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超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
27/77

魔法生物と侵蝕~翼騎士の芒霊

今回は共通編となります。

裏日本旧滋賀県付近にて…


先程まで戦闘音が鳴り響いていた地域が突如として静寂に包まれる。


-ゴォォォォォ-


「…何…?…あの月…」


「…兄さん、今日は…新月…なんだよね…?」


「…ああ」


浅野光牙、結依菜、雫石の三人は何かに気づき、夜空に浮かぶ不気味な光を発する新月を見て呟く。


-ヴゥゥン-


-ドクン-


「「!!!?」」


不気味な光を宿した新月が一際暗く煌めき、光牙達は謎の衝撃を受ける。


-ピーン-


「…浅野君、一時休戦しましょう、私達が戦ってる場合じゃ無いみたいですよ?」


「…了解した」



クラネオンⅢのモニターに鳥羽輪廻の姿が映し出され、輪廻の夜刀集弐型との回線が繋がる。


「…結依菜、これを見て…何が起きてるか…大体分かりますね?」


「…はい、輪廻さん…」


輪廻は結依菜にデータを転送し、結依菜は分析結果を輪廻に送る。


「綾乃さん、小雪さん、ステルマリアさん、データを転送するわね、最悪の事態を想定して化け物か何かに備えて下さい」


「あ、はい…って…えぇ!??」


「…ふふ、プロテクトを破られて驚きましたか?」


「え…と、はい…」


「…完璧といえるもの程、脆い面もあるのですよ、綾乃さん」




綾乃はハニーフライトに強力なプロテクトを施していたのだが、輪廻に容易く破られた事に驚く。


「…化け物…ですか…?」


「…ええ、汚染獣やSK、巨人よりもタチの悪い化け物…と想定しておいた方が良さそうですね」


「…了解、何が起きるかも…何が出てくるかも分からない訳ですね…」


「要は何が起きても冷静に対処出来る様にイメージしなさいって事ね」


「そういう事です」


輪廻の言と歪み変わっていく空間に、小雪とステルマリアは警戒心を強める。


-ヴゥゥン-


-ピシィィィィィィン-


『『クキャキャキャ!』』


『『ケックロッキー!』』


歪んだ空間から何かが蠢き、何かが声に似た音を出す。



「…ちぃ…不快な…!」


「な…なんだよ…、この…体の奥に入り込んでくる様な感じは…!」


統弥とクナトは、歪んだ空間と空間を蠢いている異様な感覚に冷や汗を流しながら言う。


「…目には見えんが…何かが動き回ってるのは確かだな」


「…へえ、不可視の化け物か、久々に楽しめそうだね」


光牙は何かの感覚を捉えて言い、綾一は不敵に微笑む。


『『エモノキル!ヒキチギル!』』


『『スイトル!タベツクス!』』


見えない何かは次第に数を増し、何かは一斉に歌声の様な音を出して移動する。


「相手が見えないなら、此方は方円陣と弾幕で対処しましょう、幸い集音探知と影で目標の位置を特定できますから」




輪廻は綾乃のハニーフライトと小雪のヤタガラス(人型形態)とステルマリアのハウンド(フェイク)にデータを転送しつつ、戦術指揮のプランを立てていく。


『『ムダ!ムイミ!ムミョウ!』』


『『アキラメロ!アキラメロ!』』


「…あらあら、そんなに私達が怖いのかしらね」


-ズガァン-

-ズガァン-


見えない何かは金属摩擦音や肉の焼ける様な音を盛んに出して輪廻達を追い詰めようとするが、輪廻は涼しい顔で言い、夜刀集弐型のヤトガタナⅢのリニアを放つ。


