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超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
21/77

紗綾脱出~綾一出立



政府機構fleeceの部隊が撤退した頃…


旧極阿シティの加賀崎邸の地下にある格納庫では…


「…政府機構fleeceのZWの撤退を確認、粒子カメラの無効化完了…出るなら今しかないわね…」


-シャキィィィン-


-バコォッ-


紗綾は弐閃の斬撃武器である虎牙で瞬時にコンテナの擬態外装を斬り、思念波操作でガレージを開放する。


-ウゥゥゥゥゥゥン-


そして…二基のVSDSを稼動させ、VSDSの生み出すエネルギーを機体全体に循環させているVSDSコンデンサーが蒼く発光し、機体が徐々に軽量化していく。


「虎牙の性能良し、VSDS良好、スラスター正常…進路…クリア」


背部にある縦型のVSDSスラスターが翼の如き蒼き光を発する。


-ウゥゥゥゥゥゥン-


「加賀崎紗綾、ブレイドヴァイス改め、弐閃…出陣する!」


-ウィィィン-


-ズドォォォォォン-


-ゴォォォォ-


弐閃は加賀崎町の格納庫から一気に加速して飛翔する。



-ビッビッ-


「か…加賀崎町にて所属不明のZWが出現!其方に向かっています!」


「何だと…?」


「俺ん家から!?」


旧極阿シティのオペレーターが慌てて綾一達に報告し、統弥と綾一は旧極阿シティ方面に機体を方向転換させる。


-ビビッ-


「二本の刀に統の字…、あれね…」


-ゴォォォォ-


「突っ込んでくる!?」


「………」


-ピシュゥン-

-ウィン-

-ギショォン-


「何…!?」


「変形した!?」


-ガッキョォン-


「ぐ!?」


弐閃は捕獲形態に変形し、統弥の夜刀集弐型に組み付く。


-ビッ-


「…相変わらず脇が甘いわね、統弥…」


「…おふくろ…!?」


紗綾の弐閃と統弥の夜刀集弐型が組み付いた事で直接回線が開かれ、紗綾と統弥は言葉を交わす。


「…私は仕事で暫く家を空ける、私が不在の間も家事と鍛練は怠りないように、良いわね?」


紗綾は統弥を見据えながら言う。


「ち…ちょっと待てよおふくろ!いきなり仕事でってどういう…」


統弥は紗綾のいきなりの言に反論するが…


「………」


「…ち……分かったよ…!」


紗綾の無言のプレッシャーに何かを感じ取った統弥は、渋々引き下がる。


「………」


-ピシュゥン-


-ゴォォォォ-


紗綾は無言で弐閃を操縦し、統弥の夜刀集弐型から離れるや、弐閃を高速巡航形態に変形させてその場から離脱する。


「………、…やっぱり統弥の母さんだったか、色々あるみたいだな…お前も…叔母さんも…」


「…ち…」


綾一は統弥に回線を繋いで言い、統弥は思わず舌打ちする。



「…統弥さん…」


綾一と遣り取りをする統弥の声を聞いて、柊はやや心配そうな口調で呟く。


「…姫様、加賀崎に回線を繋ぎましょうか?」


柊の口調から心情を察したクレスは、統弥の夜刀集弐型に回線を繋ごうかを尋ねる。


「え…?わ…私は…その…」


柊は恥ずかしそうな表情で言うが…


-ピーン-


「加賀崎、柊姫様がお前と話したいそうだ」


「柊が…?」


「はぅ…」


クレスは恥ずかしがる柊の口調から何かを感じ取り、統弥の夜刀集弐型に回線を繋ぐ。


「あーあー、統弥、此方の通信機器に異常が発生したみたいだ、切るぞ」


-シュン-


「おい、異常なんざどこにも無ぇだろ綾一!…切りやがった…!」


「…(…神威さん…)」


クレスの回線が入り、柊と統弥の回線が繋がるや否や、綾一は即座に適当な理由をつけて統弥機に接続していた回線を切る。



「気遣いに感謝する、神威…」


「俺も野暮じゃないつもりだ、それに…妨害したらどういう目に遭うかは身を以て知っているからな」


クレスは綾一に言い、綾一は微笑みながらクレスに言う。


「…ふ、賢明な事だ、それより…さっきから周囲を見回しているがどうした?」


クレスは綾一の夜刀集弐型の動きを見て言う。


「…クナトはどこへ行ったんだと思ってな…」


クレスの問いに綾一は答え、周囲を探す。


「…奴ならミィナと姫様と一緒に若狭湾に向かったが?」


クレスは綾一にデータを転送して言う。


「…成る程、クナトはミィナに脅されて無理矢理連れて行かれた訳か…」


綾一は転送されたデータを見て納得した様に言う。


「…姫様もクナトが居れば心配が無いと言っていた、恐らく…奴に選択肢はなかったのだろう」


クナトの性格を知るクレスは、ミィナに威圧されて青くなり、椿の発言で退路を絶たれて泣くクナトを思い出しながら言う。


「ふ…クナトらしい…」


綾一は微笑みながら言う。


「…それより神威、そろそろ百一将軍が帰還するのではないか?…後は私達に任せ、お前は先に戻った方が良い」


クレスは時刻を見ながら言う。


「…それもそうだな、後は任せよう」


綾一は真顔で言い、夜刀集弐型を旧極阿シティに向けて移動させる。


