表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
1/77

裏日本~黒虎目覚め

裏日本将星統合学園にて…


「神父様、神父様はどんな女性が好みなんでしょう?それを知りたくて私は悩み苦しんでいます」


「神父様はモ〜ホ〜というのは本当でしょうか?私はそれを確かめないと眠れなくて」


二人の女子生徒が光牙の前に跪き、祈るようにして言う。


「…懺悔なさい、有りの儘を告げ、祈りを捧げれば神はお許しになるでしょう…」


光牙は二人を見て言う。


___________________


「どうだった?」


「うんうん!やっぱり神父様ってば良い!キター!!!って感じ!」


「あのクールな感じと慈悲深い微笑みで新刊出せるよぉ!」


「顔も性格も良くて学園の生徒会副会長!おまけに成績優秀で理事長御墨付きのエリート!ガチよガチ!」


「さあ!創作力も補充したことだし!我々創作部は活動を再開するわよ!!」


「りゅんりゅん…燃えてる…」


___________________


「………」


「御苦労様、アーサー」


シスターの一人が紅茶を入れ、卓上に置く。


「有り難う、ランナー」


光牙は卓上に置かれた紅茶を受け取り、丁寧に飲む。


「ほらほら、営業スマイルが崩れてるわよ、先は長いんだからしっかり神父様をしなきゃ…さ」


蘭南は光牙の頬に触れて言い、微笑む。


「兄さん、もう少しで会議だって」


制服に着替えた結依菜が光牙と蘭南に言う。


「分かった、直ぐに準備する」


光牙は真顔になって言い、奥の部屋へと入っていく。


「おやおや、相変わらずのお兄ちゃんぶりだこと」


蘭南は真顔になった光牙を見て少し呆れた風に言う。


「蘭南さん、空から…来るんでしょうか…衛連が…」


結依菜は蘭南に言う。


「…それっぽい情報はあるんだけど…それがどこかは分からない、今の私は…もう軍部とは関わりが無いから…」


蘭南は少々沈んだ様な表情で言う。


「そう…ですよね…、ごめんなさい…」


結依菜はベヘモス戦争の事を思い出し、蘭南に謝る。


「ん〜…、な〜んか久し振りに…結依菜ちゃんに触りたくなってきちゃったな〜」


申し訳ない表情を見せる結依菜を見た蘭南は、背伸びをした後に悪戯っぽい微笑みを浮かべて結依菜に言う。


「御断りします」


「あら、残念」


結依菜はクールに切り返し、蘭南は残念そうに脱力して座り込む。


-カチャ-


「準備は出来た、さて…行くか」


「わっと!?待ってよ兄さん!」


制服に着替えた光牙は、結依菜と蘭南を見て言い、奥の部屋からは慌てた様子の雫石が駆け出てくる。


「もう、雫石ったらまた制服乱して…」


「ね…姉さん、恥ずかしいよ!」


結依菜は雫石に近づき、制服の乱れを直すが、雫石は恥ずかしがる。


「何言ってんのよ雫石ちゃん、お姉ちゃんが折角やってくれるんだから甘えちゃいなさいよ」


-ガシッ-


「ら、蘭南さん!?」


蘭南は暴れかねない雫石をガッチリと固めて言い、雫石は蘭南の感触に赤面する。


「ランナー、あんまりやると雫石が恥ずかしがって泣くからやめてやれ」


見かねた光牙は蘭南に言う。