-バキィィィン-


-ズゴォォォン-


『ビピキュゥゥ…』


-パン-


リニア弾は見えない何かを貫き通し、見えない何かは空気の抜ける様な音を出した後、破裂音を出して消滅する。


「さあ、敵がパターンを変えるまで弾幕を張って迎撃しましょう」


「「「了解!」」」


輪廻は全員に告げ、皆は方円陣を形成して反応のある部分を目掛けて撃ちまくる。


-ドドドドドドドドド-


-バキィィィン-

-ブシュゥ-

-バスバスバスゥッ-


『『ビピキュゥゥ…』』


-パパパパパパパパパン-


弾幕が見えない何か達を次々と射抜き、四方八方で空気の抜ける様な音と破裂音が聞こえる。


『『オマエ!オイシソウ!オマエ!オイシソウ!』』


「くっ!」




しかし、見えない何かの幾分かは弾幕を潜り抜け、小雪のヤタガラスに接近する。


「小雪さん!」


「このぉ!」


「女の子はやらせないってね!」


-ドドドドドドドドド-


綾乃のハニーフライトとステルマリアのTA・ハウンドとクナトの夜刀集弐型が小雪のヤタガラスに援護射撃を加える。


『『ピ!?』』


-バスバスバスゥッ-

-ブシュゥ-


『『ビピキュゥゥ…』』


-パパパパパパパパパン-


「だ、大丈夫ですか!?」


「………」


「…少し後退した方が良いわ、疲れてるでしょ?」


「…ごめんなさい、少し…気分が…」




見えない何かは瞬く間に一掃されるが、不調を訴える小雪は少し後退する。



-ゴゴゴゴゴゴゴゴ-


「「!?」」


「今度は何だ…?」


-ピシィィィィィィン-


「け…景色が変わっていく…」


-ヴゥゥゥゥゥゥン-


「!!?」


-ポォォォォォン-


-チュドォォォォォン-


歪みの中心から光の柱が伸び、光が広がるや、何かが現れて再び風景が変化する。


「…拓真!起きて!拓真!」


「うっ…アンゼリカ…?…な…何だ此処は…!?」


アンゼリカは気絶している拓真をたたき起こし、拓真は数多の魔法生物によって構築された要塞空間を見て驚く。



「…ベースになる廃墟に魔法生物の巣が幾つもあるわ、此処の人間達の憎しみや苦しみを吸収・転換して空間を要塞化しているのね…」


「な…なんで魔法生物がこんな所にいるのよ!?拓真!」


「俺が知るか」


リコリスは冷静に分析し、御機嫌斜めのアンゼリカは拓真に言う。


「…雫、此処は見覚えがあるか?」


暦は冷静に言う。


「…あるわ、此処は私の絵にもあった場所…」


「そうか、此処が…その場所か…」


「そうよ、暦…」


暦と雫は何かを確信したように言う。


「なら…翼と輪のついたあの芒霊も…」


「ええ、確実に…来るわ、あの芒霊が…」




暦と雫は、不気味に光る新月の光で照らされた景色と、空に浮かぶ三つの新月とモザイクの様な雲を見上げながら呟く。


____________________



「お…おい!何だあの機体は!?」


「新手か!?」


「結依菜、あれの情報は分かるか?」


「…既存の情報に照合する機体無し、別系統の…いえ、全く別の世界から来た機体と言うべきね…」


結依菜は眼鏡を直しながら結果を報告する。


「…そうか、ならもう一つの世界…巨人の中から来た存在と見るべきだな」


光牙はユミルから発せられる思念波からそう断定する。


「…交渉が通じる相手で助かりました、此処は共闘して場を乗り越えましょう」



