊だ!政府共々叩き潰せ!」
連合軍は両軍を纏めて殲滅させる構えを見せる。
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「ふむ、威力不足は否めんが、なんとか風穴は開いた様だな」
柘榴博士は穴の開いた両勢力の艦隊を見ながら呟き、何かの操作を始める。
「…TSDキャノンXつったか、出鱈目な威力をしてやがる」
凶人は敵艦隊の被害を見て呟く。
「柘榴のジジイ、奴らは散ったぞ、どうすんだ?」
湊は凶人艦の舵を執りながら言う。
「…湊、せめて柘榴博士と言いなさい」
「ふっふ、構わんよフェン」
フェンは愛娘に言い、柘榴は笑顔で言う。
「へっ、クソジジイも孫娘には甘くなんだなぁ?あぁ?」
凶人は孫娘に好々爺を演じる柘榴に言う。
「…ふん、寝言を言うでないわ凶人」
「…ケッ、締まらねえ面しやがってよ」
笑顔を浮かべながら言う柘榴に対し、凶人は呆れた様に言う。
-コォォン-
「クソジジイ!俺達の出番はまだか!?」
量産型クラネオンⅢに搭乗したガナスが柘榴に通信を送る。
「口を慎め!ガナス!」
-ドゴォォン-
「ぐおっ!?」
ガナスを見かねた桔梗は、ファランクス・ウォールで量産型クラネオンⅢを揺さぶり、衝撃を受けたガナスは転倒する。
「何しやがる!?鉄仮面女!」
「修正だ、柘榴総統に対して態度を改めろと何十年言っていると思っているのだ貴様は!」
「コラァァ!!余計な仕事を増やすなっつってんだろうがお前らはぁぁ!!」
「親父っさん!落ち着いて!また血圧が上がりますよ!?」
「離せクソガキども!!」
「ガァァ!!うるせえぞ亮明!」
「此方の話を聞け!!」
「その前に俺に説教させろってんだろうが!!」
-キィィン-
「…むぅ…!」
ガナスと桔梗の遣り取りに加え、量産型クラネオンⅢを整備していた亮明が雷声をあげて怒鳴り、柘榴博士は思わず耳を塞ぐ。
「あ~あ、また始まった」
「仲良いよね、あの三人…」
「その三人の子供達も仲良いけどね」
量産型クラネオンⅢに搭乗して待機している蓮華、ユチ、リーシェの三人が言う。
「ほっとけよ」
「「………」」
蓮華達の言にリシア達は恥ずかしそうにそっぽをむく。
-ジッ-
「申し訳ありません柘榴様、この馬鹿には後でキツい修正を加えておきます」
「…むぅ…程々にな、桔梗」
「ハッ!」
桔梗は柘榴に言い、柘榴は桔梗の後ろで土下座をしているガナスを見て冷や汗を流しながら呟く。
「…戦闘中だというのに夫婦喧嘩をする余裕があるとはな」
「彼奴らの場合は夫婦喧嘩ってより…調教じゃねぇのか?」
柘榴は溜め息混じりに呟き、凶人は呟く。
「…まあいい、そうこうする内に…戦況はたった今から拙者が握った」
-ウゥゥゥゥン-
柘榴は何らかの装置を作動させて呟く。
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同じ頃、政府軍艦隊後方では…。
「ゲイボルグの発射準備、間もなく整います」
「ふむ、射線上の味方艦隊の退避を急がせよ」
「ハッ」
縦列艦隊に偽装した長大な砲身が特徴的なVSDSキャノン…、通称ゲイボルグが発射準備を整えつつあった…。
「…ゲイボルグ、エネルギーチャージ…間もなく完了します」
「…味方艦隊の位置確認、…射線上の味方艦隊…退避完了!」
「…お釣りはとってもらわんとな、照準!凶人旗艦及び連合艦隊!」
「了解!照準、凶人旗艦及び連合艦隊!」
「数価変換…誤差修正!…エネルギーチャージ完了!…ゲイボルグの発射良し!」
「ゲイボルグ!撃てぇ!!」
艦長がゲイボルグの発射を命じる…。
………。
しばしの沈黙…。
「…どうした!?」
「…ゲイボルグ応答無し!…こ…これは…!?」
「何があった!?」
「…TL-D粒子反応!…ゲイボルグが…無力化されました…!」
「何…!?……テリドゥンシステムか!?…おのれ…!柘榴め…!」
艦長は拳を握り締めながら唸る。
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「ふっふ、テリドゥン・システムで政府軍のゲイボルグを始めとする切り札は全て粗大ゴミと化した、さて…どう遊んでくれようか」
柘榴は鋭い眼光を放ち、顎髭を弄りながら呟く。
-スッ-
「…俺が出りゃ柘榴も楽出来んだろ」
「ふむ、貴様は暴れたいだけであろう」
凶人は艦長席を立って言い、柘榴は凶人の武者震いを見て言う。
-ジッ-
「亮明のオッサン、親父が出るからクラネオン凶駆の用意!早く!」
「今やってる!お前ら!緊急退避だ!凶人が無茶するぞ!!」
凶人が席を立つや、湊は亮明に通信を入れ、亮明は怒鳴る。
「行ってらっしゃい、艦は任せてね、博俊さん」
「へっ、家は任せるぜフェン」
凶人は艦長席をフェンに譲り、二人はすれ違い様にキスをして別れる。
「ふっふ、見せつけてくれるわ…」
柘榴は凶人とフェンを見て微笑みながら呟く。
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凶人旗艦ZW格納庫…。
-ウゥゥゥゥン-
「凶人だ、クラネオン凶駆!ぶっ飛ばすぜぇぇぇ!!!!!」
-ドォォォォォン-
-ゴォォォォ-
凶人の叫びと共にクラネオン凶駆が凶人艦から発進していく。
「ガナスだ!ブレイドクラネオンⅢで突っ込むぜぇぇ!!!」
「桔梗だ、バスタークラネオンⅢ、発進する!」
「世瀬丹生、ライトニングクラネオンⅢ…、出ます」
続いてガナス達が専用の量産型クラネオンⅢで出撃していく。
「………」
「姐さん、ヤツレイ・W・クオンのラケスティヲが出撃しやしたぜ」
ヤツレイは自身専用のZWであるラケスティヲで発進し、髭面の海賊がフェン達に知らせる。