「別に良いじゃん、アーサーの意地悪〜」


蘭南は雫石をガッチリ固めたままブーイングを放つ。


「…ランナー、お前はもう少し……、……済まない…」


光牙は何かを言いかけるが、蘭南の物悲しげな表情を見てこらえる。


「…!」


光牙が顔を背けるや、蘭南もハッとして表情を整える。


「どうしたの?蘭南さん…」


雫石は力を緩めた蘭南を見て言う。


「何でもないよ、さあ…行こう!」


「うん!」


蘭南は何時もの調子で言い、雫石は力強く頷いて言う。


「…(蘭南さん…まだ…)」


結依菜は蘭南の作り笑顔を見て心を痛める…。


___________________


学園都市の外…地下都市へのゲート付近にある都市にて…


「で…会長、一つ聞いても良いか?」


光牙は隣にいる生徒に向かって言う。


「何ですの?浅野副会長」


縦ロール髪が特徴的な女子生徒が光牙を見ずに言う。


「何故私だけが神父服でこの様な活動を…?」


神父服の光牙は、表面上は落ち着きつつもやや怒気を含めた口調で言う。


「あら、それはその方が面白いからに決まってますわよ?」


会長は当然の様に言う。


「………」


「副会長…堪えて堪えて」


会長の言動に光牙は怒りとも諦めともつかないオーラを出し、それに気付いた他のメンバーが光牙を抑えにはいる。


「…それに理由はまだまだありますわ、お聞きになられて?」


会長は自信満々の表情を浮かべて言う。


「時間の無駄です、活動を優先しましょう」


「察しが良くて助かりますわ」


光牙は溜め息混じりに言い、活動を開始する。


___________________



「成層圏の第一次降下部隊降下開始!」


「天候良し、アプローチ!第二次降下部隊降下準備良し!」


「第二次降下部隊降下開始!」


「第一次降下部隊、損耗率12%!87%が降下完了しました!」


「第二次降下部隊、損耗率5%未満!93%が降下完了した模様!」


「良し、制圧作戦を開始せよ!」


「「了解!」」

衛連のZW部隊が地球の各地に降下し、制圧作戦を開始する…。


___________________


裏日本統合学園付近にて…


「…時間キッカリだ、流石は輪廻姉さん…予測に寸分の狂いもない」


綾一は空に映るZWの大部隊を見て呟く。


「どうする?綾一」


クナトは可変銃の手入れをしながら尋ねる。


「…暫くはお手並みを拝見させてもらうさ、政府の新型ZWも見られるかも知れないからね、ふふ…」


綾一は降下するZWの動きと逃げ惑う民衆とを見ながら言う。


「夜刀集弐型は?」


「近くに待機させてある、向こうが俺達に手を出してきたら…殺る」


綾一は微笑みを浮かべつつ、親指の甲を自分の首筋をなぞるように動かして言う。


___________________


-ウゥゥゥゥゥゥン-


「襲撃警報!?」


「衛連だ!」


「…!!皆は避難を!早く!」


光牙達は鳴り響く警報に反応して活動を変える。


「会長!蘭南!皆を向こうのシェルターへ誘導してくれ!!俺は結依菜と雫石を探す!」


「コッチは任せなよ、アーサー!」


「…副会長…」


光牙は会長と蘭南に誘導を任せ、自らは妹と弟を探しに走る。