輪廻は早くもユミル勢と交渉しており、瞬く間に共闘姿勢を整えていく。


「皆さん、あの機体に乗る方々は私達の味方になってくれました、共闘姿勢を整えて場を乗り越えましょうか…、強力な芒霊とやらが来るみたいですから」


輪廻は皆に報告し、陣形を整える。


「ぼ…亡霊…!?」


「亡くなった方の…霊などが相手ですか?」


「ええ、彼女達が言うには字はこう書きますが(芒霊)、イメージ的にはそれで良い様です」


「…な…ナンマンダブ…」


「…止して、縁起でもない…から…」


輪廻はサラッと言い、綾乃と小雪は背筋を凍らせる。


「…さっきの見えない奴らも居るし、幽霊が居ても不思議じゃないよ…ね…」




ステルマリアは少し緊張気味に言う。


「大丈夫ですよ、私達もあの方々も付いています、怖がる事はありません」


輪廻は綾乃、小雪、ステルマリアに言い、三人を落ち着かせる。


「いぃ…お…俺…オバケ…嫌いなんだけど…?」


「…クナトは大のオバケ嫌いだもんな…」


クナトは話を聞いて青くなり、綾一は思案顔になる。


「…結依菜、クナトに喝を入れてやったらどうだ?」


「…兄さん、ったく…しょうがないわね…」


光牙は結依菜に言い、結依菜はデータバンクからあるデータを引きずり出す。


-カタカタカタカタカタ-


-シュン-


「…クナトさん、オバケに負けたら…このデータを皆様方にバラまきますが?」




「スンマセン!!俺頑張ります!!」


結依菜はクナトの黒歴史集を見せ、クナトは早くも方針を転換する。


「これ…彌真奈叔母さんに彌沙那ちゃんに、女装したクナトだろ?…全っ然見分けつかねえよ」


「…だって母さんが直々に仕込んだんだぜ、俺が寝てる間に…」


統弥は冷や汗をかきながら言い、クナトは溜め息混じりに言う。


「つか…ノリノリで女装してるよなお前、男の子に追いかけ回されてるしさ…」


「やめてくれぇぇ!!母さんの恥ずかしい拷問が頭をよぎるからさぁぁ!!」




綾一の言にクナトは頭を抱えて絶叫する。


「だぁぁぁ!!もう!!芒霊でも何でも来いってんだよ!!片っ端から撃ち落としてやるからな!!」


-ガシッ-


-ピコッ-


ヤケクソになったクナトは、スナイピングコントローラーを操作し、夜刀集弐型が狙撃モードに切り替わる。


-ビシュゥゥン-

-ビシュゥゥン-


-ジュゥゥ-

-ジュゥゥ-


『『ビピキュゥゥ…』』


-パパパパパパン-


「それでこそクナトだ」


クナトは勘でトリガーを引き、ヤトガタナⅢから放たれたレーザーが魔法生物達を的確に射抜き、光牙は呟く。


「…有り得ない、魔法生物は常人には見えない筈なのに…」




「…ちょっ!?どういう事なの!?あの子…見えない筈の魔法生物を的確に射抜いてるんだけど!?」


「いや…多分、スナイパーとかそういう奴じゃないのか?」


リコリスとアンゼリカはクナトの神業に驚くが、拓真は冷静に言う。


『『ピキキキキキキキ!』』


-ワラワラワラワラ-


「…雫…」


「…わかってるわ、暦…」


-ズドドドドドドォォン-


-ヒュルルル-


-バシュシュシュゥ-


-カチン-


-ズドドドドドドォォン-


コヨミ・ユミルはコンデム・リヴォルヴァーの連射で近づく魔法生物達を瞬く間に射抜き、懐近くに近づいた魔法生物達はミスリル・ブレイドで両断し、更に近づいてくる魔法生物達をコンデム・リヴォルヴァーで瞬く間に撃ち抜く。


