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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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彼女探し


 激しい魔法の撃ち合いになったと思ったら、片方のライルンに魔法があたって吹っ飛んだ。

 おそらく吹き飛ばされた方のライルンが、うちのライルンだ。よそのライルンはうちのライルンを担ぐと、私達の方へやって来て言った。


「お待たせしました。あなた達のライルです。寝てるだけなんで適当にその中で転がしておいて下さい」


 転がすって……なんだか軽い感じの言い方だなぁ。


「ちょっとあなた! うちのライルンに失礼じゃない!」


 地雷がプリプリしながらそう言うと、ライルンは申し訳なさそうに謝り始めた。


「申し訳ありません。自分自身なので、つい」


 頭を下げて謝るので、ちょっと言い過ぎたかなと思う。


「いやいや、気を付けて貰えば大丈夫なんだけどさ!」


 地雷がオーバーリアクションぎみでフォローすると、ライルンはつぶやいた。


「僕は未来のライルなので、過去の恥ずかしい自分に耐えられないというか……」


 んっ??未来のライルン??……って言った??


「……どういう事だ??」


 ぽたんちゃんが質問すると、未来のライルンは答えた。


「僕は彼女と、聖剣の力を使って未来から来ました」


「何それめっちゃファンタジー!!」


 チムリが興奮して何か叫んでいる。チムリを放置してライルンは話を続けた。


「彼女は憧れの地雷戦士に会いに来たんです。会いたいという気持ちが、聖剣の力を時間を操る力に変えました」


「……」


 ちょっと待ってなにそれ!!なぜそこで地雷戦士が出てくる!?


「どうしてそこで地雷が出てくるん!?」


 地雷がライルンに聞くと、ライルンは恥ずかしそうに話はじめた。


「僕は物語を作る時、ハッピーエンドの話を書く事が出来ませんでした。沢山の人間を見てきて、現実を知ってしまったからです……」


 確かにライルンは、そう言って悩んでいた。


「だからまず、ハッピーエンドになった人物をモデルにして話を書く事にしたのです。それが地雷戦士です」


「……なるほど。でも、ちょっと待って!?」


 地雷の黒歴史が、文字として残されたという事!?それはそれでちょっと恥ずかしい。


「なんかそれはそれでちょっと恥ずかしいかも!?」


 地雷が言うと、ライルンは申し訳なさそうにつぶやく。


「すみません……。もうあなた達がいない未来なので、思い出を残したくて書き始めました」


 ちょっと寂しそうな感じがした。神様って寿命が長いだろうし、人間の一生を凄い速度で感じるのかも。それは沢山の別れを経験するという事だ……辛い事もあるかもしれない。


「それだけ大事に想ってくれて嬉しいよ!! どんな世界線でも、時間軸でも、ライルンは大事な戦友!!」


 握手して繋いだ手をブンブン上下に振ると、ライルンは嬉しそうにつぶやいた。


「ありがとうございます」


 状況がわかった所で、ぽたんちゃんがライルンに問いかけた。


「それで……お前の彼女はどこにいるんだ??」


「彼女を眠らせておいたのですが、先程ベッドからいなくなっていたので目を覚ました様です」


「なるほど……この船の中にいるのは確かだけど、場所はわからないという事か」


「はい」


 結構、大きい船だ。手分けして探した方が早いかもしれない。


「じゃあ、二手に別れて探す??」


「いや……やめた方がいい。私は先程、攻撃された」


「えっ!?」


「固まって探すのがベターだ」


「もうそこまで暴走しかけているのですね……申し訳ありません」


 ライルンは謝りながら彼女の状態を教えてくれた。


「聖剣は本来聖なる力を纏っている剣ですが、彼女の不安定な状況から闇のオーラに変わってしまっています。くれぐれも、闇のオーラが暴走したら近付かないで下さい。闇に呑まれたら魂がこちらに帰ってこれません」


「魂が帰らなかったら、どうなるの??」


 地雷の問いかけに、ライルンが恐ろしい返答をした。


「現実世界にも、ゲーム世界にも帰ってくる事が出来ず……永久に暗闇を彷徨います」


「何それこっわ!!」


 地雷がビビっていると、ライルンが付け加えた。


「近寄らなければ大丈夫なので安心して下さい。何が起きてもご自身を一番大切に」


「わかった!!」


 こうして固まってライルンの彼女探しが始まった。でも、船の中を見回しても人の気配が全然ない。


「ねぇ……本当にこの船にいるの?」


「この船は彼女が乗っていなければ存在出来ません。必ず何処かに彼女はいます」


「あっ、彼女の心の姿なんだっけ??」


「そうです」


 話しながら船の外に出ると、髪の長い黒いドレスを着た女性が、赤い三日月をぼんやりと眺めていた。こちらには気付いていない様だ。


「少し、彼女と話をしますのでここで待っていて下さい」


 ライルンは私達に言うと、彼女に近付きながら話しかけ始めた。


「……そこにいたんですね」


 ライルンが言うと、女性がこちらを振り向いた。眼帯を着けている美しい女性だ。彼女は何だか少し嬉しそうに話し始める。


「やっと話をしてくれましたね。もう……私とは話したくないのだと思っていました」


「すみません……諸事情で話をする事が出来ない状態になっていましたので」


「……そうですか」


 何だか少し安心した表情を見せる。あれっ??……このままいけば私達三人、必要ないんじゃない??

 

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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