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闘神の子Ⅱ  作者: ありり
13/40

守る!

山道を越えると、景色は一変した。


そこから先が――

竜の神の領域だった。


ホープたちは尾根の上で足を止める。


眼下に広がっていたのは、想像していたものとはまったく違う光景だった。


炎が噴き上がる。


次の瞬間、吹雪が巻き起こる。


大地が裂け、岩が空へと舞い上がる。


その中心にいたのは――


竜。


一体ではない。


何体も。


炎の竜。


氷を纏った竜。


雷をまとった竜。


巨大な翼が空を覆い、咆哮が山を震わせる。


竜同士が戦っていた。


爪がぶつかり、牙が噛み合う。


炎が大地を焼き、氷が森を凍らせる。


まるで戦場だった。


ホープたちは言葉を失う。


サフィが小さく呟いた。


「……なにこれ」


ルークが低く言う。


「想像以上だな」


ガルドも眉をひそめる。


「こりゃ……とんでもねぇ」


竜たちは互いに狂ったように戦っている。


明らかに普通ではない。


ルークが視線を外さずに言った。


「どうする」


そして横目でホープを見る。


「進むか?」


少しの沈黙。


ホープは竜たちの戦いを見つめていた。


そして言う。


「……もう少し進みたい」


ルークはすぐにうなずいた。


「分かった」


ガルドも肩を鳴らす。


「付き合うぜ」


セリアも静かに言う。


「うん」


サフィだけが少し不安そうだった。


視線が竜の戦いへ向いている。


ホープが気づく。


「サフィ」


サフィが振り向く。


ホープは言った。


「大丈夫」


少し笑う。


「守るから」


それは特別な言葉ではなかった。


ホープにとっては、ただ自然に出た言葉だった。


だがサフィは一瞬言葉を失う。


そして小さく顔をそらした。


「……別に」


少し頬が赤くなる。


その様子を見て、ルークがにやりとする。


だがそのときセリアはまだ、竜たちの戦いを見つめていた。


ルークがその横に立つ。


そして突然言った。


「大丈夫だ」


セリアが振り向く。


ルークは胸を張る。


「セリアは俺が守る!」


いつもの調子だった。


ガルドが吹き出す。


ホープも苦笑する。


だがセリアは少しだけ目を丸くしたあと――


珍しく、頬を少し赤くした。


「……ありがとう」


小さな声だった。


それを見て、ルークは一瞬固まる。


ガルドが笑いながら言う。


「おいおい」


「照れてんじゃねぇか」


ルークが慌てる。


「ち、違う!」


そのときガルドが胸を叩いた。


「安心しろ!」


大声で言う。


「俺はみんな守る!」


腕を組む。


「全部まとめてな!」


その豪快な声に、空気が少し軽くなる。


ホープも笑った。


サフィも小さく笑う。


セリアが深く息を吸う。


そして言った。


「戦闘は」


竜たちの戦場を見る。


「なるべく避けよう」


「静かに進む」


ホープもうなずいた。


「そうだな」


そしてもう一度、竜たちの戦いを見る。


炎が空を染める。


吹雪が渦巻く。


ホープは静かに言った。


「……竜の神」


少し心配そうな声だった。


「大丈夫かな」


誰も答えなかった。


だが全員、同じことを思っていた。


そして――


五人は再び歩き出す。


竜たちの戦場の奥へ。


竜の神のもとへ向かって。

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