まるで優雅に舞うかの如き動きで戦い、包囲している魔法生物達を全く寄せ付けず、魔法生物達の攻撃には掠りもしない。


コヨミ・ユミルはシズク・ユミルの術による支援を受け、敵の動きに先んじて動いているのである。



暦と雫は抜群のコンビネーションで敵を圧倒し、拓真や魅鳥も負けじと魔法生物達を蹴散らしていく。



其処へ…



『グオォォォォォン!!!!!』


-ビシッ-


「「!?」」


突如として空にセイズ呪歌が轟き、巨大な円輪を両肩に、背中には漆黒の翼を生やし、三角錐の様な頭部と頭上に浮かぶ輪、腕組みをしたポーズが特徴的な翼騎士芒霊が現れる。


『グオォォォォォン!!!!!』


「…来たわね…芒霊…」


「…暦、熱くなりすぎないで」



暦は芒霊を睨んで言い、雫は暦に釘を差しておく。



「あ…あれが…芒霊…」


「…身体が…震える…?」


「…成る程、あれが芒霊ですか…、確かに手強そうな感じですね」


綾乃と小雪は翼騎士芒霊を見てプレッシャーを感じるが、輪廻は翼騎士芒霊を見て不敵に…柔らかく微笑む。


「…う…奴から精神侵蝕波に似たプレッシャーを感じる…!」


雫石は翼騎士芒霊のセイズ呪歌を聞き、並々ならぬ威圧感を感じる…。


「危険度ランクAの芒霊…か、アンゼリカ、リコリス、あの芒霊がどういう奴か知ってるのか?」


「あ…あんなランクの高い芒霊なんて初めてよ!」


「私も初めて見るわ、でも…戦わないと前に進めないわよ?拓真」


「…わかってる…」


拓真はアンゼリカとリコリスの言を聞き、翼騎士芒霊に備える。


「「来る!」」

「皆さん、回避を」


「「!」」


雫と暦が同時に言い、輪廻は皆に回避する様に言う。


『グオォォォォン!!』


-ウゥゥゥゥゥン-

-ビシュゥゥゥゥン-


翼騎士芒霊は三つの輪から禍々しい光を放つ。


-ズドゴォォォォォォン-


禍々しい光は数多の建造物を吹き飛ばし、大地を抉り裂いていく。


「く…!街をまるまる消滅させるとは…!」


攻撃を回避した光牙は、抉り飛ばされた大地を見て言う。


「何て威力だよ…!」


「ふふ、当たらなければ良いだけの事だよ」


-ズガガァン-


クナトと綾一は回避行動を取りながら言い、ヤトガタナⅢを構えて反撃する。


-ヴゥゥン-


「いぃ!?」


「…思念波障壁に似たバリアか、面白い」


夜刀集弐型のリニア弾とレーザーが逸れ、クナトは驚き、綾一は不敵に微笑む。


『グオォォォォン!!』


-シュゥゥゥゥゥン-


「げげっ!?拡散できんのかよ!?」


「回避!」


翼騎士芒霊は禍々しい光を拡散させ、クナトは慌てて回避行動に移る。


輪から拡散した禍々しい光が広範囲降り注ぐ…。


「まるで光の雨…!」


「えぇ!?ちょっ!?こんなの無理無理!」


ステルマリアと綾乃は言いながら禍々しい光の雨を回避していく。


-シュッ-


「防御方陣構築…、ユミル!」


-シャン-

-ポォォォ-


雫はユミルのメイスを描いていた方陣に当てて念じ、方陣術を発動させて降り注ぐ光の雨を防ぐ。


-ドドドドドドドゴォォン-


降り注いだ光の雨が爆発していき、大地を吹き飛ばしていく。


「何とか保ったか!」


拓真はユミルの魔導フィールドを解除しつつ態勢を整える。


「…輪の動きに合わせて動けば回避できます」


「…ふ、あの輪っかは攻防一体の端末というわけか」




輪廻と綾一は不敵に微笑みながら言い、翼騎士芒霊に向かう。


「…圧倒的なのはよくわかった。…ならば近接戦闘に持ち込むまでだ…!」


-カシッ-

-ドォォォォォン-


光牙は呟きながらクラネオンⅢのNEエクスオーブレイドを構えて翼騎士芒霊に向かっていく。


「一斉攻撃だ!反撃の隙を与えるな!」


光牙達が翼騎士芒霊に向かうと同時に各機が翼騎士芒霊に反撃をする。


-ヒュゴォォォォ-


「砕けろ!」


-ズドドドドドォォン-


-ヴゥゥン-


コヨミ・ユミルがコンデム・リヴォルヴァーを連射するが、翼騎士芒霊の輪に弾かれる。


-ウゥゥゥゥゥン-

-ビシュゥゥゥゥン-


「…っ」