___________________


「雫石!コッチ!」


「姉さん!」


結依菜は逃げ惑う民衆を櫂潜って移動し、雫石の手を引いて誘導する。


-ヒュゥゥゥン-


-ズゥゥゥゥン-


「姉さん!」


「!?」


空から衛連のZW…ガロツⅢが降下し、その衝撃で通路が崩れる。


-シュシュシュン-


-ギュゥゥン-

-バキィィン-


-ドゴォォォォン-


-ウィンウィン-


-ギショォォン-


「何て装甲なの…?レーザーもリニアも跳ね返すなんて…、これが…衛連のガロツⅢ…」


FC(フルシフト・コーティング)装甲を持つガロツⅢの堅牢さを見た結依菜は驚きつつ、雫石を庇う様にしながら呟く。


-ズガァン-


-バキィン-


-ドゴォォォォン-


「きゃっ!?」


「くっ!?」


ネオンプラス4型の放ったリニアがガロツⅢの装甲に跳ね返され、リニア弾が建物を粉砕し、結依菜と雫石は衝撃を受けて吹き飛ぶが…。



-ガシッ-


「結依菜、雫石!無事か!?」


二人を受け止めた光牙は言う。


「兄さん、無事だったのね!?」


「兄さん…」


結依菜と雫石は光牙を見るや言う。


-シャァン-


-ヴゥゥン-


-バシュゥゥ-

-ズガァァァァン-


ガロツⅢのコーティング・ソードがネオンプラス4型を真っ二つに両断し、衝撃で後ろに倒れたネオンプラス4型は建物に倒れ込み、圧壊させていく。


「!!」


-ダッ-


光牙は結依菜を背負い、雫石を抱えて疾走する。


「…チ…邪魔が入った、目標は何処だ…?」


ガロツⅢのパイロットは複合探知センサーを稼働させ、周囲を捜索する。


-ピコピコピコ-


「…ふっ」



モニターに三つの人影が映し出され、ガロツ?は人影が向かう先に先回りする。



「Nのシンボルマーク視認、突入開始」


-ドォォォン-


-ヒュゥン-


-ドカァァァン-

-ガシャァァン-


「きゃ!」

「く!」

「わぁ!?」


防壁が爆発し、爆風が避難途中の光牙達を吹き飛ばす。


-ズゥン-


-ウゥゥン-


-シュゥン-


ガロツⅢが防壁の穴から出現し、光牙達の方へ振り向き、カメラアイを光らせる。


-ピコ-

-ピコ-

-ピコ-


-ヴゥン-


「此より抹消する」


-ギショォン-


ガロツⅢの側頭部レーザー砲が展開する。


「レーザー!?、ちぃ!」


-ダッ-


「!?」


「う!?」




光牙は咄嗟に反応し、再び結依菜と雫石を抱えて激走する。


-シュシュシュシュシュン-


-ドドドドドドォォン-


ガロツⅢの側頭部レーザーの連射が施設を粉砕していく…


-ガシャァァン-


-ゴゴゴゴゴゴ-


「く、結依菜、雫石!!」



崩壊する瓦礫を避け、光牙達は瓦礫の悪視界を利用して身を隠す。


「………」


「………」


「ク…!」



-ウゥゥン-


-カシャン-


「……、ち…!」


-ウゥゥン-


-ジッ-


-クゥゥン-


ガロツⅢのパイロットは、各種カメラアイを展開して光牙達を捜索するが、瓦礫にある光学迷彩式SSCや自動散布された対レーダー・対粒子撹乱膜の影響が強く、反応を捉える事が出来ない。



