美しき!ビューティフル、スノウ
今日もいつもみたいにそるとちゃんと一緒にチムリと魔法使いを待ってた。……けれども来たのは魔法使いだけだった。
「今日はチムリは体調不良で来ません」
「えっ、チムリ……拾い食いでもしたの!?」
……バシッ!!そるとちゃんに頭を叩かれた。
「あんたが毎日毎日、チムリに心労かけるからよっ!!」
いつもの茶番劇を繰り広げていたら綺麗なセレブなお姉様に声をかけられた。
「ねぇ、あなた! その装備!! 有名な地雷戦士じゃない?」
「はい! 地雷です!! 悪い地雷じゃありません!!」
「やっぱり! 私、あなたのファンなのっ!!」
地雷って有名だったっけ??……何かしたっけ??
「あの……セレブアイドルのミユキさんじゃないですか?? 地雷よりよっぽど有名ですよ」
そるとちゃんがびっくりしながら言った。セレブアイドルなんだ!!……なるほど!!確かにゴージャス美人って感じ!!スリットの入ったスパンコールドレスと赤いハイヒールが似合ってる!!
「えぇ、一応、スーパーアイドルをさせて頂いているわ。私なんてまだまだだけど……。よかったら一緒にレベル上げでも行きません??ちょうど私も入れて四人だし。」
凄く凄く嬉しいけど、地雷は思った事をそのまま伝えた。
「一緒に遊んでくれるのは凄く嬉しいけど地雷は回復役出来ないし。それにその格好のままでいったら綺麗なヒールとドレスが汚れちゃうよ!!」
彼女は予想通りって感じでニッコリ笑いながら言った。
「大丈夫よ! 私はスーパーアイドルだから!! 回復役も必要ないわ!! ついてきて!!」
ついて行って街の外に出たら、スゲーでかいゴージャスな馬車が鎮座してた。
「乗って乗って〜」
身元もわかる人だし、三人共暇だったからそのまま馬車に乗った。私達四人の他に、黒いサングラスのスーツを着たコワモテの男の人達が10人位いた。
コソコソとそるとちゃんと内緒話する。
「ねぇ、あの怖い男の人達は何!?」
「ボディーガードよ!! アイドルの安全を守る人達!!」
なるほど、有名人は大変だ!!ボディーガードの人達は全員立ったまま無言でミユキさんの側にいた。
「凄い綺麗な人だからきっとファンも沢山いてプレゼントも沢山貰えると思うけど、どうやってお金を稼いでいるのですか?地雷は万年金欠だから教えて欲しいです」
「……ちょっ!! 馬鹿!!」
……バシッ!!またそるとちゃんに頭を叩かれた。
「失礼な事を言ってすみません……」
「いえいえ。誘ったのは私なので。……それに確かにアイドルだけじゃセレブになれないって思うよね?? 私はスーパーアイドルの他にレアな装備を作って売っていたりしています。あとは影で小遣いを稼いだりしているよ」
「凄い〜!! 三足のワラジなんだね!! アイドルも大変なんだー!!」
「うんうん、大変なんだよ〜!」
そんな話をしていたら目的地の狩場に着いたようだった。砂漠のフィールドで、でかいトゲのついた亀みたいなモンスターだった。
……でも、人気の狩場みたいで私達がレベル上げするスペースはなさそうだった。
空きそうもないし、これは諦めるしかないな〜って思ってたらミユキさんがあるパーティーに話しかけた。
「申し訳ないんだけど、この場所を譲ってくださらない?」
「……えっ!? 今さっきはじめたばかりだから困ります」
ミユキさんが札束を冒険者に渡す。
「……どうぞ使って下さい!!」
こうして人気の狩場をゲットした。
狩場に着いたらボディーガードの人達が忙しそうに動き出した。私達のそばに四人のボディーガードが来て、なぜか四つん這いになった。
「まぁ、座って座って〜」
ミユキさんは四つん這いになったボディーガードの一人に腰をかけた。クラッチバッグから札束を出したら扇みたいにしてあおぎはじめる。
「ふぅ〜砂漠はやっぱり暑いわねぇ〜」
ボディーガードからブルーハワイの綺麗な飲み物を受け取って飲んでいる。飲み物は地雷達にもふるまわれた。
「あっ、ありがとうございます……」
三人共無言だった。棒立ちしてたら勝手にレベルが上がっていた。どうやらボディーガードの人達がモンスターを倒しているらしい。
「あらっ? 座らないの??」
沈黙をそるとちゃんが破った。
「ご好意ありがとうございます。私達は人に座るのに慣れていないのでそのまま座らせて頂きますね。」
「慣れちゃえば平気なのに〜」
そるとちゃんがそのまま砂の上に座る。私達も続けて砂の上に座った。
ミユキさんが顔の横で手をパンパンって叩いたら三人の四つん這いのボディーガードがモンスターに走っていった。
まわりの冒険者達が一生懸命モンスターを倒している中、私達は体育座りをしていた。なんか美味しい飲み物を飲んでいるだけで、勝手にレベルが上がっていく……。
達成感ってなんだっけ??プレイヤースキルってなんだっけ??
「……あの、だいぶレベルを上げさせて頂いたので、私達はそろそろ帰らせて頂きますね!」
「あっ、じゃあ送っていくわ!! ……ちょっとだけ待ってて!! 彼らにご褒美をあげないといけなくて!!」
ミユキさんが顔の横で手をパンパンってやったらすべてのボディーガードが横一例に並んだ。お金でもあげるのかな……??
またパンパンってやったら、後ろを向いてすべてのボディーガードが四つん這いになった。なぜか、ズボンとパンツをずらして半ケツになる。
ミユキさんがスリットの部分からムチを取り出して、ケツに向かってムチをうった!!
「あゔっ!! あゔー!! あああぁああ〜!! 最高ですー!」
「いぃ〜いぃ〜あああぁあああぁ〜!!」
「ミユキ様〜もっとぉおお〜!!」
なんだろう。この、笑ってはいけないような状況は……。
私達はただただ呆然としていた。
「あっ、あの人、ケツ毛生えてる……」
「……ぶぶっ……。」
そるとちゃんが吹き出した。そるとちゃんアウト!!
ミユキさんにハイヒールでグリグリされてるボディーガードの人が叫んだ。
「あぁああ〜! 美しき僕らのビューティフル☆スノウ!」
……お前ら、それでいいのか。
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