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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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聖剣


 もう授業には間に合いそうにないのでそのまま俺の部屋に集合した。地雷さんからクリームパンを貰って食べながら話をする事になった。なったのだが……。


「このクリームパン……うっま!! どこのかなぁ??」


「食堂にある売店で売ってたぞ〜」


「そうなんだ〜。もっと早く買えばよかった〜」


「……」


 地雷さんとマタメンテエルフはクリームパンを食べながらのほほんとしている。なんていう緊張感のなさ。能天気というか、前向きというか……。


「なぁ、えっと……『聖剣』って、何なんだ?? 俺が持ってるとかって、ペルソナさん言ってたけど……」


 のほほんとした空気をブッた切って話を切り出す。するとマタメンテエルフが俺の質問に答え始めた。


「お前の錬金釜さ。もともとは地雷さんが持っていた武器だったんだ」


「武器!? そんなの初耳だぞ!?」


「いやぁ……すまんすまん。別に隠してるつもりはなかったんだけど、言うタイミングを逃しててさぁ〜。最近わかった事だったし」


「そっか」


 マタメンテエルフでもわからない事あるって言ってたもんな。個人で調べてる事とかもあるんだろう。


「なんでも『聖剣』は伝説の武器で、持ち主がピンチの時に変形する仕組みがあるらしい」


「俺……そんなにピンチだったのかなぁ?? 確かに異世界転生したいとか思ってたけど……」


 俺がつぶやくと、マタメンテエルフは考える素振りをした後、話を続けた。


「これは憶測だが……チートは地雷さんのサポート役として導かれたんじゃないのか?」 


「……えっ?」


「だってそうだろ? 聖剣はもともと地雷さんのものだし。基本的にマゼンタ学院での武器の持ち込みは禁止だ」


 俺とマタメンテエルフが地雷さんを見ると、彼女は必死になってクリームパンを頬張っている。どうやらこちらの話は聞いてない様だ……。


「ねぇ、地雷さん。『聖剣』ってどこで手に入れたの?」


 クリームパンを食べている動きが一瞬止まった後、地雷さんはしゃべりだした。

 

「よくわかんない」


「よくわかんないの!?」


 地雷さんが持ってた武器なんだよね!?持ってた本人がよくわかってないって……どうなの!?そんな事ってあるの!?普通……。


「なんか私が持ってる武器。いつ手に入れたのか、どうやって手に入れたのか、覚えてないんだよね〜」


「覚えてない!?」


「なんかゲームしてる時にはもう普通にあったっていうか……だから、初期武器なのかと思ってた」


「最初からあった!?」


 俺と地雷さんの話し合いを静かに聞いていたマタメンテエルフがつぶやいた。


「おそらく、神に気に入られたって事か」


 じゃあ、俺ってやっぱり巻き込まれた感じなのかな??でもまぁ俺自身も『異世界転生したい』とか思ってたから一概に地雷さんのせいにも出来ないけど。


「なぁ、地雷ちゃん。ペルソナさんとはいつ友達になったの??」


 マタメンテエルフが地雷さんに質問すると、地雷さんはクリームパンを口に運びながら答えた。


「え〜っ、ペルソナ?? う〜ん……いつだっけな??」


「……なるほど」


 マタメンテエルフはそれ以上地雷さんに質問する事をやめてしまった。どうやらこれ以上質問しても明確な答えは返ってこないと思ったのだろう。


「地雷ちゃん、またペルソナさんに会ったら俺にも教えてくれる?」


「うん。わかった! いいよ〜」


 こうしてマタメンテエルフが話を完結させたあたりで、タイミングよくもう一人のお馴染みの声が聞こえてきた。


――コンコン!!


「チート殿〜!! チート殿はいるか〜??」


 元気なチャカさんの声が扉の向こうから聞こえてくる。また難題を抱えて来たんじゃないだろうな??


「はいはーい! どうかした??」


 俺が扉を開けると、エプロン姿のチャカさんが鍋を持って立っていた。


「チート殿!! これを見てくれ!!」


 チャカさんは持っていた鍋の蓋を開けた。なぜか……底に穴が空いている。


「鍋の底がなくなってるけど……どうかしたの??」


「結婚式に出す料理を作っていたんだが……なぜか爆発して全てなくなってしまった!!」


「……」


 普通に料理していて爆発するってなかなかないと思うんだけど……爆弾娘だから爆発するのかな??


「それで教会仲間に料理はもういいから、料理を手伝ってくれる人を探してくれと言われた!!」


「……そっか」


 これから結婚式だっていうのに、教会が爆発して消し飛んだらシャレにならないもんね……教会の人達の気持ち、わかるわぁ……。 


「だから急いで教会に来てくれ!! チート殿!! 人が足りない状態だから早くしないと……」


「えっ、ちょっとちょっと……ちょっと待って!?」


 俺まだ、返事してないんだけど!?なんでそうなっちゃう訳!?


「まぁ、暇だろうし手伝ってやれば??」


 ニヤニヤしながらマタメンテエルフが俺に言う。絶対お前、俺が困っているのを楽しんでいるな!?

 

「手伝ったら美味しい料理、食べられるのかなぁ??」


 地雷さんが下心ありありの独り言をはじめた。もしかして……料理作るの手伝うつもりって事!?だいたい料理作るのがメインだから食事する訳じゃないぞ!?!?


「早く早く!! チート殿!!」


「わかったよ!! 行くよ……」


 こうして俺はチャカさんに腕を引っ張られながら、教会に向かう事になったのだった。


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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