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星は一時の眩い光を残して

微睡みの中の新たな世界

作者: 夏ノ魚

 人や国に寿命があるように世界にも寿命、耐用年数とでも言うようなものはある。


 ある晴れた日。或いはどんよりとした曇り空。巨大な何かが軋みながら歪む音が響く。

 世界中で皆一様に辺りを見回し音の出どころを探ろうとする。鈍く響く、軋む音はどこか歪なラッパの音のようにも聞こえ、、、


 ピシッという音が一瞬鳴り響いたかと思うと、人間が知覚できないほどの速度で天を2つに分かとうとするかのような巨大な罅が走る。罅割れが一瞬止まったかと思うと罅の先端から新たに何本かの罅が枝分かれし、再び空間を切り裂く。

 人間が知る由もないがこの罅は更に高次元の世界に走った罅の断面のその一部だった。

 3次元を2次元に落とし込み、高次元を3次元にまで落としてみると、ガラスの球の全体に走った罅の一本が2次元の上を掠めていったような構図となる。


 たとえ知っていたところでなにかが変わるわけでもなかったが。


 そして星は、宇宙は、世界は砕け散った。世界の至る所に巨大な割れ目を生じさせ、きらきらと舞い散る空間の破片が撒き散らされる中、硝子が砕けた音を何万倍にもしたような鳴り響く轟音を背景に、人々は成すすべもなく原初の混沌へと落ちていった。10日間掛けて混沌にたどり着いたとて、そこに救いがあるわけでもなく、ただ薄靄のかかる無重力空間のような不思議な場所で漂うことを余儀なくされる。


 それから果たして何日、いや何年経ったかも分からない。

 そもそも原初の混沌に時間という概念自体が存在するわけでもなかった。

 すべてが同じコマであり、違うコマであるとも言える。同一の存在が無限に重なり合い、それでも一つの存在であり複数のコマであった。ここは文字通り全て―物質も非物質的存在も概念をも―を内包した人知を超えた存在であり、人間の言葉などという芥子粒よりもちっぽけな物では表すことすらできないような存在なのである。

 そのせいで寿命で死ぬこともなく、また餓死することすらできず、全ての物が此処で生まれては微睡みの中を揺蕩って浮き沈みを繰り返す混沌の中で唯人は正気も保てる訳もなく、虚ろな幾億もの人型は力無くこの広大無辺で上も下もないこの空間をただ漂っていた。


 またどれだけの月日が流れただろうか。ふと微睡みは眠りになり「夢」が生まれる。人を依代にして夢は大きなまっさらの球形になり、引力を発しているかのように周囲に漂う無数の人形にこの場で生まれたもの迄をも夢に取り込んでゆく。取り込んでゆくたびに夢は大きくなり、様々な色や模様に染まっていく。


 世界が一つ、新たに産まれたようだ。

ギリシア神話とかヨハネの黙示録にSCP、クトゥルフ神話とかの要素のごった煮みたいなやつ。

物語の導入部分とか、あらゆる手を尽くして世界の崩壊を止めようとしたけどやっぱりだめだった時の結末としてもいいし、この世界観を扱ったSF作品にも使えるしで汎用性高そう


居るかどうかわからないけどこの話を自分の物語で使用したい場合は、元ネタの記載としてタイトルと作者名をどっかに入れておいてください。改変OKです。原型とどめてなくてもいいです

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