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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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過去の記憶


「地雷戦士!! 俺は君を探していたっ!!」


 熱い眼差しでリュウさんと呼ばれている人が地雷さんの肩を掴んで叫んだ。地雷さんはキョトンとしていたが……突然、何かを感じたようで叫び出した。


「あぁあああぁあー!! 過去の!! 告白もしてないのにフラれた記憶が蘇るぅううぅーー!!」


 頭に手を当ててブンブン振り回している。告白もしてないのにフラれた記憶??なんだそれは??

 更にまくしたてる様に地雷さんが叫び続ける。


「ペルソナ!! 乙女の傷をエグるな!! 告白フラグ立てながらへし折るな〜〜!!」


「おや、バレてしまったか」


 どうやらコスプレイヤー(?)のペルソナさんだったらしい。彼はひょうひょうとしながら話続ける。


「完璧な演技だったんだが……」


「友達がオンラインかオフラインか位、わかるわ!!」


 まぁ、そりゃそうだよな。地雷さんはクリスさんの鬱憤も溜まっているせいかペルソナさんをまくしたて続けた。


「おまっ……こっちは繊細な乙女心めっちゃ傷ついたんやで!! 顕微鏡のプレパラート並に傷ついたんやで!! 責任持って地雷と棺桶入れ!!」


 ……なんで急に関西弁になったんだろう。そんな疑問を物ともせず、ペルソナさんは笑顔で返事を返した。


「それだけ元気なら大丈夫だ!! 地雷戦士!!」


「大丈夫じゃない!!」


 二人の漫才を眺めながら、ふと気になった事がある。『ゲーム課金し放題!!』とかってペルソナさん言ってたけど……さっきの中年男性は、一般プレイヤーだったって事か?


「なぁ、さっきの仕事道具がなくなった問題って……現実世界でおきた事なのか? それとも違うのか??」


「現実世界で起きた事だよ」


 マタメンテエルフが俺の質問に答え始める。


「『不安で心配で……なんとかしたい!!』って気持ちがチートを呼び寄せたんだろうな」


「そんな事あるのか。ちなみに、ちゃんと仕事道具はあの男性の元に戻るのか??」


「問題ないよ。辻褄があうような形で、ちゃんと彼の元に戻る」


「そっか、なら良かった」


 こちらの疑問が解決した段階で、突然地雷さんが崩れ落ちた。なんだ??突然、空気が重くなってきたぞ??


「どうしよう……このままじゃ本当に地雷は黒歴史と向き合いながら棺桶に入るしかない」


「ちょっ……地雷さん??」


 俺が声をかけてみたけど、彼女の思考は重く暗いままみたいだ。


「黒歴史と棺桶は辛すぎる!! 一人で棺桶に入る人もいるけど……私にはもれなく黒歴史が付いてくる。 黒歴史と棺桶いやぁあああーー!!」


 彼女の心の叫びが海岸に響く。……あっ、そういや授業の事すっかり忘れてたな。もう、遅刻になるし欠席でいいか。


「大丈夫だ。地雷戦士! 君は一人で棺桶に入らない」


「マジか!! じゃあ一緒に入ってくれるのか??」


 救いの目でペルソナさんを見つめる地雷さん。


「いや、それはちょっと遠慮しておこう」


「ちょっ……期待させて落とすなよ!! またフラれたじゃん!! この……ドS!! 最高かよ!!」


 ……最高なんだ。


「おっと、そんな事より地雷戦士!! 君に助言をしに来たんだ!!」


「そんな事ってなんだよ!! 乙女の心を傷つけてそんな事ってなんだよ!! 心にぽっかり空いた隙間の埋め合わせをしろーー!!」

 

 地雷さんの心の叫びを、ペルソナさんは軽〜い感じでかわしていく。


「大丈夫! 大丈夫! ピンチの時は『君だけが使える聖剣』の名を唱えるといい」


「えっ、いや……聖剣?? 置いてきたけど……しかも名前とかあんの??」


「いつもの聖剣はチートさんが持っているぞ」


「えぇえぇぇえ!?」


「まぁ、詳しい話は後で聞くといいだろう……」


『聖剣』というワードが出た途端、マタメンテエルフがびっくりした顔をしながら叫んだ。聖剣ってなんだ??


「ちょっと待って!! 『聖剣』を知っているのか!?」


「あぁ、知っている。知っているともさ。だって俺は占い師なんだ」


 ペルソナさん自身が占い師なのか?モデルになっているリュウさんが占い師なのか?ダメだ……俺にはもうよくわからない。


「聖剣について知っている事を教えてくれないか?」


 マタメンテエルフが珍しく真剣な面持ちでペルソナさんに声をかけた。ペルソナさんはマタメンテエルフを見ると、ゆっくりと首を横に振る。


「優秀な君の事だから色々気付く事もあると思うが……知りすぎてはいけない部分もあったりするんだ。察してくれると助かるかな……さぁて」


 再びペルソナさんは地雷さんの方に向き直ると、明るいノリでしゃべり始めた。


「この世界の問題は、この世界の神である君に解決して貰わなくては!!」


「はっ?」


「学院長にもバッチリ紹介しておいたし、預言者としての俺の役割も大詰めといった所か」  


「あっ、なんだ! シナリオの話か〜」


「まぁ、そういう事にしておこう!!」


 ペルソナさんは鞄から白い小さい袋を取り出すと、地雷さんに渡した。


「プレゼントだ! 受け取ってくれ!」


「んっ?」


 地雷さんが白い袋をまさぐると、中から何個かパンが入っていた。


「地雷戦士のラッキーアイテム、クリームパンだ!! 遠慮なく食べるといい!! それでは、また会おう!!」


 ペルソナさんはそう言うと、嵐の様に去って行った。


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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