「此方綾一、此より極阿に帰還する、親衛隊各機も帰還し、将軍を出迎える様に」


「「了解!」」


綾一の親衛隊が搭乗する夜刀集弐型が14機…彼の乗る夜刀集弐型に追従し、旧極阿シティに向かう。



___________________


旧極阿シティ中央区…


旧極阿シティの政庁にて…


「百一将軍の御到着である!」


老臣が百一の到着を伝え、重臣達は席につく。


「…ふむ、御苦労…」


「「………」」


部屋に身の丈六尺の威風堂々とした偉丈夫…神威百一が護衛を引き連れて現れ、周囲を圧する迫力がその場を支配する。

百一に続き、彼の右腕たる白き軍服に身を包んだ強面の偉丈夫…村楯重彦と白いスーツを着こなし、長く美しい黒髪、インテリ眼鏡、手には電磁シールドにもなる扇子と重要書類を持った美人秘書である鳥羽輪廻が現れ、場は独特の緊張感に包まれる。


-カッ-


「閣下、首尾は如何でしたか?」


上級士官のスーツを身に付けた綾一は、敬礼をして言う。


「九州独立戦線、四国反政府連盟、越後連山機構との軍事同盟は成った、堺と京都、博多、直江津も漸く重い腰を上げ、我等の後方支援に回るとの事だ…前に夜刀集弐型のデータを渡した返答がこれぞ」


百一は厳格な口調で言い、輪廻が映像を見せる。


「ZC-WSX-13夜天宵(ヤテンショウ)、我が軍との同盟に先駆けて開発された機体であり、その性能は百一将軍自らが搭乗して証明なされました」


輪廻はデータを映像に回しながら言う。


「夜天宵は完成後に極阿に向けて先行量産される手筈になっておる、…海外では中華帝国が政府機構fleeceを脱退した、ロシアの同志達も着々と決起の準備を整えているらしい」


重彦は諸将を見ながら言う。


「関西はほぼ協力を得られましたが、東海道と中部、関東、東北と北海道の交渉がまだ残っています、…私が彼等との交渉を引き受けても良いのですが、政府機構fleeceがそれを阻むでしょう、例の精鋭も居る事ですからね」


輪廻は淡々と…しかも冷たい迫力のある口調で言う。


「…(どうするつもりだ、百一)」


「…(…此処のところ隠忍自重の刻を過ごしてきたからな、偶には輪廻達もガス抜きをしたかろう、此度は好きにさせる)」


「…(嘗ての鬼も…歳を重ねれば子供には甘くなるか…)」


「…(此は年季というものぞ、御主こそ娘には甘いのではなかろうか?)」


「…(ふん、言ってくれるな、この親馬鹿将軍め)」


「…(親馬鹿はお互い様ぞ、それより、また細かい事は頼むぞ)」



「…ふう…、…日本国内における政府機構fleeceの対応は輪廻達に任せる、綾一らは輪廻の指揮下に入り、行動せよ」


「承りました」


「ハッ!」


重彦は百一の目を見て…百一は溜め息を漏らし…頷いた後、重彦は言い、輪廻は御辞儀をし、綾一は敬礼をする。


「…では、輪廻達は早速隊を編成して事に対応せよ」


「了解しました、最善を尽くします…ではこれで失礼します」


重彦の言に輪廻は御辞儀をした後に綾一達を連れて部屋を出る。


「さて…我等大人は、此から成すべきを検討するとしよう…!極阿を脱した加賀崎紗綾の処遇についても語りたい」


「「ハハッ!」」



輪廻達が去った後、百一は威圧感を出して言い、重臣達は一斉に返事する。


旧極阿シティ中央区にて百一達を始めとする極阿残党の上層部達は議会を開き、今後について熱き議論と論戦が繰り広げられたという。


___________________


旧極阿シティZW格納庫…


「綾ちゃん、弁当と着替え!さっさと持っていき!」


桂川が綾一に弁当とクリーニングされた制服と着替え一式を投げ渡す。


-ボン-


「…桂川さん、有り難う御座います」


綾一は振り向き様に受け取り、礼を言う。


「綾ちゃん、着た制服はここに入れといてな!オバチャンら洗濯に難儀するさかい!な!?」


「か…桂川さん、神威君なら大丈夫ですって」


桂川は綾一に言い、夜刀集弐型の掃除をしていた久慈が桂川に言う。


「おまはんは分かっとらんねや!綾ちゃんはああ見えて雑やさかいオバチャンら毎度口酸っぱくして言うとるんやで!おまはんも毎度毎度…!」


桂川は視界に入ってきた久慈に凄む。


「す…すみません…」


「ふふ、わかっていますよ桂川さん」


久慈は桂川に恐縮し、綾一は笑顔で桂川に言う。


「あ~、ほな行ってきぃや、オバチャンらにも土産頼んどくで」


「勿論です」


桂川の言に綾一は笑顔で答える。



「…さて、輪廻さんも此方に戻って来た事だ、そろそろ…表に向かわないとね」



綾一は受け取った弁当と制服を夜刀集弐型の収納スペースに入れながら言う。


-ジッ-


「交流戦…だったな、一人で大丈夫か?」


綾一の夜刀集弐型にクレスからの通信が入る。


「ふふ、軽く一汗流してくるよ」


-ピシュゥン-

-ウゥゥゥン-

-ドォォォン-


クレスの言に対し、綾一は微笑みながら答え、夜刀集弐型が極阿から飛び立っていく。


「…神威…」


空に飛び立った綾一の夜刀集弐型を見て、クレスは呟く。



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