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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第三章
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爆弾娘


「うぅ〜。教頭先生、苦手だなぁ」


 職員室から地雷さんが出てきた。どうやら相当な嫌味を言われたらしい。


「強くも賢くもない……君には一体何が出来るのだね? 学院は低レベルの集まりではないのだよ!! だって」


 教頭先生のモノマネをしながら地雷さんがぼやいた。


「自分でもわかってる事を他人に言われるのは腹立つよね〜。……でも、何も言い返せねーー!!」


 相当悔しかった様だ。確かに地雷さんは強そうには見えないし、賢そうには見えないけど……いい所だって沢山あると思う。


「地雷さんは凄い人って感じではないけど、一緒にいると明るくなるし元気になるよ」


「慰めてくれてありがとう!! 大丈夫、気にしないから!!」


 笑顔で返事をする地雷さん。切り替えって大事だよね!なかなかポジティブだ。


「でも、学院退学になっちゃうかも!? 韋駄天大会ってやつで実力出せって……」


「韋駄天大会??」


「なんかモンスターを倒す時間を競うらしいよ? どっかの生徒が言ってた」


 いつのまにかマタメンテエルフが韋駄天大会についての説明を始めた。


「コンテンツの一つかな?? 四人一組でやるみたい」


「四人一組って……」


 現状、俺と地雷さんとマタメンテエルフしかいないから、誰かパーティーに加入させる必要があるって事か。


「ちなみに俺、戦闘向きに作られてないから除外して考えた方がいいぞ」


「まじか……」


 マタメンテエルフをパーティーに入れられないって事は、最低でも二人は必要って事だ。


「じゃあ、まずはメンバー集めからか。とりあえず回復役が一人欲しいかな」


「ふーん。回復役ねぇ……回復役なら教会にいるんじゃね? 学院近くに教会あるから行ってみたら?」


「そうだな」


「ねぇ……」


 俺とマタメンテエルフが話していると、横から申し訳なさそうに地雷さんがつぶやいた。


「……やっぱり、韋駄天大会って出ないとダメなんかな?なんかゴリゴリのバトル大会って、プレイヤースキルない地雷には気が重いというか」


 不安そうにポツリと言う。確かにバトル好きのタイプには見えないし、苦手な部分ではあるのだろう。

 ただ、今回は俺の現実世界に帰るという問題も引っかかってくる為、諦めてもらう訳にはいかない。


「まぁ、このゲーム。メイン世界はRPGだし……設定上、バトルは外せないよね」


「うへぇ……」


 苦い顔をする地雷さん。会話選択のみの恋愛ゲームとは違うからなぁ……。


「大丈夫、大丈夫!! その為に俺がいるんだし、やるだけやってみよう!!」


「わかった。チートさんがそういうなら……」


 苦手な事は練習すれば良いし、俺がフォローすればいい事だ。そんなに難しく設定されているものでもないだろう。


「とりあえず、行ってみるか!! 教会に……」


「そうだね!! 行ってみよう!!」


 こうして教会にそのまま向かった。教会は学院の近くにあって、だいたい歩いて五分くらいの距離にあった。


「こんにちは〜」

 

 教会には白いローブを纏ったシスターみたいな人達が沢山いた。これは期待出来そうだ。そばにいた綺麗な女性に声をかけてみる。


「すみません、もしかしてヒーラーをやられてたりしますか??」


「えぇ、私。回復役ですけど……」


「良かった!! 俺た……私達とパーティーを組んでくれませんか?? メンバーを探しているんです」


「そうなの〜。……でも、ごめんなさい。もう一緒に組んでいる人がいるので」


「そうですか……」


 その後何人かに声をかけてみたが、だいたい固定パーティーがある様で断られた。困った俺たちは断られたうちの一人に聞いてみる事にした。


「誰かパーティーを組んでいない人を知りませんか??」


「そうねぇ〜……。いない訳ではないけど」


「教えて下さい!!」


「彼女は教会の裏にいる事が多いわ。でも、チャカは変わってるタイプの子よ」


「チャカさん?ですね!! ありがとうございます!!」


 変わり者ならここにもいる!!……いや、むしろ変わり者しかいない!!この際、贅沢は言ってられない。だってパーティーに回復役は必須だ!!

 俺達は言われた通り教会裏に向かう。そして、教会裏で一人の女性を見つける事に成功した。あの人がチャカさん?だろうか??


「あぁ〜あ……。アタシ何でここにいるんだろ??」


 白いローブを纏った女性が、ヤンキー座りしながらぼやいている。凄く……衣装とポーズがあっていない。後ろ姿でよく見えないけど、何かを食べている様だ。


「お腹一杯になったし……ヤリますか」


 彼女は立ち上がると槍を構えて、高台にある岩に目掛けて槍を投げた。槍は見事に命中した。


――チュドーーン!!


「チェックメイトォ〜」


 なんだかやる気のない、投げやりな台詞が聞こえてきた。この人に信仰心なんてあるんだろうか??


「すごーい!! あれって爆弾岩??」


「……んっ??」


 地雷さんの声にチャカさん?が振り向いた。こちらを不思議そうな顔で見つめている。


「あなた達は??」


「こんにちは!! えっと……チャカさん?ですか??」  


「えぇ……そうだけど」


「あのね、私達仲間を探しに来たの!! 教会の人達にチャカさんがここにいるって聞いて来たんだぁ!!」


「あっ! なるほどね〜。理解」 


 チャカさんの疑問はとれた様だ。地雷さんが明るい感じでチャカさんと話を続ける。


「チャカちゃん、めっちゃかっこよかった!! 一緒にパーティー組んでくれない??」


「えっ!? むしろありがたいけど……私、回復役は出来ないよ??」


 なんだと!?それはちょっと困るな……。


「全然、大丈夫!! 一緒にやろー!!」


「わかった! よろしくね!!」


 二人は笑顔で握手をしている。って……オイオイオイオイ!!地雷さーーーん!!勝手に話を進めないでーー!!頼むよ〜〜〜!!投げヤリな爆弾娘雇ってどうするんだよ……。

 俺が呆然としていると、マタメンテエルフが俺にそっと耳打ちをした。


「まぁ、枠余ってたから……いんでね??」

 

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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