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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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復活の呪文


 ラスボスさん……強そうだし心配いらないかなって思っていたけど、そう簡単には状況は変わらなかった。


「馬鹿め!! モンスターをどんなに呼び寄せても、どんなに攻撃をしても、バグがなくなる事なんかない!! バグは永久不滅の存在なのだ!!」


「確かにそうかもね」


 余裕ある感じのバグの根源の声が聞こえてくる。バグを永久に消し去るなんて……やっぱり無理じゃない??だってオンゲにバグはつきものだし、バグらないゲームなんてそうそうないよね。


「ラスボスさん!! 大丈夫ですか??」


「うん? 大丈夫だよ?」


 おどけた感じのラスボスさんの声が聞こえてくるけど、本当に大丈夫かな??沢山のモンスター達とモザイクのせいで姿が見えないし……心配だ。


「あの!! 何かお手伝い出来る事はありますか??」


 俺が大声で叫ぶと、明るい感じのラスボスさんの声が返ってきた。


「おぉ! チートさん助かるぅ!! じゃあ、復活の呪文をお願い出来るかな?」


「……えっ? 復活の呪文??」


 何、それ??初耳だし、全然ピンとこないぞ!!そんな魔法とかあったっけ??う〜ん……思い出せない。


「なぁ。復活の呪文って、お前知って……」


「合言葉をどうぞ」


「はぁっ??」


 隣にいたマタメンテエルフに聞いてみようと思ったけどなんだか様子がおかしい。心なしか機械的なしゃべり方っていうか……なんていうか。


「おまっ……どうしたの??」


「お……れ…………の名前……」


「えっ??」


 今度はなんか片言だし。俺の名前って……何言ってんだこいつ。いつもはマシンガントークなみに喋るのに、何も喋らないし。


「俺の名前って……何??」


「合言葉をどうぞ」


「……」


 合言葉??一体どういう事??バグの根源のせいでマタメンテエルフもバグった??確かマタメンテエルフって機巧系の指輪と電気系の指輪の合成した存在だっけ??


「マタメンテエルフさん?? どうしたの??」


「マタメンテエルフ殿、どこかおかしいのか?」


 地雷さんとチャカさんが心配そうに俺に声をかけてくるけど、俺だってよくわからない。


「おい、マタメンテエル……」


「合言葉を確認しました」


「えっ?」


 呆気にとられたままマタメンテエルフを見ていると、ゆっくりしたスピードで上へ上へ高く飛び上がり始めた。しばらくすると一定の高さで停止した後、白く光はじめる。


「復活の呪文……『マ、タ、メ、ン、テ』を開始します」


「はぁぁあ? 復活の呪文!? マタメンテ??」


 やっぱりなぜか機械的な喋り方だ。そのままマタメンテエルフを見ていると、白い光が段々強くなっていく……。


「あれっ? モザイクみたいなの……消えてってない?」


「本当だ!!」


 周りを見渡してみると段々モザイクがなくなってきて、海岸の景色がうっすら見えるようになってきていた。


「なんだこれは!? 一体何をしたんだ!!」


 どうやらバグの根源に相当なダメージを与えているみたいで、苦しそう声が聞こえてくる。


「運営がメンテをかけてるに決まっているだろ」


「なんだと!?」


「緊急メンテさ」


 冷静なラスボスさんの説明で、少し状況が飲み込めた。なるほど!!確かにバグにはメンテナンスだ!!その手があったか!!


「ラスボスさん!! ナイスです!! 確かにバグといえば……メンテナンスですね!!」


「そうそう!! そうやってゲームっていうのは成長していくからね〜。どんなに困難なバグだとしても、メンテナンスを重ねるにつれ……バグの影響を抑える事が出来る」


 理屈はわかったけど、なぜ今メンテナンスが始まったんだ??ラスボスさんが運営警察に通報したとか??


「ラスボスさん、通報してくれたんですか??」


「いやいや!! 私はこっちの住人みたいなものだから通報なんて出来ないよ〜!! その役割を果たしてくれたのは……チートさんなんだよ」


「えっ??」


 俺、何もしてないんだけど……一体どういう事だ??もしかして様子が変だったマタメンテエルフと関係があるのかな……??


「もしかして……マタメンテエルフ??」


「ピンポンピンポン〜!! 大正解〜!!」


 これまたノリのいいラスボスさんの返答だけど……一体どういう事なんだろう??そんな俺の疑問にも、ラスボスさんはしっかりと答えてくれた。


「バグの根源はこの世界にとってイレギュラーの存在だからね。このまま放置していたらいずれ大問題になるのは目に見えている。だから現実世界の神はそれに対抗する手段を作ったのさ!!」


「まさかそれって……マタメンテエルフ??」


「そそ!! ちなみにその呪文を使えるのはチートさんだけなんだ!! 責任重大だよ??」


「……マジ??」


 なんか知らない間に……俺って重要な役割になってない??なんで俺なの??

 

「なぜお前はそんな事まで知っているんだ?」


「まぁ〜……私はこの世界のラスボス。この世界の管理職みたいなものだからねぇ……あはは!!」


 バグの根源の質問に答えながら、ラスボスさんは楽しそうに笑っていた。なるほど〜……それにしても神様って本当にいたんだなぁ。


「くそっ!! 覚えていろ!!」


 捨て台詞を吐きながらバグの根源は消滅していった。一時はどうなる事かと思ったけど……本当に良かった。これで現実世界も、ゲームの世界も、平和になったし一件落着かな??


「んっ?? 何か忘れている様な……」


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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