プロローグ
現実世界での生活も安定してきた。仕事も順調だ。地雷も年数を経て、中堅からベテランになった。そうすると、新しく入ってきた新人さんに教える立場になっていく。
人間のタイプは様々だ。A子ちゃんはこう教えて出来る様になったから、B子ちゃんに教える時も同じでいいとは限らない。
「メモを取って、話を聞いて」
そう言ってもメモを取らない子がいた。見た感じやる気がない様な感じでもない……。なんとなく、この子は地雷と同じタイプなのかもしれないと思った。きっと、メモ帳に何を書けばいいのかがわからないのだと思う。
「箇条書きで教えるね」
1、2、3……って数字を書いて重要な項目を短い文章で書かせた。
「お客様にその順番で説明すれば大丈夫。頭が真っ白になったら『そちらの用紙に記入をお願いします』って伝えて落ち着くといいよ。わからない事があれば遠慮なく聞いて〜」
自分が沢山つまづいてきたので、相手がどこでつまづくか手に取るようにわかった。つまづく箇所が多くて、情けなくて自分が嫌な時もあったけど、無駄じゃなかったんだな……と思う。
「ねぇ、あんた。あんたって自分の事好きでしょ??」
会社の先輩が地雷に声をかけた。地雷は会社の天井を見ながら、少し考えると先輩に返事をした。
「そうですねぇ……まぁ、嫌いじゃないです」
昔なら考えられない様な返答だった。昔は弱くて何も出来なくて、ただ息をしているだけって感覚だったから自分が嫌いだった。
でも、少しずつでも自分を好きになる努力をしてきたからか、ちょっとずつ自分を認められる様になった。
大好き!!……までとはいかないが、ちょっと好きって感じだ。
「ねぇねぇ、会社の男性の中で誰がタイプ??」
「う〜ん。そうですねぇ〜……」
会社にいる男性の面々を思い出して考えると先輩に伝えた。
「新しく入って来てくれた上司がタイプです!!」
その上司は他県から新しく入ってきてくれた上司だった。会社の偉い人と、私達部下のイザコザを収める潤滑油みたいな感じの人だった。
「君はアホだけど、文章をまとめる能力があるなぁ〜」
新人さんに教えるために、自分が昔とっていたノートを持ってきていた。そのノートを見て褒めてくれたのが凄く嬉しかった。なんだか……頑張りを認めてくれた様な気がしたからだ。
「なんだか懐かしいなぁ〜……」
地雷が過去を思い出して独り言を言っていると、先輩が噂の上司に地雷のタイプの話をそのまま伝えた。
「なんかタイプだそうですよ!!」
上司は困った顔をしながら……地雷の前で言った。
「すまん!! 俺、嫁がいるんだ!! ホント、ごめんな!!」
「いやいや……知ってますよ!!」
またこのパターンか!!なんで告白もしてないのに、一方的にフラれた!!……みたいになってるん!?!?
先輩はその様子を見て、ゲラゲラと笑っている。
「いや、なんか……告白してないのに、フラれる! みたいなこの状況! 虚しいんでやめて貰えますかぁぁ!!」
あれ??でもこのパターン。前もどっかであったはずなんだけど……いつあったっけ??
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