-ヒュゴォォォォ-


-ビシュゥゥゥゥン-


-ヒュゴォォォォ-


翼騎士芒霊は輪から禍々しい光を連射するが、コヨミ・ユミルは的確に回避していく。


-ズンズン-


「うおおおお!!」



-ズドォォォォォォン-


翼騎士芒霊の側面からタクマ・ユミルがタックルをみまい、翼騎士芒霊が吹っ飛ぶ。



全長80m近い巨体とユミル勢随一の頑健さを持つタクマ・ユミル…、それから繰り出されるタックルは兎に角強烈である。


「この!」


-バッキョォォォン-


-ググググググ-


「ちぃ、忌々しい位頑丈な輪っかだな…!」


拓真は追撃にユミルの豪拳を翼騎士芒霊に叩き込むが、翼騎士芒霊の輪が豪拳を防御する。



-ヴゥゥン-


「来るわ!拓真!」


「やらせるかよ…!」


-バッキョォォォン-

-ドゴォォォン-


-ビシュゥゥゥゥン-


タクマ・ユミルの連撃が翼騎士芒霊をよろめかせ、禍々しい光が天に向けて放たれる。


「一斉射!来るわよ!」


「わかってる!」


アンゼリカは拓真に言い、拓真はユミルを一旦後退させる。


直後…


-シュシュン-

-ドドドドドドドゴォォン-


『グオォォォォン!』


怒涛の一斉射撃が翼騎士芒霊に襲いかかり、翼騎士芒霊は攻撃を防ぎきれずにダメージを受ける。


-ゴゴゴゴゴゴ-


しかし、翼騎士芒霊はすぐに態勢を整え、腕組みを解く。


『グオォォォォン!!』


-バキバキバキバキ-


ダメージを受けた事で火が付いたのか、頭部の目の部分が禍々しく光り、背部の漆黒の翼が巨大化する。


-ゴゴゴゴゴゴ-


「因果の黄昏が…確定した…?」


空間も更に歪みを増していき、拓真達は因果の黄昏の空間内に閉じ込められる。



『グオォォォォン!』


-ズルズルッ-


『『オォォォォン』』


-ズゥゥゥゥン-


「光牙、どうやらコイツらが俺達の歓迎の御挨拶の様だな」


「邪魔するなら蹴散らすまでだ」


行く手を遮る様に現れた鮭芒霊達に対し、綾一と光牙は動じずに言う。


「相変わらず猪突が目立ちますね二人とも、…もう手は打ってあります」


輪廻は光牙達に言うや…。


「ロケットパァァァンチ!!」


-チュドドドゴォォォォン-


「「!?」」


いきなり鮭芒霊達の胴体に風穴が空き、光牙と綾一は驚く。


『『ギャァァァァ!!』』


-バキバキバキバキィ-

-ブシャァァァ-


巨大な風穴を開けられた鮭芒霊達が耳障りな断末魔をあげて崩壊していく。


-ヒュンヒュンヒュンヒュン-


-ガシュゥゥゥン-


「ふっふーん!時を駆ける芒霊ハンター!大月廣斗(オオツキ・ヒロト)!此処に見参!」


飛ばされた豪腕が鎧武者の如きユミルの右腕に戻り、ユミルの主である大月廣斗が名乗りだす。


「まあ、格好いいこと」



「いやあ、それほどでも…あるけどな!」


名乗りに対し、輪廻は微笑みながら言い、廣斗は少し照れながら言う。


「フフ、流石は輪廻さんだ、抜け目ない」


「…先を急ぐぞ、綾一」


綾一は感心したように言い、光牙は先を急ぐ。




『グオォォォォン!』


-ヒュゴォォォォ-


「くっ!」


-ドゴォォォン-

-ズゥゥゥゥン-


向かってきた翼騎士芒霊がタクマ・ユミルを殴り飛ばし、タクマ・ユミルはガードしたまま吹っ飛んでいく。


-ズズゥゥゥン-


「くそ…なんて馬鹿力だ…!」


「…拓真のユミルをこうも簡単に吹き飛ばすなんて…!」


拓真はユミルの態勢を整えながら言い、アンゼリカは翼騎士芒霊のパワーに戦慄する。


『グオォォォォン!』


翼騎士芒霊は輪を展開して追撃しようとするが…。


「此方を忘れるな!」


-ヒュゴォォォォ-

-ガッキョォォォォン-


魔導フィールドを纏ったコヨミ・ユミルが高速で翼騎士芒霊に突撃し、翼騎士芒霊をよろめかせる。


-カチリ-


「砕けろぉ!」


-ズドドドドドォォン-


-ベコココココォッ-


『グオォォォォン!』


翼騎士芒霊の頭部に最接近したコヨミ・ユミルは、至近距離でコンデム・リヴォルヴァーを撃ち込み、頭部を損傷した翼騎士芒霊は頭を抱えて叫ぶ。


-ドクン-


