第51話 約束
その後、人気のないところまで移動した。
「この間は全然話せなかったから、話したいなと思って。また会えるとは思わなかったわ。元気そうね。」
「えりかも元気そうで何より。映画にドラマに、大活躍だね。いつも画面越しに応援してるよ。」
応援……してくれてたんだ。嘘でもそう言ってもらえて、目頭が熱くなる。長らく嫌われていると思ってたから、そのせいかしら。
「ありがとう。島の生活はどう?田舎の方が、子どもたちは元気なのかな?」
「いやー、都会も田舎も違わないよ。今の子たちはみんなスマホ世代だからね。島の子も、無理矢理連れ出さないとなかなか外で遊んでくれない(笑)」
そうなんだ。きっと、いい先生やってるんだろうな。
「ごめん。もうすぐ行かなきゃだよね。1つ、どうしても聞きたいことがあって。」
「聞きたいこと?えりかにだったら何でも答えるよ。」
何それ。期待しちゃうじゃん。
深呼吸し、意を決して用意してきた台詞を発する。
「今……付き合ってる人とかいるの?
私はいないよ。」
「え……何急に(笑)いないけど。っていうかえりかもいないんだ。
てっきりもうすぐ結婚するくらいかと……って、何だかファンみたいなこと言ってるね。まぁ、あながち間違いではないか。」
「いないんだ。そっか。
週刊誌の人となら、もう別れたわ。私は結婚はしない。するなら夕とって、思ってたから。」
そこからは、自然と言葉が出てきた。時間があまりないという焦りがそうさせたのか、それとも、彼に彼女がいない安堵がそうさせたのか。
「近々、休みが取れたら遊びに行ってもいい?案内してくれる?私行ったことなくて、行ってみたいな。」
「五島に?結構遠いけど……分かった。いいところだから、ぜひ来て。
えりかに見せたい景色、たくさんあるんだ。」
一瞬まだ付き合っているんじゃないかと錯覚してしまうくらい、まぶしい笑顔だった。
心の中で、この機会を与えてくれた早矢香と背中を押してくれたあゆちゃんに感謝する。
「ありがとう。たくさん案内してもらおっと。そういえば、連絡先交換していい?」
「おっけー。」
一度は失くした彼の連絡先が復活した。
「ありがとう。あとでスタンプか何か送るね。じゃあ、ごめんね引き留めて。最高の式だったね!二次会も楽しんで!」
「うん、二人にはずっと幸せでいてほしいね。ありがとう。えりかも、気を付けて帰って。」
帰宅してから、彼にラインを送る。せっかく久しぶりに送れるメッセージがスタンプだけっていうのも何だか寂しくて、でも重いと思われたくもないから、短文で今日のお礼と、五島楽しみにしてるとだけ送った。




