創造の神の贖罪
静かな部屋の中。
創造の神はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと続けた。
「シャインに対して」
「神々は……手を差し伸べなかった」
低い声だった。
「先代の感情の神が亡くなったあとも」
「半神であることを軽蔑する者もいた」
ホープは顔を上げる。
「……先代の感情の神は」
少し迷いながら聞いた。
「どうして亡くなったんですか?」
創造の神は、すぐには答えなかった。
ほんの少しだけ沈黙が流れる。
そして静かに言った。
「……シャインだ」
ホープの目が動く。
創造の神は続けた。
「シャインが父を殺した」
その言葉は、重かった。
「そして感情の神となった」
部屋の空気がさらに重くなる。
ホープはしばらく言葉を失っていた。
やがて小さく息を吐く。
「……」
そして俯いた。
「俺」
少し悔しそうに言う。
「シャインに話しかけられたとき」
「もっと寄り添えばよかった」
拳を握る。
「何か変えられたかもしれない」
創造の神は静かに首を振った。
「気に病むことはない」
穏やかな声だった。
「すでにその時には神々への恨みはあった」
「お前のせいではない」
ホープは何も言わなかった。
ただ静かに聞いている。
少し間を置いて。
創造の神が口を開いた。
「……ホープ」
ホープが顔を上げる。
創造の神は言った。
「すまなかった」
ホープは少し驚いた。
「……何のことですか?」
創造の神は静かに答えた。
「神々をまとめきれなかった」
「争いを止められなかった」
その声には、深い後悔があった。
「その結果お前は生みの親である闘神と」
「その妻と共に過ごす時間を失った」
ホープは黙って聞いている。
創造の神は続けた。
「そして私は闘神の命を奪った」
静かな言葉だった。
部屋の中に沈黙が落ちる。
ホープは少しだけ目を閉じた。
そして――
ゆっくり微笑んだ。
「創造の神」
創造の神がホープを見る。
ホープは言った。
「俺は助けられてます」
「あなたに」
創造の神は少し驚いたようだった。
ホープは続ける。
「槍の使い方、教えてくれましたよね」
少し笑う。
「まだまだですけど強くなれました」
「だから感謝しかないです」
創造の神はしばらくホープを見つめていた。
そして静かに笑った。
とても穏やかな笑顔だった。
「……そうか」
創造の神は手を上げた。
その手に、柔らかな光が集まる。
「ならばひとつ」
「加護を与えよう」
光がゆっくりとホープへ流れ込む。
体の奥に、静かな力が宿る。
ホープが少し驚く。
「これは……」
創造の神は言った。
「創造の神の加護」
ホープは目を瞬かせる。
「どんな力ですか?」
創造の神は微笑んだ。
「……さあな」
肩をすくめる。
「きっとどこかで役に立つ」
それ以上は言わなかった。
ホープは深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
そして顔を上げる。
「俺」
少し真剣な顔になる。
「明日の朝一番で出発します」
創造の神は静かにうなずいた。
「そうか、ならばよく休むといい」
ホープはもう一度頭を下げた。
そして、静かな部屋を後にした。




