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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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ガチ勢の絆1(ぽたんside)


「地雷……? 地雷!? いるか地雷!!」


 突然、地雷が消えた。さっきまで普通に話をしていたのに……何があった!?

 地雷がいた鏡の近くを探してみるが、彼女の姿はない。


「分断されたか……まずいな」


 怖がりな彼女の事だ……泣きながら叫んでいる姿が目に浮かぶ。私はタロットカードから一枚引くと、カードを確認した。


「『愚者』か……まぁ、大丈夫だろう」


『愚者』のカードを引いて、大丈夫と判断するなんて、リュウのうんちくの影響を受けているなと思う。

 

 あいつは出会った時から、なんだか変な奴だった。群れたりするのが好きじゃない私は、一匹狼でソロ活動ばかりしていた。ある日街をブラブラ歩いていたら、彼はいた。


「来たな!! 俺の運命の人!!」


 デカイ声で叫んでいる奴がいる。変な奴がいると思っていたら、なんだかこちらの方に向かって来る。


「待っていた!! 運命の人!!」


「……はっ?」


 いきなり急接近で声をかけられて、理解が追いついてない私にリュウは言った。


「私達は共に悪と戦う運命なのだ!!」


「……」


 出会い厨か??新手の宗教勧誘か??……どちらでもいい!!とにかくこの頭のおかしい奴から逃げないと!!ジロジロ見てくる周りの目が痛い!!


「すまんが人違いだ」


 そう言って逃げた。こういう奴は話をせず、さっさと退散するに限る。


「待って!! 運命の人!!」


 叫びながら呼び止められたが、かまわず移動魔法を発動させた。だが、その日から不思議な事が起き始める……。


「やぁ!! 運命の人!! レベル上げかい??」


「……」


 なぜか行く先々でコイツは現れる。私はソロ活動だから今日の予定とかを誰かに教えたりする事はない。相変わらずデカイ声で『運命の人』呼ばわりするので周りの目が痛くなる。


「……はぁ」


 耐えられなくなって、彼とパーティーを組んだ。


「……私に何か用か?」


「やっとパーティーを組んでくれたね! 運命の人!!」


「……その『運命の人』って言うのをやめてくれないか? 私の名はぽたんだ」


「そうかぽたん!! それは悪かった!! 俺の名はリュウだ!! 呼び捨てで構わない!!」


 その後、一緒にレベル上げをした。一緒にいて発言と行動はおかしいが、中身は悪いヤツではない事がわかった。


「では!! また明日会おう、ぽたん!!」


「……明日もかよ」


 こうして一緒に日々を過ごす様になった。リュウは変な奴だったが、明るくて毎日楽しかった。リュウがいると退屈な時がなく、毎日充実していた。


「この間の話の続きなんだが……ぽたんはカードの『愚者』の意味をどう捉える??」


「どうって……」


 始まった始まった。リュウのうんちくタイムだ。リュウのうんちくタイムはいつも急に始まる。別にこっちが聞きたいなんて言ってないのに……。


「あのさ……別に、タロットカードの意味なんて聞いてないんだが」


「いや、いつかぽたんも占いをやる日が来るかも知れないだろ??」


「お前がいるのに必要ないだろ」


「まぁ……そうだけどさ!!」


 少し、間をとってリュウは話を続ける。


「それでぽたんは『愚者』のカードの意味をどう捉える??」


「お前……話の意味わかってるか??」


 これは答えないと会話が進まないパターンだ……。私は直感でカードの意味を推察する。


「そのままイメージ通りだろう?? 愚かな者。間違った選択をする人みたいな感じか……??」


「まぁ、そう思うよね? でも、違うんだなぁ〜」


 ドヤ顔で解説を始める。


「『愚者』……人々に愚かと呼ばれても負けない強い心の持ち主だ。世間体や見栄に縛られない、自由な精神と素直さがある」


 身振り手振りが大きくなってきた。


「それが思いがけない強い力になって!! 型破りな結末を導く事が出来るんだ!!」


 こちらを熱視線で見つめながら最後をしめくくる。


「ぽたん、占いは人をより良い方向に導かなくてはいけないんだ。そのままイメージ通りの解釈をするだけではダメだ」


 だから、私は占いをする気はないんだが……。


「後……話は変わるのだが……」


 リュウは二枚の写真を見せながら私に問いかける。


「戦闘に美しさは必要だと思うんだ!! どちらの服を着た方が俺の魅力を最大限に表現出来ると思う??」


 写真を見ると、同じ色の似たり寄ったりの服だ。


「……どっちも変わらん。好きにしろ」


うんざりしながら答えると、リュウは写真を指差して私に力説を始めた。


「同じではない!! このボタンの位置と、全体的なスタイルが違うんだ!!」


 こんな調子だから、リュウの話をあしらいながら何かをする事に慣れてしまった。


 

「……ふふっ。あはは……」


 誰もいない薄暗い部屋の中で思い出し笑いをしてしまった。いけない、いけない……。こんな事をしている場合ではないのだ。


「……それにしても」


 リュウ……お前。もう戻って来ないんだな。私の部屋にタロットカードを置いていった時点で薄々感じていた。気付かない振りしていたが……『星』のカードから自動的にモンスターが召喚された時点で確信に変わった。


「まぁ、誰とだって……いつかは別れを経験するのだ」


 きっともうここには来ない理由が、リュウにはあるのだろう。何となく……わかる事だ。


「さて、地雷を探さなくては……」


 ふと人の気配を感じて、気配のする方を振り向く。すると……よく知った人物が呆然と立っていた。


「お前……リュウ!?」

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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