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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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時空の幽霊船


「すまないが……動揺している様だからちょっと落ち着かせてくる」


 ぽたんちゃんは地雷を連れてライルンから少し離れた場所に移動した。


「おい。まずは深呼吸しろ。ゆっくりでいい」


 地雷は言われた通り、深く息を吸って吐いた。


「ス〜ハ〜……ス〜ハ〜……」


 少し落ち着いてきた。地雷が落ち着いた所でぽたんちゃんが言った。


「私達は帰ろう。わざわざ幽霊船に行く意味がわからん。男女間のもつれに、他人が行ったっていい事はない」


 そ……そうだよね!!男女の問題は当事者で解決した方がいいと思うし、状況が悪化する可能性もある!!うん、うん!!そうだそうだ!!

 ……なんか大事な事忘れてない??


「あっ!!」


「……どうした?」


 地雷は大事な事を思い出した。ライルンには聞こえない様にぽたんちゃんに耳打ちする。


「偽物のライルンの可能性がある」


「……なんだって?」


 もっと話をしようとしたら心配そうにライルンが近づいてきた。


「あの……大丈夫ですか?」


 それ以上、重要な話をする事が出来なくなった。ライルンは話を続ける。


「個人的な事で大変申し訳ないのですが……どうか力を貸して欲しいのです。彼女の心を救う為にも……」


 少し沈黙になった後、ぽたんちゃんは口を開いた。


「応援を呼ぶか……ほら、プリンスコンテストに来てた奴……名前なんだっけ??」


 間髪いれずにライルンが答える。


「ラスボスさんですね。彼は優秀な方でした。確かにいれば心強いと思いますが、現状時間がありません」


 ぽたんちゃんは地雷に目配せをした。きっと『あいつはライル本人だ!』って言いたいんだと思う。

 ぽたんちゃんはライルンにハッキリ伝えた。


「悪いが私達はいかない。よけい拗れるだけだ」


「……待って!!」


 地雷が待ったをかけた。確かにラスボスの名前を知っていたからライルンの可能性は高い。……だけど、絶対っていう保証もない。もう一人のライルンも気になるし……。


「……行くよ」


 仮に今、目の前のライルンがよそのライルンだったら、うちのライルンは捕われたままだ。

 地雷の様子を見て、ぽたんちゃんは覚悟を決めた。


「まぁ、そるとさんに頼まれているし。地雷が行くなら私も行こう」


「……ありがとうございます」


 こうして話がまとまった所で、ライルンの力で幽霊船に向かった。ライルンが魔法を唱えると、身体が浮いて、空を飛びながら船に近づいていく。


「すっ……すげー!! まじピーターパンみたいだ!!」


「お前は心が、子どもみたいなものだからな」


 ぽたんちゃんのツッコミに、反論出来ないのが悲しい!


 幽霊船に着いて、地雷は大変重要な事を思い出した。床に足を着けたら、なんだか床がミシミシ音をたてる。


「地雷、幽霊苦手だったぁあああ〜〜!!」


「いや、ですから彼女しかいません」


 ライルンはそう言うけど、めっちゃお化け屋敷みたいな雰囲気だった。薄暗い空に、薄暗い雰囲気に、ちょっと壊れそうな床……。


「やばい!! 帰りたい!!」


「心折れるの早いだろ……」


 ぽたんちゃんはそういうけど、お化けとか幽霊に耐性がないから辛いのだ。


「もっと電気ピカピカで明るくして欲しい!!」


「『ルノールの美術品』みたいにですか??」


 あれはあれで気色悪い。


「そうだ……。聖剣を返しておきます」


 ライルンは地雷に聖剣を差し出した。


「えっ? いいの??」


「……もともとはあなたの物ですから」


 ライルンから聖剣を受け取ると、剣から傘のスティックに変身した。


「……あっ」


 そういえば回復職のままログアウトしたから、剣を持つことがプログラム上出来ないんだ。でも……サブリから貰ったスティックあるのになぁ……。


「……こうするか」


 地雷は両手にスティックを持って二刀流した。顔の前でスティックを交差してカッコつけてみる。


「……どう? カッコいい!?」


「なんか、ドラムゲームやる人みたいだな」


 剣を二本持って宮本武蔵みたいにする人はいるけど、スティックを二本持って戦うのは地雷くらいだろう。


「ドラムゲーム!! ☆3ノーマルもクリア出来ない地雷のプレイヤースキルが火を吹くぜ!!」


「下手くそだな……」


 そうやって怖い心を誤魔化していた。仲間と話しながら平常心を保つのだ。


「では、とりあえず僕は様子を見てきます。ここで二人共待っていて下さい」


 ライルンはそう言うと、高速でどっかに消えてしまった。


「あっ……」


 ぽたんちゃんと二人になる。地雷は絶対、ぽたんちゃんから離れない!!マジ、ぽたんちゃんがいて良かった。


「あいつはライルだと思うんだが……偽物だと思うのか? 何があった??」


「実は二人で『ルノールの美術品』って店に行った帰りに……」


 こうして話始めて、今まであった事をぽたんちゃんに説明した。


「なるほど。聖剣二本をライルが持ってて、狙われたという事か」


「なんかそうみたい」


「それで取り合いになったと?」


「うん」


 ぽたんちゃんは考えこむと、地雷に提案をした。


「少し、船の中を探ってみるか?」


「えっ……」


「怖いのはわかるが、仮にさっきのライルが偽物だった場合、本物のライルがどこかにいるかもしれん」


「確かに……」


 怖いけどライルがピンチなら大変だ!!助けに行かなくちゃ!!

 こうしてぽたんちゃんと船を探る事にした。


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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