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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第一章
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この世界に花を届け隊1


 ミユキはバンの防具鍛冶の店に来ていた。

 

「今回の報酬から、頼んでいた防具代をひいて欲しいの」


「いや、防具の料金はいらない。ルノールの報酬も全額、大怪盗フロストに渡す。だが、一つ頼まれてくれないか?」


 不思議そうな顔をミユキがしているとバンが一人の少女を連れてきた。


「あの……何でしょうか? 今ちょっと鉱石の発注をしていて忙しくて」


 少女は慌ただしそうな様子だった。ミユキの存在に気づき、丁寧にお辞儀をするとその場を去ろうとした。

 しかし、それをバンが肩を掴んで止める。


「いやいや、ちょっと待て。お前さんの話をしている」


「私ですか……?」


「……って事でミユキ。こいつを冒険に連れて行ってくれ」


「えぇええぇーーー!?」


 少女が叫ぶ。そして不安そうな表情でバンに訴えた。


「わっ、私っ!! 人見知りしちゃうし、アキさんやバンさんがいないと……不安です。知ってますよね?」


「あぁ、知ってる。……だからだ。お前は俺達以外の人ともやっていけるようにならないといけない。お前さんは冒険者だ。防具鍛冶をやる人間じゃない……」


「でっ、でも……鉱石の発注とかは?現地に取りに行ったりする事もありますし」


「それならNow loadingがいる。あいつが二倍走ればいいだろ」


 それを聞いて二階から声が聞こえてきた。


「ふざけんなっ!! Now loadingとか変なあだ名で言うのやめろ!!」


「お前、いつもゲームのloading画面みたいに走ってんじゃんか。二倍速すればいいんだよ! いけるいける!」


「誰のせいで走ってると思ってんだバカヤローー!! バンバンバンバン防具の注文入れて、バンバンバンバン鉱石使うからだろ!!」


「何回俺の名前言うんだ?」


「そういう事じゃねーよ!!」


 二階と一階でギャンギャンやってる男達を放置して、アキさんが少女に優しく諭す。


「私達はどうしてもお店が忙しくてあなたを冒険に連れて行ってあげられないからミユキさんに頼む事にしたの。ちょっと心細いかもしれないけど、ミユキさんはとても頼りになるし大丈夫よ。なにか困った事、辛い事があればいつでも帰って来ていいからね。」


 こうして、暖かく少女を送り出した。





「ミユキさん、この防具……本当に貰っていいの!?」


 ミユキさんが今の防具より強い防具をプレゼントしてくれた。地雷のお金じゃ手が出せない様な耐性装備だ。

 ちなみにミユキさんは私達のチームに入った。

 変わっているという事で、地雷とそるとちゃんと魔法使いのお墨付きだ。


「……ミユキさん、なぜ? なぜ、クソダサ装備のままなのですか……?? 今、最新の装備に同じ耐性をつけた方が安上がりですよね??沢山数が出ているから……」


 そるとちゃんが震えながらミユキさんに問いかける。


「やっぱり地雷戦士の装備はコレじゃないと!! すっごく目立つし!! 遠くからでもすぐわかるし!! ねっ??」


「うん!」


 ニコニコの二人の笑顔を見ながら、そるとちゃんが膝から崩れ落ちた。


「クソダサ装備、嫌ぁああーー!!」


 そるとちゃんの叫びが響いた後、ミユキさんは一人の少女を手招きした。


「そんな物陰にいないでこっちにおいでおいで〜」


 すると一人の可愛らしい少女がおずおずと出てきた。なんだか緊張しているようだった。


「はじめまして。ミミと申します。冒険者初心者です。どうぞよろしくお願いします」


 カチカチの挨拶の後、頭を思いっきり下げた。初対面ばっかりの人だとそうなるよね!

 よしっ!ここは地雷が緊張をほぐしてあげないとっ!!


「はじめまして! 地雷です!! じゃあさっそく親睦会という事で……戦隊ゴッコしましょう!!」


「……えっ?」


 ミミちゃんの可愛らしいお目々がまんまるになる。


「うんうん! やろー! やろー!!」


 ミユキさんも地雷に便乗してノリノリだ。


 

「……はぁ。もう、好きにして。頭痛い」


 そるとちゃんは手を額に当ててうなだれた。


 戦隊モノといえばだいたい五人がメジャーだ。レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクといった所か。なんとなくイメージでカラーを決める。


 レッド地雷、ブルーそると、イエローミユキ、グリーンミミちゃん……あとはピンクだった。

 ヒトミちゃんはやっぱりパーティーを組んでいて、きっと彼氏だと思うのでそっとしておいた。

 四人でやろうかと思ったけど、ある名案が浮かんだのでチムリの所に行く事にした。



 ――その頃、チームリーダーは回復職として覚悟を決め、回復のスペシャリストの先生のもとで修行をしていた。


「レストさん、なかなか筋がありますね。覚えるのも早いですし……」


「いえ……そんな」


「では、一旦休憩しましょう。詰め込みすぎてもいけませんし……お茶を淹れてきます」


 お茶をいただき、ゆったりとした時間を過ごす。とても平和なひと時だった……。

 だがそのひと時は突然、終わりを告げる。



 ドンドンドンドンドンドン!!

 先生の家の扉から激しい音が聞こえる……。先生が扉を開けようとするより前に、扉が開いた。


 バーーーーン!!


「チムリーーー!! 助けてぇええ〜!!」


 地雷戦士が現れた!!


  たたかう

  にげる


 チームリーダーの頭の中に謎のコマンドが浮かんだ。


 


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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