「…近くに隠れたか…ならば、此処を吹き飛ばすまでだ」


-ピシュゥン-


-ガゴォン-

-ガラン-


ガロツⅢの腰部から円盤状の物体が射出され、床に落ちる。


「ふん、生き埋めになるが良い、…これより本作戦に戻る」


-ズンズン-


-ドォォォン-


ガロツⅢはウイングを展開し、防壁の穴から外部へと飛び立つ。


-ピィィン-



「!?、伏せろ!」


「う!?」


「く!」


円盤状の物体を見た途端、光牙は結依菜と雫石を伏せさせる。


-ズドゴォォォォォォン-


凄まじい爆発が発生し、光牙達の居た場所を吹き飛ばす。


___________________


-ゴゴゴゴゴゴ-


地下に爆発の振動が伝わる…。




-キリキリ-



-キィィ-


「地下通路か…助かったな…」


-ピン-


-ダァン-


光牙は結依菜と雫石を抱えたまま言い、梯子に絡ませたワイヤーを解除、着地する。


「大丈夫か、結依菜、雫石」


「私は大丈夫」


「俺も平気だよ」



光牙は二人に言い、結依菜と雫石は大丈夫な旨を伝える。


「ここは…、ZW用の通路か…」


「…政府機構fleeceの地下軍事施設…実在していたのね…」


結依菜はシークレットデータを解析して言う。



「…(…何だ…?…この感じは…?)」


光牙は何かを捉え、その方向を向いて歩む。


「…(…誰かが…私達を…呼んでいる…?)」


結依菜も何かを捉えたのか、光牙と同じ方向に向かう。


「わ!待ってよ!兄さん、姉さんも!」


雫石も何かを捉え始めていたが、光牙と結依菜が先に歩んだ為、慌ててその後を追っていく。


___________________



-ドドドドドドォォン-


-チュドォォォン-


「レーザーで隔壁をぶち破れ!」


-チュドォォォン-


「くそ!衛連め…新型のクラネオンⅢまで渡して堪るかよ!」


-ピシュゥン-

-ガゴォン-


隔壁が破られそうになる中、整備士がクラネオンⅢのコクピットに乗り込む。



-ビビ-

-ポッポッポッ-


-ウゥゥゥゥン-


「クソっ、処理が追い付かねえ!」


-チュドォォォン-



「おわぁ!?」


-ググググググ-


「やべぇ!機体のバランスがぁ!!」


-ズゥゥゥン-


「ぐあぁ!!」


起動途中だったクラネオンⅢは、爆風と吹き飛ばされてききた障害物に足を取られてバランスを崩す。


-ズンズン-


-ギュゥン-

-ピィィン-


「新型を発見、此よりろ獲する」


隔壁の穴から侵入してきたガロツⅡがクラネオンⅢを捉える。


-ズンズン-


-カタカタカタ-

-パチ-


-ビビッ-


「ぐ…くそ…、何故動かねえんだ…?…俺じゃ…クラネオンⅢを動かすのは無理だってのか……!」


整備士は再起動させようとするが、倒れたままのクラネオンⅢは動く気配すらない。


その間にもガロツⅡは距離を縮めてくる。



倒れたクラネオンⅢの近くには…


「…兄さん、此処も危険みたいね」


「………」


ガロツⅢの爆弾を交わし、地下通路を移動してきた光牙達の姿があった…。



-ギショォン-


「兄さん!ZWが!」


ガロツⅡが武器を構え、雫石は光牙に近づく。


「………(あの機体…さっきから…俺達を…呼んでいる…?)」


ガロツⅢの襲撃から不思議な感覚に襲われていた光牙は、感覚に導かれる様にクラネオンⅢを見て思案する。


「兄さん!」


結依菜は思案中の光牙に呼び掛ける。


「…結依菜、雫石、あの機体に向かって走るぞ!」


「え!?」


突然の光牙の言に雫石は素っ頓狂な声をあげる。


「……、また…ZWに乗るの?」


光牙の行動を直感的に捉えた結依菜は、光牙に問う。


「ああ、乗るさ…生きる為にも…!」


「……、うん…」


結依菜の問いに光牙は即答し、光牙の決意を悟った結依菜は頷き、覚悟を決める。


「行くぞ!」


-ダッ-


光牙の一声で三人はクラネオンⅢに向かって走る。


-ズンズン-


-シュゥゥ-


「新型は持ち帰る、サヨナラだ…」


ガロツⅡがクラネオンⅢに接近する。


-ガシャ-

-ビビッ


「クソ!動かねえ!このまま御陀仏かよ!!」


ガロツⅡがクラネオンⅢの目前に迫り、整備士は恐怖する。




其処へ…



-ピシュゥン-

-グゥゥン-


「結依菜、雫石!乗るぞ!」


クラネオンⅢのコクピットが開かれ、光牙達がコクピットに乗り込む。


「な…何だ、お前らは!?」


「避難中の民間人です、暫くこの機体を借ります!…脊椎シート、VNFS、VNWS…構造と操縦系統はネオンと同じか…なら…俺のN・E・O・Nに応えろ!!」


-バチュゥゥゥゥン-


『VNWS、パイロットの脳波、血圧、心拍数、呼吸、体温、代謝機能正常、遺伝子、N・E・O・N適性クリア、脊椎シート、神経フィードバック、VNFS、エネクシフエンゲージ、システムオールグリーン、ZEAX-14クラネオンⅢ、起動します』


