未来の話
北の大地は静かだった。
空気は冷たく、風が乾いた草原をゆっくりと揺らしている。
遠くに低い丘が連なり、その先に小さな森が見えた。
ホープたちはその地に降り立つ。
ルークが周囲を見渡す。
「ここか」
ホープは頷いた。
「創造の神が言っていた場所だ」
視線の先、森の奥に小さな影が見える。
祠だった。
「……あそこだな」
ガルドが言う。
「少し歩くな」
五人はゆっくり歩き出した。
風が静かに吹く。
緊張の前の、不思議な静けさだった。
そのときサフィがふと口を開く。
「ねえ」
四人が振り向く。
サフィは少し考えるように言った。
「この戦いが終わったら」
「みんなはどうするの?」
ホープが少し空を見上げる。
そして答えた。
「俺は」
静かな声だった。
「これからも」
「先代の闘神が守ってきた土地を守る」
「......でも、世界中を旅したい気持ちもある」
少し歩きながら続ける。
「それと神と地上に生きる者たちの架け橋になれたらいいな」
サフィはその横顔を見ていた。
そして少しだけ聞く。
「……また」
「会ってくれる?」
ホープはすぐに笑った。
「もちろん」
そして続ける。
「なんなら俺の住んでる土地、案内するよ」
サフィの目が少し丸くなる。
「え?」
ホープは笑う。
「いいところだぞ人もエルフも魔族もみんな普通に暮らしてる」
サフィは少し顔を赤くした。
「……いいな」
嬉しそうに小さく笑う。
その様子を見て、ガルドがにやりとした。
「おいおい」
腕を組む。
「いい雰囲気じゃねぇか」
サフィが慌てる。
「ち、違う!」
ホープも苦笑する。
ガルドは笑いながら続けた。
「ま、俺は俺でやることあるけどな」
ホープが見る。
「何するんだ?」
ガルドは胸を叩いた。
「城は守る」
「でもな」
少し目を輝かせる。
「防具作りもやりたい」
ルークが笑う。
「鍛冶屋か」
ガルドは頷く。
「武器もいいが守るための盾だ」
拳を握る。
「最強の盾を作る」
セリアが静かに言う。
「……あなたらしい」
ホープがセリアを見る。
「セリアは?」
セリアは少しだけ考えてから答えた。
「私も城を守る」
弓を軽く触る。
「弓の技術も磨く」
そして静かに言った。
「でも戦術も学びたい」
ルークが眉を上げる。
「戦術?」
セリアは頷く。
「軍師」
風が静かに吹く。
「戦いを導ける人になりたい」
サフィが目を輝かせる。
「すごい、みんな夢があるんだね」
そしてルークを見る。
「ルークは?」
ルークは少し肩をすくめた。
「俺か?」
少し考える。
そして答えた。
「第一騎士団長として土地を守る」
ホープの方を見る。
「あと」
少し笑う。
「闘神を支える」
そして続ける。
「それと」
セリアを見る。
「将来の軍師を守る」
セリアの頬が少し赤くなる。
「……ルーク」
ガルドが笑う。
「おいおい」
サフィは羨ましそうに言った。
「いいなー、みんな」
そしてセリアがサフィを見る。
「サフィは?」
サフィは少し空を見る。
そして答えた。
「まだ決まってない」
少し笑う。
「でも」
「みんなの住んでる土地、見て回りたい」
ルークが笑う。
「歓迎だ」
ガルドも頷く。
「うまい飯もあるぞ」
ホープも言う。
「いいところだって言っただろ」
セリアも静かに微笑む。
サフィは嬉しそうだった。
その時間は、ほんのわずかだった。
だが、五人にとって、とても温かい時間だった。




