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第17話 結婚したかった人

「それで、夕の話が聞きたいんだったよね?いいよ、何でも聞いて。」


「先生とは学部かサークルが一緒だったんですか?」


「ううん、どっちも違った。学年も2つ上だったしね。サークルの同期の子の彼氏が彼の後輩で、その人を介して知り合ったかな。」


「そうだったんですね。先輩、交友関係広そうですもんね。」


「そんなことないよ。さっきも言ったけど芸能界にもそんなに友だちいないし、大学の頃もそう。誰かを通じて知り合ったのは、彼くらいかな。」


「先生は、学生時代どんな人でした?やっぱり文学青年的な?」


「あゆちゃんの担任をしてる彼を知らないから比べることはできないけど、変わった魅力があったかな。歳は3つしか違わなかったけど、もっと離れてるんじゃないかっていうくらい落ち着いてた。安心感っていうのかな、そういうのを纏った人だった。

 かと思ったら映画観ながら泣いたり急に子どもみたいなテンションになったり、子どもか!って思う瞬間もあったな。」


「そういうところに惹かれたんですか?」


「女優を舐めないの。そんなのに引っかかるわけないでしょ。」


「そうですよね(笑)失礼しました。」


「そうね。あえて乗ってあげるとすると、そういうとこにも無意識的に惹かれたんだろうけど、彼を好きになった理由は、よく分からないわ。

 気が付いたらこの人と結婚したいなって。恋愛って、得てしてそういうものじゃない?」


「結婚……ですか。でも、今お付き合いを続けられているわけじゃないんですよね?」


「まだ付き合ってたなんて言ってないけど(笑)

 でもそうね。別れてから、7年ぶりに会ったのがこの前の楽屋。奇しくもあなたと同じ7年ぶり。結婚していなくてホッとするなんて、いけない女ね。彼氏もいるっていうのに、諦めが悪くて嫌になっちゃう。」


 まだ先生のこと好きなんだ。

 思ってたよりもずっと先生への想いが強いものだと知って、このときの私はそれ以上続けて話を聞くことができなかった。


「今の彼氏さんって、以前ドラマで共演されていた……。」


「そうそう。週刊誌に撮られた彼よ。俳優なのにスレてなくて、たぶん世間のイメージ以上にいい人なんだと思う。私にはもったいないくらい。」


「ご結婚とかも考えてらっしゃるんですか?」


「いや、それはないわ。結婚はしないっていうのが条件で付き合ってるし、彼もあまりそういう願望はないみたいね。」


「えー、私は結婚したいなってずっと思ってます。」


「今は恋愛禁止中だっけ?」


「はい、アイドルに全力です。いつか卒業したら、したいなーっていうのが夢です。」

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