表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/70

第一部・神さまは気まぐれ!?編 (9-1)


 9



 ふたたびバスに揺られ、トモエたちはホテルに到着した。


 ロビーで先生たちが受付を済ませた後、生徒たちはエレベーターに乗り、各々の所定の部屋まで向かう。


 トモエたちの泊まる部屋の番号は、531であった。当然、階は5階である。エレベーターには12階までのボタンがあったので、真ん中よりも少し下ということであろう。


 ルームキーでドアの鍵を開け、部屋に入った。


「はぁ~――」


 トモエは部屋に入るや否や、大きく息を吐き、ベッドにどん、と腰を下ろした。


「トモエ、相当疲れてるみたい」


 由梨が笑って云った。まさにその通りだった。体力的な部分ももちろんだが、何より精神的にどっと来ていた。


「晩ゴハンの時間ハ、何時ダッケ?」


 アイラの質問に由梨が答える。


「7時半って云ってたよ。もうすぐだから、部屋でちょっとゆっくりしたらレストランに向かおう」


「ジャア、ソノ前に着替えてクルネ」


 アイラがそう云ってバッグの中から取り出したのは、薄手で濃紺のワンピースであった。何となく、どこかで見たような心地がする。


「……ひょっとして、それスクール水着じゃない?」


 おそるおそるトモエは訊いた。ひょっとして、どころではなかった。その生地の質感、胸元につけられたゼッケン。スクール水着以外の何物でもない。


「ソウ。“スク水”ダヨ」


 案の定、アイラは肯定した。


「何でそんなの着るの?」


「昼はメイド服、夜はスク水。コレこそ萌えデショ?」


「だめー! それ着てホテル内をうろつかないで。せめて、寝る時間まで別の格好でいて!」


 メイド服であろうが、スクール水着よりはまだましだ、とトモエは思う。


「エー……」


 アイラは不満そうな声をあげ、ちらりと由梨の方をうかがった。


「うん。私も、さすがにスクール水着はやりすぎだと思うかな」


 由梨にもそう云われ、アイラはしぶしぶ水着をバッグの中に戻した。


 トモエはほっ、と胸を撫で下ろした。アイラの感覚にはついていけない。萌えの定義などよくは知らないが、仮に本当にそれが萌えの真髄なのだとしたら、トモエには到底理解できるものではなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