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第68話 最後の質問

 司会の人、出演者、監督に続きあゆちゃんが出てくる。改めて見ても豪華なメンバーだ。

 司会者さんが口火を切り、それぞれ質問を回していく。監督さんも場馴れしてるのか喋りが上手だった。


 あゆちゃんも、実際映像化されての感想を求められる。

「まず、連載をしていたときは映画になるなんて思いもせずただ書くことに精一杯で。今回お話をいただいたときも、にわかには信じられませんでした。

 映画になって、それもこんな素敵な皆さんが携わってくださりほんと奇跡的なことだと思います。」

 しっかりとした受け答え。


 一人ひとりの挨拶も終わり、最後にあゆちゃんにもう1つ質問が飛ぶ。

「この小説にはモデルとなったお二人がいると伺いましたが、そのお二人も映画の中のようにそれぞれの道を前向きに歩いてらっしゃいますか?」



 ぎゅっ。

 質問の途中で、隣の人に手を繋がれた。体が強張る。

隣を向くと、そこには真剣な眼差しが二つ。

 私も両の目で見つめ返し、そっと手を握り返す。


 舞台に視線を戻すと、あゆちゃんと一瞬目が合った気がした。


「いいえ。二人は現実世界では結ばれました。小説も映画もこういう終わりにしたのは、モデルにした人にこう言われたからです。

 小説の中の人が私たちより幸せそうだったらきっと嫉妬しちゃうから、ハッピーエンドには書かないでって。まぁそう言われたとき、お二人は実際でもまだ結ばれていませんでしたけど。


 恋は、落ちるのはすごく難しいのにほんの些細なきっかけで壊れてしまう。本人たちが壊れまいと必死になっても、それだけじゃ足りない恋もある。

 そんなとき応援する人が、人たちがいれば愛も芽吹きます。その先にも、難しいことはたくさんあるでしょう。


 でも大丈夫。きっと誰かが助けてくれます。二人の恋愛模様はこれからも家族や友人、そして私が守っていきます。だから皆さんもどうか恋に落ちること、怖がらないでくださいね。」



「どうでしたか先生?私のスピーチ。ちょっとやり過ぎちゃったけどいいですよね?120点より上ですか?」

 舞台挨拶を終えた私たちは、先輩のお家に集まっていた。舞台袖に捌けるやいなや先輩にラインを送って、先生を連行してもらった。

 舞台上でやり切った私は、いつになくテンションが高まっていた。


「いや、素晴らしかったけど。何120点って?(笑)」


「田中 風香って覚えてますか?私の同級生だった。

 先生に昔告ったって聞きました。

 その子が、先生に男を見る目が何点か聞いたら120点!って言われたそうです。」


「うーん。言ったかもしれない……。というか我ながら言いそうなことだけど、今日のは点数なんて付けられないくらい素敵なスピーチだったよ。」


 まぁ、このくらいで勘弁してあげますか(笑)

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