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第53話 報告

 改めて旅程を確認してふと気がついたのだが、彼は現地にいる間ほとんど一緒にいてくれるつもりなんだろうか。私は、1日でも案内してもらえたら御の字だと思っていたくらいだ。


 でも、おすすめだから是非行ってきてっていう意味で他の日の分も考えてくれたのかもしれないし、念のため、

『いつ一緒に回ってくれるのかな?平日なのに、お世話かけます。』

と送り、彼の真意を確認する。


 すると彼から、

『あ、勝手にこっちいる間は一緒に過ごせるかなと思ってた。一人で動きたいなら全然言って。』

と返信がくる。


 私は慌てて、

『いや、何日も休み取ってもらうの悪いかなと思って。ご迷惑じゃなければ、1日と言わず二人で回れたらうれしい。』

と送った。


 了解、と返事がきた。良かった。急に、数日間一緒に過ごすことになって、そしてそれが現実味を帯びてきて当日の自分が怖くなる。

 未来の私、ちゃんと普段通りに振る舞える?頑張ってよ?過去の私が頑張って声掛けた結果なんだから。台無しにしないでよ。

 そんな風に、未来の自分へと思いを託した。


 ホテルや飛行機の予約も済ませ彼との待ち合わせも決まり、準備はほぼ完ぺきに終わった。



 発つ前に、今も休まず執筆を続けてくれているあゆちゃんにだけは話しておこうと思い、結婚式から今に至るまでの話をかい摘んで送ったら会って話が聞きたいと返事がきた。

 ちょうどお互いの仕事終わりの場所が近い日があったから、そのまま合流し近場のレストランでご飯を食べることにした。


「先輩!ご連絡ありがとうございました!めっちゃくちゃうれしいです!

 正直小説の方が中だるみしてしまいそうで編集者さんにも相談していたんですけど、今ので俄然創作意欲が湧きました。」


「まぁ、どうなるかは行ってみないと分からないけどね。あまり期待せず待ってて。何年もかかってやっと数分間話せたと思ったらこんな舞い上がっちゃって……。

 恋愛ドラマにたくさん出させてもらっても、現実じゃとんだ恋愛音痴ね。

 結果が上手くいくかいかないか、それは分からないけど、帰ってきたらあゆちゃんにはちゃんと報告します。」


 彼女は目尻に横向きのピースサインを近付けながら、

「ありがとうございます!

 こっちからエール、たっくさん送っておきます!」

と言った。

 若いなぁ。その若さがあれば、迷いなく彼の胸に飛び込めるんだろうか。


「そうだ、先輩。星加先輩の報道見ました?」


 星加 舞。報道で、久しぶりに名前を聞いた。同じ事務所でお互いわりと売れてる方だと思うけど、マネージャーさんも違うし特に仲良くしていたわけじゃないから顔を合わせることはほとんどなかった。

 それに、夕と別れた一件以来私は彼女を避けるようになった。根っからの悪い人ではないんだろうけど、あまり近寄らない方がいいと私の中の第六感的な何かがそう告げていた。

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