新たな戦いの予感
話が終わると、しばらく静かな空気が流れた。
仲間たちはそれぞれ考え込んでいる。
やがて、ルークが口を開いた。
「……で」
腕を組みながらホープを見る。
「これからどうする?」
ホープはしばらく黙っていた。
風が静かに吹き抜ける。
そして顔を上げた。
「……会いに行く」
仲間たちの視線が集まる。
ホープははっきり言った。
「感情の神」
「シャインに」
サフィが小さく息を呑む。
セリアが静かに言う。
「でも場所が分からない」
ホープも頷いた。
「そうなんだ」
そのとき、竜の神がゆっくりと口を開いた。
「ならば」
低く落ち着いた声だった。
「一度、天上界へ行こう」
仲間たちが竜の神を見る。
竜の神は続けた。
「神々に状況を伝える」
「そして感情の神の居場所を探る」
少しだけ目を伏せる。
「それに……」
静かな声で言った。
「我は謝罪せねばならぬ」
ホープが首を傾げる。
竜の神は言う。
「感情を乗っ取られていたとはいえ多くの迷惑をかけた」
「神々にも詫びねばならない」
その言葉に、ホープは小さく頷いた。
「……分かった」
竜の神が翼をゆっくり広げる。
「では行こう」
その瞬間。
周囲の空気が震えた。
竜の神の力が広がる。
空間がゆがむ。
光が渦を巻く。
そして――
次の瞬間。
景色が変わった。
そこは天上界だった。
白く広がる空。
巨大な神殿。
神々の住む場所。
ホープたちが姿を現すと、すぐに数柱の神が近づいてきた。
最初に現れたのは――
創造の神。
その後ろに、炎の神。
風の神。
土の神。
雷の神。
ホープを見ると、炎の神が笑った。
「無事だったか!」
風の神も優しく言う。
「心配していた」
土の神が腕を組む。
「ずいぶん派手なことになったらしいな」
雷の神は苦笑した。
「竜たちの暴れ方で分かった」
竜の神が前に出る。
「我の暴走だ」
静かに頭を下げた。
「申し訳ない」
神々は少し驚いたように見た。
そのとき。
後ろから慌てた声が聞こえる。
「サフィ!」
水の神だった。
サフィを見るなり、駆け寄る。
そして――
ぎゅっと抱きしめた。
「無事か!」
「怪我はないか!」
サフィは少し顔を赤くした。
「ち、父様」
周囲には神々がいる。
少し恥ずかしそうに言う。
「大丈夫」
水の神はそれでも離さない。
「心配したんだ」
サフィは小さくため息をつきながらも、少し照れていた。
神々の前で、娘を抱きしめる父。
炎の神が笑う。
「相変わらずだな」
水の神は気にしない。
やがて落ち着くと、ホープが状況を説明した。
竜の神の暴走。
影の存在。
そして――
感情の神。
神々の表情が変わる。
創造の神が静かに言う。
「……シャイン」
そしてゆっくり手を上げた。
空中に水晶玉が現れる。
透明な球体の中に光が流れる。
創造の神が目を閉じる。
神の力が水晶に注がれる。
しばらくして――
光が一点へ集まった。
創造の神が言う。
「見つけた」
ホープが前に出る。
「どこですか」
創造の神は水晶を見ながら言った。
「北」
「この世界の北にある」
「小さな祠」
「そこにいる」
ホープは静かに頷いた。
そして仲間たちを見る。
「……俺」
ゆっくり言う。
「一人で行く」
その言葉に、すぐルークが言った。
「は?」
ガルドも眉を上げる。
セリアも言う。
「待って」
だがホープは首を振った。
「これは俺の戦いだ」
静かな声だった。
「シャインとの問題は俺が向き合う」
仲間たちを見る。
「みんなを巻き込むわけにはいかない」




