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第66話 整った舞台

「先輩、公開舞台挨拶の日程決まりました!来られそうですか?」

 日時が決まってすぐ、私は先輩に電話した。


「うん。空けておくね。観るの楽しみだなー。

 試写会は行けなくてごめんね。でも予告編はみたよ。小説の雰囲気が良く出ていて、とっても素敵だった。描き下ろしの部分も楽しみにしてる。」


「良かったです!予告編も、素敵ですよね。本編はもっとよかったので乞うご期待です!じゃあまたチケット、マネージャーさんに言付けますね。」

 先輩が来られて良かったな。あとは先生だ。今たぶん夏休み中だと思うんだけど……。

 その後すぐ、マネージャーさん宛てに行きますの返事がきた。杞憂だったようだ。


 とりあえず、第一関門クリア。


 招待者はプレミアシートとかになるみたいだけど、二人の座席はそこからも遠い端っこの2つ並んだ席にしようと思う。他の招待者や一般のお客さんに先輩が気付かれたら、色々と面倒だ。

 この小説は実話に基づくと言ってるから先輩のことを詮索する人が出てくるかもしれないし、そもそもこの機会を誰にも邪魔はさせたくない。


 隣同士って当日知ったらびっくりすると思うけど、そのくらいの意地悪はしてもいいよね?私、ずっと二人のために頑張ってきたんだから。あと、ちょっと観にくい席かもだけどそこは我慢してくださいね。


 チケット問題も、配給会社さんたちにお願いしたらすぐに座席を確保してもらえた。

 これで、第二関門クリア。


 次が最後。最後の贈り物の、ラストミッションだ。舞台挨拶は経験上……といってもあまりないのだが、台本通りの質問がくる。アドリブを入れてくる司会者さんもいるけど、何せ時間は限られている。


 先ずお客さんに観てもらって、その後舞台挨拶の順番だ。休憩時間はないことが多い。会場的にも次の上映が迫っているし、お客さんもあまり長時間だとしんどい。そんな場で、時間を超えて話すことは難しい。

 だから私は事前に、終了3分前になったらある質問を振ってほしいとわがままを言った。


 スタッフさんはじめ色んな人のお手を煩わせてしまうから、普段こういうことは絶対にしないし言わない。でも、今回だはどうしても話したいことがある。


 さすがにチケット問題のようにはいかなかったが、こちらは関係者さんたちに色々と骨を折っていただき2分間だけならとお時間をいただけた。

 1分減ってしまったがそもそも舞台挨拶の主役は出演者さんたちで、その方々を差し置いて2分間いただけたことはとても有り難かった。

 あとは、私が当日思いのままを話すだけ。


 第三関門クリア。舞台は整った。

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