-ギュゥン-

-ウゥゥゥゥン-


「VNWSが応えた…!?…Lv3のN・E・O・N適性…!?…お…お前、クラネオンⅢを動かせるのか…!?」


いきなりクラネオンⅢの起動を成功させた光牙に、整備士は驚きを隠せない。


「…よし、結依菜、雫石、俺用の調整…出来るな?」


「任せて」


「分かった」


光牙の言に結依菜と雫石は早速機体の調整作業に移る。


「…(クラネオンⅢをこうも簡単に…、こいつら…何者だ?)」


「行くぞ!」


-ウゥゥゥゥン-

-カチカチ-


-ポッポッポッ-

-ビビッ-


-ピシュゥン-

-ウゥゥゥゥン-


-ガキョォン-

-ズゥゥゥン-


クラネオンⅢが障害物をはねのけ、身を起こして立ち上がる。


-ギショォォン-

-シュン-

-ヴゥゥゥゥン-


クラネオンⅢの頭部バイザーが展開し、メインカメラアイが発光する。


「し…新型が動いただと…!?適合者は全て始末している筈だ…!」


迫力のある起動を見せたクラネオンⅢを見て狼狽するガロツⅡのパイロット…。



其処へ…


「邪魔を…するな!!」


-ドォォォン-


-ガッキョォォォン-

-ズドゴォォォォン-


クラネオンⅢのタックルがガロツⅡを吹き飛し、ガロツⅡは隔壁に激突する。


「ゲホッ!ゲホッ!…うっ!?」


「うおおお!!」


-ガッキョォォォォン-


「…ぁぶほっ!?」


-ドゴォォォォォン-


「がぁっ…!」


続いてクラネオンⅢの拳がガロツⅡの左胸部に炸裂し、ガロツⅡの左胸部が大きく凹み、衝撃で左肩部が千切れ飛ぶ。


隔壁をぶち抜いて更に吹き飛ばされたガロツⅡは、奥の隔壁に激突し、動かなくなる。


「…グェホッ!!…ゲボォッ!…ひ…ひぃぃ…!ぱ…パワーが…違いすぎる…!!」


-ボォォン-


-ヴゥン-

-チュドォォォン-



パイロットはクラネオンⅢの圧倒的なパワーに恐れをなして脱出、直後にガロツⅡは損傷の酷さに耐えられずに爆砕する。



「し…新型がゴズの機体を!…この野郎!」


-ズンズン-

-ゴォォォ-


別のガロツⅡのパイロットが怒声をあげてクラネオンⅢに迫る。


-シャァン-


「これでバラバラにしてやる!!」


ガロツⅡはプラズマ・ザンバーを抜刀してクラネオンⅢに斬りかかるが…。


-ギショォン-


-ゴォォォ-


「雑な動きをする!」


-ガシッ-

-ベキョォッ-


-ブゥゥン-


「何!?うわぁぁぁ!?」


-ブチブチブチィッ-


-ドゴォォォン-


斬撃の瞬間、ガロツⅡはクラネオンⅢにザンバーを持った腕部を掴まれ、投げ飛ばされる。


クラネオンⅢの凄まじいパワーはガロツⅡの腕部を容易く握り潰しており、ガロツⅡの右肩からは引きちぎられたコードが露出していた。


「…ぐ…この!」


「…!」


-グゥゥゥゥゥン-

-ヴゥゥン-


「兄さん!」


ガロツⅡがライフルに手を伸ばすや、光牙は即座に反応してクラネオンⅢを操縦し、プラズマ・ザンバーを刺突に構える。


-グゥゥン-


「目を閉じてろ雫石!」


「…!?」


-ゴォォォ-


「…!?よ、よせっ!?うわぁぁぁ!!」

-ズゥゥゥン-


-バシュゥゥゥゥン-


-ヒュゥゥゥゥン-


クラネオンⅢがダッシュしてプラズマ・ザンバーを突き出すや、プラズマ・ザンバーの切っ先がガロツⅡの胴体部分を貫き通し、プラズマ・ザンバーで貫かれたガロツⅡは、痙攣しながら機能停止する。



