表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闘神の子Ⅱ  作者: ありり
8/40

サフィの不自由

五人はそのまま歩き続けていた。


風が草原を流れ、遠くの山が少しずつ近づいてくる。


先ほどの会話の余韻が、まだ空気に残っていた。


その沈黙を破ったのはルークだった。


「ところで」


サフィを見る。


「姫さまはどうだったんだ?」


サフィが眉を上げる。


「何が?」


ルークは肩をすくめる。


「先代の闘神のことを知ってるって言ってただろ」


「どこで見たんだ」


サフィは少し前を見ながら答えた。


「たまに」


「父に連れられて外に出ることがあった」


「そのとき遠くで見ただけ」


ガルドが少し驚く。


「へえ」


ルークが続ける。


「じゃあ普段は?」


サフィはさらっと言った。


「城」


ホープが振り向く。


「城?」


サフィはうなずく。


「水の神の城は海の中」


ルークが目を丸くする。


「海の中?」


サフィは当たり前のように言う。


「そう海底」


ガルドが感心したように言った。


「そりゃ地上に来ねぇわけだ」


サフィは肩をすくめる。


「父に連れられない限り」


「地上に出ることはほとんどなかった」


少し間を置いて言う。


「神の娘だから」


「不自由はなかった」


そして少しだけ視線を逸らす。


「でも」


「自由でもなかった」


風が静かに吹く。


ルークもガルドも何も言わなかった。


セリアはサフィを少し見ていた。


そのときホープが笑った。


「じゃあ」


サフィが顔を上げる。


ホープは言った。


「今から作ればいいじゃん」


サフィがきょとんとする。


ホープは空を見上げた。


「地上の思い出」


「いっぱい」


そして仲間たちを見る。


「どうせしばらく一緒に旅するんだし」


ガルドが笑う。


「違いねぇ」


ルークも軽く笑った。


「姫さまの初めての地上旅か」


セリアは静かに言う。


「悪くない」


サフィは少し黙っていた。


そして顔を少しそらしながら言う。


「……別に思い出とかどうでもいい」


ルークがにやりと笑う。


「本当か?」


サフィは少し照れたように言った。


「ただ」


少し間を置く。


「もし出会うなら」


四人を見る。


「先代の闘神様みたいなかっこいい人がいい」


ルークが吹き出した。


ガルドが笑う。


ホープは苦笑いする。


「またそれ言うのか」


サフィはそっぽを向く。


「悪い?」


その声には少しだけ照れが混ざっていた。


だが、その言葉はどこか場を和ませていた。


五人の間に、小さな笑いが広がる。


風が吹き抜ける。


遠くの山は、もうかなり近かった。


その向こうに――


竜の神の領域が広がっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