「…雫!」


「…逆探知…面影は…頭と…胴体と…腕と…脚にあるわ」




雫は方陣術で翼騎士芒霊の攻撃を防ぎつつ、翼騎士芒霊の面影の位置を特定する。


「方陣発動…!…皆さん、あれを狙って下さい!」


-ポォォォ-


方陣術で翼騎士芒霊の頭部・胴体・両腕・両足にターゲットマークに似た方陣が記され、雫は皆に集中攻撃を促す。


「あれが的…ならピンポイントで」


「なら…俺の出番か!」


ステルマリアとクナトは言い、それぞれ狙撃態勢を取るが…。


『グオォォォォン!!!』


翼騎士芒霊は雄叫びをあげて頭部・胴体・両腕・両足を強固なものに再構築し、再び空間を歪めていく。


空間の歪みが現れた直後…。


-ヴゥゥン-


「気合いの本塁打ぁ!!ハイパァァァ!ホォォムラァァァン!!!」


-カッキィィィィィン-


「ぷぎゅ!?」


「打ったぁぁぁ!!大きい!大きい!!ホォォォムラァァン!!」


歪みから勢気が現れ、勢気の渾身のスイングによって打ち飛ばされた緑色の何かが凄まじい速度で翼騎士芒霊に向かって飛んでいく。


-バキィィィィィン-


-ズゴォォォォォン-


緑色の何かは翼騎士芒霊の左腕部に直撃し、翼騎士芒霊の左腕部を貫いて飛んでいく。


『ギャァァァァ!!』


-バキバキバキバキィ-

-ボォォォォン-


-ブシャァァァ-


面影をぶち抜かれ、翼騎士芒霊の左腕部を構築していた鮭芒霊は崩壊。


-ズルズル-


左腕部を失った翼騎士芒霊は、輪から鮭芒霊を呼び出すが…。



「させるか!」


-ズドドドドドォォン-


『ギャァァァァ!!』


-バキバキバキバキィ-

-ブシャァァァ-


コヨミ・ユミルのコンデム・リヴォルヴァーの連射が鮭芒霊の面影を砕き、鮭芒霊は崩壊する。


「んおぉ!?んだアレ!?マジデケェェ!!!」


勢気は翼騎士芒霊に今頃気付き、叫ぶ。


「喧しいぞ栗坂」


-スパァン-


「痛゛ぇ!?」


斑鳩先生はスリッパで勢気の頭を叩く。


「あれって芒霊じゃん…!しかも高ランクの…!」



芙蓉は翼騎士芒霊を見て冷や汗を流しながら言う。


「やれやれ、翼騎士芒霊とは厄介な芒霊が出たものだな」



斑鳩先生は溜め息混じりに呟き、自身のWRFの通信機を弄り始める。


-ジジィッジッ-


「此方創世連合新潟支部所属の斑鳩朱花、此より貴軍を援護する」


-ジッ-


「此方極阿軍特務隊隊長の鳥羽輪廻、貴女方の援護に感謝します」


斑鳩先生のコンタクトに輪廻は即座に応答する。


更に…


「此方表日本軍CCTW隊所属、鳳凰院寧音、此方も其方に協力しますわ」


様子見をしていた寧音達も輪廻と斑鳩先生にコンタクトを取る。


「了解した、芒霊は共通の敵だ、共に片付けようではないか」



「同感です、連携して片付けましょう」


「此方も直ちに合流しに向かいますわ」


-シュン-


「ふ、両方とも話の分かる指揮官の様だな」


すんなりと共闘態勢が整い、斑鳩先生は微笑む。


「よし、栗坂、敷島は私と共に来い、小林と大橋は友軍と合流して援護、足手纏いにはなるなよ」


斑鳩先生は四人に言い、カスタム化したWRF・蟒蛇弐式で翼騎士芒霊に向かう。


「オッシャァァ!ぶっこむぜぇぇぇ!!」


「了解!」


「わっかりました!」


「おし!援護は任せろ!(両手に花!羨ましいぞ勢気ぃ…!)」


勢気と芙蓉は斑鳩先生に追従し、史彦と惇は友軍と合流するべく移動する。


___________________


…別の場所では…


「ふう、あの軍勢は味方になってくれましたわ、直ちに合流しましょう」


寧音はほっと胸をなで下ろし、瞑緒達に合流を促す。


「でも、この位置からなら先にあの化け物を挟撃した方が良いと思うよ」


瞑緒は翼騎士芒霊に向かう斑鳩先生達と輪廻達の動きを見て言う。


「…それもそうですわね、此方の射撃武器ではダメージが通らない…」


瞑緒の言に寧音は思案する。


「だったら突っ込むまでよ!兄貴!」


「おう!」


痺れを切らした美結と織兎が鉄初式を装着して翼騎士芒霊に向かう。


「僕も行く!鉱!」