「…よ…よくも!」


-ズンズン-

-シャァン-


-ゴォォォ-


味方を倒されて激昂したガロツⅡのパイロットは、ガロツⅡの背部に装備されているプラズマ・ザンバーを抜刀し、クラネオンⅢに迫る。


-コォォン-


「その程度!」


-ゴォォォ-


「…!!?わあぁぁ!!」

-バシュゥゥゥン-


迫るガロツⅡの胴体部分にプラズマ・ザンバーが突き刺さる。


-ブゥゥゥン-


-グググググ-


「ふん!!」


-ビキッ-

-バキョォォン-


-ブゥゥゥン-


-ガッキョォォォォン-


-ズドゴォォォォン-


-チュドォォォン-


クラネオンⅢが凄まじいパワーでガロツⅡを薙払い、あまりのパワーでプラズマ・ザンバーが破損し、力任せに引きちぎられて両断されたガロツⅡの上半身部分は、隔壁の向こう側に吹っ飛び、隔壁に激突して爆砕する。


-ギショォン-

-ガシッ-



「ち、コイツの携行武器は…、86式のハイブリッドライフルが一つだけか…」

-ウゥゥン-

-ガシャ-


光牙はクラネオンⅢの装備品を確認し、オートマチック操作で背部のハイブリッドライフルを取り出す。


「いや、これだけじゃない、奥の方にクラネオンⅢ用のNEエクスオーブレイドのコンテナがあったはずだ、それを使え」


整備士が格納庫の奥にあるコンテナを差して言う。


「了解した、…あのコンテナか…。結依菜、雫石、白兵戦の調整も頼む!」


「うん、もう直ぐで調整が終わるから待ってて」


光牙の要望に結依菜と雫石の調整速度が増す。


「しかし、一割も調整が終わってない上に武装無しでZWを三機も落とすたぁな、一体何者だ?お前ら…」

「話は後の裁判でじっくりとさせていただきましょう、但し、生き延びれればの話ですがね」


整備士の言に光牙は厳かな口調で返す。


「へへ…、裁判覚悟か、んじゃ…その時は俺が弁護してやるよ…鳳家が一門、鳳勝久の名の下にな…」


「………」


整備士こと…鳳勝久は己の正体を教え、不敵な微笑みで光牙達に言う。


勝久は光牙の返答と覚悟が気に入ったみたいであるが、光牙達は勝久の言を意に介さない。


-ウゥゥゥゥン-

-ゴォォォ-


クラネオンⅢが格納庫の奥に向かい、NEエクスオーブレイドのコンテナを開く。


-ピシュゥン-

-ガシッ-

-ギショォン-


「コイツはクラネオンⅢ用の剣闘換装フォルム、リッパー01なんだが…」


「………」


衛連の襲撃で損傷したのか、リッパー01は中身のNEエクスオーブレイド以外、ほぼ全てが大破していた。


「これじゃ、剣以外は使い物にならないわね」


結依菜は淡々とした口調で言う。


-ガシッ-

-シャアアン-


「…エクスオー系技術の複合武器か…!?」


「そうだ、このNEエクスオーブレイド…、コイツは乱戦や強行突破を想定して作られた特注品でな、切れ味と頑丈さはプラズマザンバーとは比較にもならんぞ、おっと…普段は腰と背中のどちらかにマウントする仕様になってるんだ、大事に使えよ」

