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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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韋駄天大会2


 このまま俺達は動画の視聴を続ける事にした。なんだか自分自身を別の視点から見ている感覚でちょっと変な感じだ。

 韋駄天大会はモンスターを倒す時間を競う大会なのだが、俺達のパーティーは着実に勝ち上がり続けている。


「よしっ!! その調子だ!! イケイケ!!」


「勝ってぇええ〜〜!! 地雷のイケメンライフの為にもぉおおぉーー!!」


 だいたいゲームっていうのはプレイヤーに有利に作られている事が多いからそうそう負けないよね。良かった良かった。

 地雷さんが及び腰でうろうろしながら戦っている様子がちょっと気になるけど……まぁ、団体戦だから勝てばいいよね!!


「なんかこの動き……ホント、地雷にそっくりだなぁ」


 地雷さんがスマホ画面を見ながらつぶやく。だいぶ緊張していたみたいだったし、そうなるのも無理はないかも。


「やっぱ本番でもそうなってたと思う??」


「思う思う!!」


 こうやって見てみるとペルソナさんの演技力凄いなぁ。まるで俺達の行動を全て知っているみたいに見える。ペルソナさん達……なのかもしれないけど。


「地雷ちゃん! クリス様も勝ち上がってきてるよ〜」


「わぁ!! ホントだ!! さすがクリス様!!」


 彼女はツインテールの鳥使いの子とパーティーを組んでおり、同じ様にトーナメントを勝ち上がり続けている。


「このままだと……あたるね」


「クリス様強いからなぁ〜……」


 その後、俺達の予想通り決勝戦でクリス様とあたる事になる。だが、ここで予想外の事が起こった。


「皆様にご案内いたします。当学院で確保しているモンスターに問題が見つかりました。よって、韋駄天大会にて提供する事が出来ません」


 韋駄天大会の会場に司会の人の声が響き渡った。決勝戦の前に問題が発生するとかある??管理ガバガバなんじゃない??


「……どういう事?」


「このままの状態で韋駄天大会を続ける事が出来ないって事かな」


「え〜……決勝まできたのに、それはそれでもったいない気がするね」


 地雷さんとのほほんとおしゃべりをしていたら、韋駄天大会は更に予想外の展開となった。


「協議の結果……急遽、決勝戦は一対一での大将戦としますので対象者はステージにて準備をお願いします」


 大将戦??このパーティーの大将って……まさか地雷さん!?メインキャラなのだからきっとそうだろう。

 読めたぞ……教頭先生の差し金か。きっと地雷さんに恥をかかせるつもりだ。


「嫌だぁああぁぁ〜〜!! 団体戦だから参加するだけでいいって言ってたのにぃぃいーー!! 嘘つきぃぃ!!」


「仕方ない、仕方ないんだ!! 頑張って地雷さん!!」


 ステージの端っこで押し問答をしている。地雷さんの服を引っ張ってステージに上げようと頑張っている俺がいた。ペルソナさん……そんな所まで再現しなくても。

 クリス様は颯爽とステージに上がると、地雷さんに笑顔で声をかけた。


「やぁ、久しぶりだね! この場でまた戦える事を嬉しく思うよ。では、リベンジといこうか」


「あっ……アハハハハ……。お手柔らかにお手柔らかにお手柔らかにお願いします」


 スマホ画面に映っている地雷さんは緊張と恐怖でガチガチに固まっていた。同じ事三回ぐらい言ってるし……。


「地雷さーん!! 勝ったら何でも言う事を聞いてあげるからぁああぁあ〜〜!! 頑張ってーーー!!」


 ステージ下の方から俺の声が聞こえてきた。実際の俺でも言いそうなセリフだ。俺の声を聞いた途端に地雷さんの表情がみるみる変わっていく。


「何でも願いを聞いてくれる!? あっ……あんな事とかっ、こんな事とかっ、色々してくれちゃうの!?!?」


 一体どんな想像をしているんだろう……ちょっと怖い気もするけど。しばらく様子を見ていたら、地雷さんは鼻血を出しはじめた。


「大丈夫か? 体調が優れないのか?」


 クリス様がハンカチを地雷さんに差し出した。地雷さんはハンカチで鼻血を拭きながらお礼を言う。


「いえっ! 絶好調でふ! ありがとうございまふ!!」


「おぉ……なら良かった」


 『ありがとうございまふ』ってなんだよ。あぁ……綺麗なハンカチが血に染まって逝く……。


「では、試合を開始いたします!! はじめ!!」


「いくぞ!!」


 クリス様はかけ声と同時に凄いスピードで地雷さんに突っ込んでいった。間一髪で地雷さんが攻撃をよける。


「ふぉおおおぉお!?」


「相変わらず素早いな……」


 クリス様の一撃で現実逃避から現実に帰ってきた様だ。目玉をまんまるにしてクリス様を見つめている。

 まな板の上の鯉になった地雷さんは泣きながら今度は鼻水を出していた。鼻血出したり鼻水を出したり忙しいな。


「頑張って……頑張って……地雷っ!!」


 横から声が聞こえてきてそっちの方を向いたら本物の地雷さんも鼻水を出しながら泣いていた。ついついスマホ画面の地雷さんと本物の地雷さんを見比べてしまう。


「……瓜二つだ」

 

「えっ? チートさんなんか言った??」


「……いや、何も」


 本物の地雷さんは一体何を思って泣いてるんだろう……さっぱりわからない。仲間意識とかなのだろうか??

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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