第50話 スピーチ
続いては披露宴。純白のドレスも素敵だったけど、色付きの衣装も可愛かった。さすがに新婦さんは何着ても映えるな。
友人代表スピーチが始まった。彼女のサークルの同級生で、学生の頃に何度か話したことある子だ。早矢香から、卒業後も仲良くしてるって聞いた気がする。
私も、早矢香とはかなり仲が良い方だと思ってる。旅行も一緒に行くし、何なら海外にも二人で行ったことがある。だから、スピーチって本当は嫌だけど早矢香に頼まれたらやるつもりでいた。
芸能人がスピーチするとやっぱり箔が付く(?)みたいで、そこまで関係性の無い人たちから頼まれたことはあるけど全てお断りした。
なので、これまでにスピーチの経験はない。お笑い芸人なら、そこまで仲良い人じゃなくても上手くイジったり持ち上げたり、話芸でいい感じにできるのだろうけど、私はそういう喋りが苦手なのだ。
初めてスピーチをする心の準備はできていたけど、彼女から招待を受けたときこう言われた。
『スピーチは頼まないから、安心して。そういうの苦手でしょ?ただでさえ、当日はいっぱい声かけられて大変でしょうに。
でも、ホントは頼みたかったのよ。一番の親友だと思ってるから。だからその代わり、当日はお手紙待ってるね。』
彼女のそういう部分に、私は惹かれたんだと思う。
手紙は三日三晩悩みながらようやく書き上げ、しかと受付に預けた。ちょっと書きすぎたかなとも思うけど、人生唯一の手紙かもしれないから、いいよね。
スピーチはすごく感動的で、ちょっと泣いてしまった。早矢香も少しうるっとしていた気がした。
それ以上に、なぜか新郎くんが新婦友人スピーチで大号泣し、彼女によしよしされていた。会場は大爆笑。
早矢香、いい旦那さんを捕まえたね。
披露宴もお開きとなり、二次会行く組と帰る組とで自然にバラけ始めていた。私は、二次会は不参加でと伝えていた。
披露宴まででもう十分というか、幸せな気持ちでお腹がいっぱいだった。早矢香、ありがとう。幸せにね。心の中で改めて祝福を送った。
感動的な空間にいてあやうくミッションを忘れるところだったが、二次会行く組の中に彼の姿を見つけ慌てて思い出す。
帰る組ならまだちょっとは話しかけるチャンスがあったのに……と、つくづく縁のなさを感じる。
でも、今行かないともう機会はない。そう腹をくくって、いまだに減らない取り巻きたちをお手洗いに行くふりをしてやり過ごし、彼の近くへと向かう。
ようやく、彼の元へとたどり着いた。
「この前は、収録お疲れ様。そのときのことで一瞬だけ話したいんだけど、いいかな?」
「うん。分かった。」
少し驚いた様子の彼。