損傷の激しいリッパー01からNEエクスオーブレイドを引き抜き、光牙は武器の特徴を見て驚き、上機嫌になった勝久は、武器のアドバイスをする。



-ガシャン-

-ピシュゥン-


「一通りの武器は揃った…、地上に出よう!」


「確か…シェルター隣にはリニア発進口があった筈だ、其処に向かってくれ」


「了解…」


-ギショォン-

-ウゥゥゥゥン-

-ゴォォォ-



勝久の言の通り、光牙はクラネオンⅢをシェルター隣にまで移動させる。


「………」


-カタカタカタ-

-ポッポッポッ-

-ビビッ-


その間、結依菜と雫石はクラネオンⅢの調整を進めていく…




-ゴォォォ-


-ズゥン-


-ピシュゥン-



「此処は無事みたいだ、発進行けるぞ」


「了解した」


勝久の言に従い、光牙はクラネオンⅢをZW用のリニアカタパルトに移動させる。


-ズンズン-


-ガシャン-

-ガキン-

-シュゥゥ-


-ウゥゥゥゥン-

-ポッポッポッ-


-ビビ-


「リニア接続完了」


結依菜がリニア接続完了の旨を光牙に伝える。



「コウガ・アサノ及び、ユイナ・アサノ、シズキ・アサノ、クラネオンⅢ…出るぞ!」


-ウゥゥゥゥン-


-バチィ-

-ズドォォォォン-


-ゴォォォ-


リニア射出光と共にクラネオンⅢが発進する。


-ゴゴゴゴゴ-


「振動…?」


-ゴォォォ-


「兄さん、出口に熱源3!」


-ガシッ-


-キュゥゥゥン-


「ふ、早速試させてもらう」


-ゴォォォ-


「うん?」


偽装された発進口からNEエクスオーブレイドを展開したクラネオンⅢが出現し、ガロツⅢに向かって突進する。


「何だと!?」


-ギュゥン-

-ゴォォォ-


「危ない!やらせるかぁ!」


いち早く襲撃に反応したガロツⅢがシールドを構えて間に割り込む。


-バシュゥゥン-


-ズゥン-


「馬鹿な!?FC装甲が!?」


NEエクスオーブレイドの一撃は、割り込んできたガロツⅢのシールドごと肩部と腕部を切断し、切断されたシールドと腕部が地面に落ちる。


「邪魔だ」


-ガキョォン-


「ぐわっ!?」


回避されたと思うや、光牙は賺さずクラネオンⅢを操縦、割り込んできたガロツⅢを蹴りとばす。




-ズゥン-

-ガシッ-


「纏めて斬り捨てる…!」


-ドォォォン-


クラネオンⅢは、NEエクスオーブレイドを構えて再び突進する。


-コォォン-

-バシュゥゥン-


-ギュゥン-

-ズバァァァン-


「くそっ!脱出!」

「!!!!!」


-ヴゥン-

-ボォォォォン-


クラネオンⅢは、割り込んできたガロツⅢをNEエクスオーブレイドで両断し、更に背後のガロツⅢを払い抜け、胴体部分を両断して撃破する。


「くそっ!落ちろ!」


-ビシュゥン-

-ビシュゥン-


「緊急回避!」


-ゴォォォ-


-シュシュン-

-ドゴォォォン-


空中のガロツⅢはレーザードライフルを放つが、結依菜の構築した緊急回避プログラムにより、レーザーが外れてしまう。


「撃ち落とす」


-ガシッ-

-ズガァン-

-ズガァン-


クラネオンⅢはハイブリッド・ライフルを放つ。


「何!?」


-ヒュゥン-

-バキィィン-


「わぁ!?」


-ズシィィィン-

-チュドォォォン-


二射目のバースト・リニア弾がガロツⅢの胴体部分に直撃し、地面に墜落・爆発する。


-ビビッ-

-カチカチ-


「市街地方面から新たな熱源、ガロツⅢと…金色のガロツⅢだよ!」


「新手か…」


雫石は金色のガロツⅢを発見し、光牙に伝える。


「おいおい、俺様の居る戦場で好き勝手やってんじゃねえぞコラ!」




