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闘神の子Ⅱ  作者: ありり
本編
5/50

水の神の娘

神殿の中央。


神々の力が宿った光が、ゆっくりと静まっていく。


雷の光をまとったルーク。

風の気配を背にしたセリア。

大地の重さを感じさせるガルド。

そして炎の加護を受けたホープ。


四人はそれぞれ、自分の体に宿った力を確かめていた。


やがてホープが神々の方へ向き直る。


「……ありがとうございます」


深く頭を下げた。


ルークも剣を胸の前に立てる。


「こんな力まで貸してもらえるなんて」


ガルドも腕を組みながら言う。


「まさか神様に背中押されるとはな」


セリアも静かに頭を下げた。


「必ず役立てます」


神殿の空気が少し柔らぐ。


炎の神が豪快に笑った。


「礼を言うのは俺たちの方だ」


腕を組んだまま言う。


「竜が暴れてるのは神の問題だ」


「それを止めに行くのがお前たちなんだからな」


風の神も軽く笑う。


「本来なら私たちが動くべきところだしね」


土の神が低くうなずく。


「闘神の小僧、頼んだぞ」


神殿に少し温かい空気が流れた。


そのとき創造の神がふと眉をひそめる。


「……待て」


神々が創造の神を見る。


創造の神はホープたちを見渡した。


「炎」


「雷」


「風」


「土」


そして静かに言う。


「水がいない」


炎の神が「ああ」と声を出す。


「確かに」


創造の神は続けた。


「竜の炎に対抗するには、水の力が不可欠だ」


神々が少し黙り込む。


風の神が腕を組む。


「水の神はいるけど……」


炎の神が苦笑する。


「本人が動くわけにはいかないな」


神が直接動けば、世界の均衡が崩れる。


そのことは、この場の誰もが理解していた。


神殿の空気に、少し迷いが生まれる。


そのときだった。


落ち着いた声が響く。


「それなら」


神々の視線が一斉に向く。


水の神だった。


深い青の衣をまとった、穏やかな雰囲気の神。


水の神は静かに言った。


「私の娘を連れて行くといい」


神殿がざわめく。


炎の神が眉を上げる。


「娘?」


水の神はうなずいた。


「神の娘は、基本的に神の力を受け継がない」


「私の娘も同じだ」


「神ではない」


そしてホープたちを見る。


「だが」


「あなたたちが受けた神の加護」


「その程度の力なら、娘も持っている」


炎の神が笑う。


「なるほど」


「水役としては十分だな」


ホープは少し驚いた。


「娘……ですか」


水の神は穏やかに微笑む。


「外の世界を見たがっている」


「だからぜひ連れて行ってやってほしい」


ホープは少しだけ考えた。


神の娘。


自分たちと同じ危険な旅へ連れて行くことになる。


だが――


水の神の目には迷いがなかった。


ホープはゆっくりうなずく。


「……分かりました」


「お願いします」


水の神は静かにうなずいた。


「ありがとう」


そして手を軽く上げる。


神殿の中央に、水色の光が広がる。


光が集まり、ひとつの姿を形作る。


次の瞬間。


一人の少女がそこに立っていた。


水色の長い髪。


透き通るような水色の瞳。


ホープたちと同じくらいの年頃の女性だった。


水の神が言う。


「サフィ」


少女は静かに頭を下げる。


「はい、父様」


そして神々を見回し、少し緊張した様子で言った。


「サフィです」


水の神がホープを見る。


「この子を連れて行ってほしい」


サフィはゆっくりホープの前へ歩いてくる。


そして小さく頭を下げた。


「闘神様」


ホープはすぐに手を振った。


「いやいや」


少し困ったように笑う。


「ホープでいいよ」


サフィは少し驚いた。


「……え?」


ホープは肩をすくめる。


「様とかつけられるの慣れてないんだ」


ルークが小さく笑う。


ガルドもニヤリとする。


セリアは静かに様子を見ていた。


サフィは少し迷ってから言う。


「……ホープ」


小さな声だった。


炎の神が腕を組む。


「よし」


「これで役者は揃ったな」


創造の神が静かに言う。


「竜の神の領域」


「調査を頼む」


ホープは仲間たちを見る。


ルーク。


セリア。


ガルド。


そしてサフィ。


ホープは小さくうなずいた。


「……行こう」


こうして――


闘神と仲間たちは、竜の神の領域へ向かう準備を整えた。

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