「もう、私も行きますわ!」


二人に続く様にして瞑緒と寧音も翼騎士芒霊に向かっていく。


___________________


「似たバリアなら思念波障壁で中和出来る筈だ、其処に一斉射撃をぶち込めば…」


光牙のクラネオンⅢは翼騎士芒霊の脚部に接近して思念波障壁を展開する。


-バキィィン-


「ふふ、成功の様だね」


確認の為、綾一の夜刀集弐型がヤトガタナⅢのリニア弾を放ち、翼騎士芒霊にダメージを与える。


「さあ、全軍で猛攻を仕掛けて倒しましょう」


「「了解!」」


輪廻が号令をかけ、皆が翼騎士芒霊に猛攻を仕掛ける。


『グオォォォォン!』


-ウゥゥゥゥン-


「させるかよ!」


-バッキョォォォォン-


翼騎士芒霊は禍々しい光を放つべく輪を展開するが、タクマ・ユミルの渾身の拳撃が翼騎士芒霊の輪を粉砕する。


「こんのぉぉ!」


-バッキョォォォォン-


「砕け散りなさいよ!!」


-ズガガァァァァァァン-


突っ込んできた美結の鉄初式が、翼騎士芒霊の右腕部に甲型破突杭を突き刺し、衝撃波で右腕部の装甲を粉砕する。


「く!?なかなかタフな化け物じゃない…!もう一発喰らっとけぇ!!」


-ズガガァァァァァァン-


『グオォォォォン!!』


甲型破突杭の二撃目の衝撃波が翼騎士芒霊の装甲を更に粉砕し、内部から木像の様な物体が現れる。


「んだありゃ?」


勢気はターゲットマークの付いた木像の様な物体を見て言う。


「それが芒霊の面影だ、破壊しろ栗坂!」


「オッシャァァ!!燃える手刀!」


-バシュゥゥゥ-


斑鳩先生が言い、勢気は陽炎零式の手刀で翼騎士芒霊の面影を破壊する。


『ギャァァァァ!!!』


-ビシビシビシシッ-


-ボォォン-


右腕部の面影を破壊され、右腕部を構成していた鯉芒霊が崩壊する。




「NEエクスオーブレイド…!超電磁両断…!」


-バシュゥゥゥ-


「ロケットパァァァンチ!!」


-ズガァァァァァァン-


『クエェェェェェ!!』


-ビシビシビシシッ-


-ブシャァァァ-


その間にも光牙、綾一、廣斗らが右脚部を構成していた鴉芒霊を崩壊させ…。



「砕け散れ!」


-バッキョォォォォン-

-ドガァァァァァン-


「え…援護します!」


-チュンチュンチュン-


「あれが面影…!」


-ビシュゥゥン-


-シュゥゥン-


『グギャァァァァァ!!!』


-バキバキバキバキィ-


-チュドォォォォン-


拓真のユミルの怒涛の拳撃、綾乃のハニーフライトのニードルガンの後、面影を捉えたステルマリアは、TA・ハウンドの高エネルギー・キャノンを放ち、面影を破砕。


翼騎士芒霊の左脚部を構成していた馬車芒霊を崩壊させる。


四肢を失った翼騎士芒霊は、元の騎士芒霊に弱体化し、空間に綻びが生まれ始める。


『グオォォォォン!』


騎士芒霊は攻勢に出るが…。


「撃ち抜くぜ…行ってこい!」


-ビシュゥゥン-


クナトの夜刀集弐型がヤトガタナⅢ(狙撃モード)の引き金を弾き、騎士芒霊にレーザーが迫る。


-シュン-


『ギャァァァァ!!!』


-ビシビシビシシッ-


-ボォォン-


クナトの放ったレーザーが騎士芒霊の頭部の内部にある面影を貫き、騎士芒霊の頭部が崩壊する。


「トドメは俺様がさぁぁぁす!!!」


勢気は首なしの騎士芒霊に向かっていくが…。


「一刀ぉ!両ぉ断!」


-バシュゥゥゥ-


織兎の鉄初式が大刀で騎士芒霊の装甲を両断し…。


-ガシッ-


「これで!」

「終わり!」

「ですわよ!」


-ビシュゥゥン-


瞑緒、美結、寧音の放ったレーザーが最後の面影を貫く…。



『ギャァァァァ!!!』


-ビシビシビシシッ-


-ブシャァァァ-


最後の面影を砕かれた騎士芒霊が全身を崩壊させていき、内部から大量の泥水が飛散する…。


-ゴゴゴゴゴゴ-


-シュゥゥゥゥン-


騎士芒霊を倒した事で因果の黄昏が消滅し、通常空間へと戻っていく…。



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