第二部・異世界への召喚編 (6_2)
「ところで――」
マリブは王子たちの後ろに立っているトモエの方を見た。
「この者はいったい誰ですか」
「はっ、この者は王宮の近くにおり、ディタ姫を救いたいと云っていたので、怪しいと思いながらも一応連れてきたのです」
イエガーが答えた。
「その方、名前は?」
マリブは静かな口調で問うた。
「鶴洲トモエといいます」
「はぁ――。あまり見慣れない格好をしているが、そなたの職業は? 騎士か、剣士か?」
「魔法少女です」
「マホウショウジョ? 聞いたことがないな……」
「魔法少女とは、魔法によって邪を祓い、世界を救う存在。そのパワーの源は、ユメのセカイという次元宇宙のエネルギー。それを魔力に換えて戦います」
マリブは顎に手を当ててうーむと唸った。トモエの得体が知れず、困惑しているようだ。
「――先ほどのお話からも分かる通り、もうすでに姫をお助けする手筈は整っているのだ。せっかく来てもらって申し訳ないが、今日のところは帰っていただけるか?」
「ちょっと待て――」
ふいに、国王が口を開いた。低く、威厳のある声だった。
「トモエとかいったな。私は、この国の王・パライソじゃ。トモエ、そなたに問うがわが娘を救いたい、その心に偽りはないな?」
「もちろんです」
トモエは答えた。
「よろしい――。では、そなたはソーホーと手を組み、娘を助ける旅に出てくれぬか」
「国王さま!」
パライソ王の言葉に、マリブは驚いた。パライソ王は落ち着いた様子で応える。
「協力してくれる者が多いにこしたことはなかろう。それに、わが娘を救いたいと願い出てくれたものがこれだけいるのじゃ。むげにはしたくない」
「しかし――」
「国王さま、望むところです」
マリブの言葉を遮るようにイエガーが云った。
「おい、ソーホー。俺とお前、どちらが姫を助け出すか、勝負といこうじゃないか」
「望むところだ!」
好戦的な目つきのイエガーと、まっすぐに相手を見据えるソーホー。ふたりは火花を散らすかのように激しく睨み合った。
「トモエとやらも、それでよいか」
「はい、かまいません」
トモエは答えた。状況からみて、それしか手はなさそうだ。




