第二部・異世界への召喚編 (12_1)
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イエガー率いる集団に、ソーホーは目を見開いた。
「イエガー。君も森を抜けられたのか!」
「そうだ。あとは我々が引き受ける。お前はそこで見ていろ。――マリブ大臣!」
うむ、とマリブは頷いて、兵士たちに合図をした。兵士たちは弓をかまえる。
「放て!」
マリブの号令とともに、あまたの矢がアブソルートに放たれた。けれど、矢はことごとく、アブソルートの身体にはねとばされてしまう。
「はあああああああ!」
その間にイエガーはアブソルートのもとへと走った。剣を抜きながらアブソルートがくりだした拳をひらりとかわし、アブソルートに一太刀、お見舞いした。
「ソーホー、剣というのはこうやってふるうんだ!」
イエガーはそう叫んで、アブソルートに剣をふるい続けた。相手へのダメージが殆どないことや、刃こぼれなども気にしないふうで、イエガーは攻撃を続けた。
しかし、彼の攻撃の手がひるんだほんの一瞬――、アブソルートは腕をなぎ払った。猛烈な爆風がおこった。イエガーも兵士たちも吹き飛ばされた。
「うわあああっ――」
イエガーは壁に激突し、ぐったりとなった。
ソーホーは目の前の状況にただただ圧倒されるだけだった。
「な、なんてことだ。強い、強すぎる……。もうおしまいだ、どうしようもない――」
呟くソーホーに対し、
「ば……馬鹿!」
とイエガーは叫んだ。
「イエガー……?」
イエガーは痛みに顔を歪めながら、けれどもソーホーをしっかりと睨みつけていた。
「やっぱりお前はただの腰抜けだ。なんだ、お前のディタに対する想いはその程度のモノだったんだな」
「そ、そんなことは――ない」
「なら、なぜそんな弱音を口にする。どんなに苦しい時でも、強がって諦めないのがお前の性分じゃないのか。ひとりででも立ち向かってみせろ。どうせ死ぬなら、愛する者のために戦って死ね」
「云いやがったな――。私がこんなところで死ぬわけがなかろう」
ソーホーはふたたび剣をかまえた。
「イエガー、君こそ見ていろ。私があの怪物をきっとやっつけてみせる」
「ほざけ、腰抜け」
イエガーはニヤリと笑ってみせた。ソーホーはアブソルートの方へと向き直る。アブソルートはズシンズシンと足音を響かせながら、ソーホーへと近づいていた。




