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闘神の子Ⅱ  作者: ありり
本編
1/50

プロローグ 〜平和の終わり〜

闘神の子 続編

七年。


それが、この土地に訪れた平和の長さだった。


神々がぶつかり合い、

世界を揺るがしたあの戦いから七年。


戦いは終わり、空は静けさを取り戻した。


多くの神々は、今もこの世界に存在している。


だが――


あの戦いで、二つの神が消えた。


闘神。


そして、時の神。


二つの力は、

その日、この世から消えた。


だが、闘神の力だけは消えなかった。

その力は、一人の少年へと受け継がれた。


ホープ。


かつて騎士を目指していた少年は、

今では二十歳。


闘神として、この土地を守っている。



朝の光が城の高台を照らしていた。


闘神の城からは、広い領地が見渡せる。


森。


川。


遠くの村。


そこでは今日も人々が穏やかに暮らしていた。


人間。


エルフ。


魔族。


この土地では、種族の違いは争いの理由にはならない。


それが、闘神の領地だった。


かつて先代の闘神が守り続けた土地。


そして今は、ホープが守る場所。


高台に立つホープは、静かにその景色を見ていた。


風がマントを揺らす。


腰には一本の剣。


先代の闘神が使っていた剣だ。


ホープはゆっくりと目を閉じる。


かつて自分の中にあった力を思い出す。


時間を止める力。


世界が静止するあの感覚。


だが、その力はもうない。


時の神とともに、消えた。


それでも彼は闘神だ。


この土地を守る者。


そして――


彼は一人ではない。


城の訓練場では、今日も剣の音が響いている。


第一騎士団団長。


ルーク。


かつて共に騎士見習いだった青年は、今や騎士団を率いる存在となっていた。


その剣は、この土地を守る刃。


城壁の上では、巨大な鎧の男が腕を組んでいる。


ガルド。


重装騎士団団長。


どんな敵も通さない鉄壁の守護者。


そして森の上空。


一本の矢が空を裂いた。


遠くの的の中心に突き刺さる。


弓騎士。


偵察隊長。


セリア。


エルフの瞳は、この土地のすべてを見渡している。


かつての仲間たち。


今では、この土地を支える柱となっていた。


ホープは小さく息を吐く。


平和だった。


神々とも争いはない。


人間も、エルフも、魔族も。


この土地では共に生きている。


それが闘神の領地だった。


――だが

その空に、わずかな違和感が生まれる。


最初に気づいたのは、セリアだった。


森の上空。


彼女は空を見上げる。


雲が動いている。


風はない。


それでも雲が流れている。


ゆっくりと、重く。


まるで、空が何かに覆われていくように。


セリアの目が細くなる。


言葉は出なかった。


ただ、嫌な予感がした。


城の高台。


ホープもまた、空を見ていた。


遠くの空。


黒い雲が静かに広がっている。


まるで嵐の前触れのように。


だが、その嵐は――


ただの嵐ではない。


七年続いた平和の終わりを告げるもの。


まだ誰も知らない。


この空の向こうで、

何が目覚めようとしているのかを。


ただひとつ確かなのは。


戦いの気配が、

静かに世界へ広がり始めていたことだった。

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