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闘神の子Ⅱ  作者: ありり
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動揺

石の広間に、張り詰めた空気が漂っていた。


シャインの起こした風はまだ渦巻き、床の砂や石片が舞い上がっている。


ホープは一歩前に出た。


その視線は、まっすぐシャインへ向けられている。


「……シャイン」


静かに呼ぶ。


「本当に」


一瞬、息を整える。


「本当に愛されていなかったのか?」


その言葉に、シャインの手がわずかに止まった。


空気が揺れる。


ほんの一瞬だけ、攻撃の気配が緩む。


ホープは続けた。


「シャイン、その名前」


「光とか、輝くって意味だろ」


シャインの瞳が揺れる。


ホープは言った。


「愛していなかったら」


「そんな名前、つけないと思う」


その言葉が、広間に静かに響く。


次の瞬間――


「うるさい!」


シャインが叫んだ。


風が爆発する。


「黙れ!」


怒りをぶつけるように手を振る。


その衝撃がホープへ襲いかかる。


だが――


ガンッ!!


ガルドが前に出ていた。


巨大な盾が衝撃を受け止める。


床に亀裂が走る。


「ぐっ……!」


ガルドが歯を食いしばる。


「ホープ!」


だがホープは動かない。


シャインを見つめたまま、言葉を続ける。


「俺は」


少しだけ視線を落とす。


「生まれてすぐ」


「人間に預けられた」


仲間たちが静かに聞いている。


ホープは言った。


「最初は捨てられたのかと思った」


拳を握る。


「でも違った」


顔を上げる。


「俺を守るためだった」


「父さんが苦しんで決めたことだった」


静かな声だった。


だが確かな重みがあった。


ホープはシャインを見る。


「シャインもそうだったんじゃないのか?」


その言葉に、シャインの瞳が揺れる。


ホープは続ける。


「神々の影響を受けないように」


「わざと突き放した」


「冷たくした」


「守るために」


「そうするしかなかった」


シャインの呼吸が荒くなる。


「……違う」


小さく呟く。


「うるさい」


そして声が大きくなる。


「うるさい!」


怒りが爆発した。


シャインの手に、何かが現れる。


黒い光。


それが形を成す。


長い――


鞭。


神の鞭。


空気が震える。


その存在だけで、周囲の神力が揺れた。


ルークの目が鋭くなる。


「……あれ」


息を飲む。


「あの武器……」


「闘神の剣と同じレベルの力だ」


シャインが鞭を握り締める。


怒りで震えていた。


そのとき。


サフィが一歩前に出た。


小さな声だった。


「……シャイン」


全員が少し驚く。


サフィはまっすぐシャインを見る。


そして言った。


「素敵な名前だよ」


その言葉に、シャインの瞳が大きく揺れた。


次の瞬間――


バンッ!!


鞭が振り下ろされる。


地面が砕けた。


石床が割れ、衝撃波が広がる。


ルークが叫ぶ。


「避けろ!」


セリアが弓を構える。


「当たったら」


ルークが歯を食いしばる。


「あんなの」


「身体が裂けるぞ!」


だがそのとき――


「待って!」


ホープが叫んだ。


仲間たちが止まる。


ホープは振り向き、仲間を見る。


「みんな」


静かな声だった。


「シャインへの攻撃は」


「もう少し待ってほしい」


ルークが眉をひそめる。


「ホープ……」


だがホープは再びシャインを見た。


一歩前へ出る。


「シャイン」


風の中で、声を届ける。


「一緒に」


ゆっくり言う。


「答えを探しにいかないか」


シャインの手が震える。


ホープは続けた。


「本当に愛されていなかったのか」


「確かめよう」


静かな言葉だった。


「一緒に」

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