表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/77

第42話 決意

「付き合っていた頃、彼の家で恋愛映画を観たことがあってね。」

 そう言うと、先輩は寂しげな声でこう続けた。


「それは、別れた男女が再び会って愛が復活するといういわゆる元サヤを描いた作品でね。当時流行っていた感じのストーリーで、名作と呼ばれるほどではないけど私は普通に楽しんだわ。


 観終わった後、彼と復縁はありやなしやの話になった。映画の感想の延長線上にある、何でもない会話だったと思う。

 私は、愛が再燃することはあると思ってる派。色んな経験を乗り越えた二人であればやり直せると信じているし、今でもその考えは変わってないわ。


 そして彼は、否定派だった。再会したとしても、別れた原因はきっとまたいつか二人の関係にヒビを入れるだろうって、そう言ってた。

 それもあるのかな。そんなささいな会話の記憶もあって、どうしても、勇気が出ないの。だからこの恋は、今世では成就しないのよ。」



「そうですか……。」


 私は相変わらず、なかなか思いが口を衝いて出ない。

 二人は、自力では関係を修復できないところまできているのだと、そう理解した。

 でもそれは、至極当然の話だろう。なぜなら、もう7年も前に別れているのだから。


 たとえば、奇跡的に二人とも酔った状態で再会し翌朝ベッドの上で裸で起床する。そんな映画みたいなことでも起きない限り、復縁することはない。


 だったら、私が二人の仲を修復する手伝いをしよう。このとき、そう決意した。私が、きっと二人を結ばせる。

 とりあえず、まず私がすべきことは、この小説を責任もって完成させること。


「今日はお邪魔しました。私、絶対にいい小説に仕上げてみせます。期待しておいてください!」


 急に声が大きくなった私に驚いた先輩は目を真ん丸にさせた後、

「優しいのね。

 情けない姿見せちゃって、ごめんなさい。引き続き、応援しているわ。」

と言った。


 翌日、私はツアーのため遠征先に移動し早めにホテルの部屋に入った。その晩は、振り付けの確認と気分転換に執筆を少し進め、翌朝も早いため日付が変わる前に寝床に着いた。



 その晩、夢をみた。


 高校生のときの私だ。先生がホームルームで何か話している。内容は……先生が、元カノのことを話している。

 もちろん現実にそんなことはなかったし、今や大人気となった女優と付き合っていたなんてお首にも出さなかった。

 内容は少し改変されているけれど、その中には事実も混ざっていた。先生が『ゆるす』ということについて語ったホームルームは、実際にあった。



「みんなは、何か許せないことってある?自分の場合は、こだわりがイコール許せないことみたいになっていて。

 後悔っていうか、これからはこう生きようと思ってることがあるんだ。自分の話ですまないけど、今日は聞かなくてもいいからちょっとだけ話させて。」


 その日のホームルームは、珍しくそんな自分語りから始まったように記憶している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