金色のガロツⅢはクラネオンⅢに向かっていく。


-スガァァン-


-バチュゥゥゥン-

-ググググググ-


金色のガロツⅢのコーティング・ソードとクラネオンⅢのNEエクスオーブレイドが激突し、互角の鍔迫り合いを展開する。


____________________


付近にて…


「へぇ、やるな…あのZWのパイロット、並みの腕じゃないぜ」


ビルの屋上でライフルを構えたクナトが言い…


「けっ、近接戦闘なら俺と良い勝負かもな」


木刀を背負った茶髪のワイルドヘアの少年が言う。


「…ふふ、これが政府機構fleeceの新型ZW…ZEAX-14・クラネオンⅢか、政府も良いZWを開発したものだね」




その近くでは、腕組みをしてクラネオンⅢと金色のガロツⅢの戦いを観戦している綾一が呟く…。


____________________


-ヒュゥン-

-バチバチィ-

-ウゥゥゥゥン-


「とりまこれでも喰らっとけよ!」


-ビシュゥゥン-


金色の専用カラーが目を引くスライの専用ガロツⅢが、高速移動しつつ腹部圧縮位相エネルギー砲をクラネオンⅢに放つ。


「兄さん、思念波障壁を!」


「………」


雫石の言と同時に光牙は精神を集中させる。


-ウゥゥゥゥン-

-ポォォォ-


「あぁ!?、コイツのビームが弾かれただぁ…?」





クラネオンⅢの思念波障壁が実体化し、スライ専用ガロツⅢの圧縮位相エネルギー砲を偏向させる。


____________________


「!?、思念波障壁!?」


先程から観戦していたクナトが思念波障壁を見て驚く。


「マジか…俺達以外で思念波障壁を使える奴と言えば…」


「ああ、間違いない…、クラネオンⅢのパイロットは…、ベヘモス戦争の生き残りだ」


ワイルドヘアの少年の言に続き、綾一が微笑みを浮かべて言う。


-ダッ-


「おい!」


「ちょっ、何処へ行くんだ綾一!?」



「ふ…クラネオン?のパイロットに興味が出た、これから挨拶をしに行く」





統弥とクナトの言に対し、綾一は走りながら二人に言う。


「待てよ、俺も行くぜ!」


「俺を置いていくなよ!」


-ダッ-


統弥とクナトが綾一に続き、屋上から屋根を疾駆していく…。



「ん?…今走っていったのって、三馬鹿じゃん…」


ココアシュガーをくわえた翠髪の少女が、ビルの屋上を移動する三人の少年を見て呟く。


「ミィナちゃん、また綾一君が統弥君とクナト君に良からぬ事を吹き込んだんじゃ…」


少年達の姿を見て不安になった黒髪の少女がオロオロしながら言う。


「………椿、三馬鹿を止めるよ!」


「は~い」


ミィナは、額を押さえながら言い、ミィナの言に椿は明るい声で返事する。


「ミィナ、姫、神威達がまた!」


更に男装の麗人が少年達の姿を見て駆け寄り叫ぶ。


「クレスちゃん、私はもう姫じゃないんだから椿で良いですよ?」


クレスの「姫」という単語に椿は反応し、やんわりとクレスを諫める。


「あ…い…いえ!それは余りにも恐れ多く私は姫の…、…それよりミィナ!神威達を止めるのを手伝ってくれ!」


クレスは何時もの癖で椿に敬礼したまま言うが、すぐさま我に返ってミィナに助力を求める。


「うん、今行く所だったよ」


クレスの気迫にミィナは思わず後退りしてしまう。


「すまない、姫、行きましょう!」


「もう、私の事は椿で良いとあれほど…」


「い…いえ、その…」



「はぁ…其処までにしてさっさと行くよ、椿、クレス」


三人は遣り取りを一時中断し、少年達を追いかけていく…。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