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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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死神プリンス


 やばいよ!!やばいよ!!これじゃ本当にライルンが死神になっちゃうよ!!

 地雷は緊急性を感じて、ネックレスに話しかけた。


「今回は事故だったので魂を返してやろう。二度目はないぞ……」


 それらしい事を言って誤魔化した。お姉さん、ちゃんと息してるし!!彼女はタンカーで運ばれて行った。ライルンは、男性スタッフからトロフィーを受け取る。


「あっ……ありがとうございます」

 

 ライルンがつぶやくと、観客席から子ども達が舞台に駆け上がって来た。


「死神プリンス!! サイン頂戴!!」


「僕も!! 僕も!!」


「えーっ!! いいなっ!! 私も!!」


 沢山の子どもに囲まれてライルンは困惑していた。


「えっ……? あっ、えっと……」


 色紙とペンを持って棒立ちだ。あぁ……あれはきっと、色紙に何て書けばいいかわからなくて悩んでるんだな。


「死神プリンスのサインはこちらでーす!!」


 地雷が言うと、ライルンは色紙に『Death god Prince』と書き始めた。

 こうしてライルンは、死神プリンスの称号を得たのである。



 ◇



 プリンスコンテストは大成功で幕を閉じた。地雷の回復職もしばらくは幕を閉じようと思っている。

 あっ、でも剣を買うお金がないから、やっぱりしばらくはなんちゃって回復職かもしれない!!


「もしもし、ちょっとお願いがあるんですが……」


 ライルンからラブコールが来た!!もう勝手にラブコール扱いにしている。


「どうしたの? 死神プリンス!」


「……その言い方、やめて下さい」


 マジで嫌そうだったので、その名は封印する事にした。


「お願いって……何かあったの??」


「あの……『ルノールの美術品』に付いて来てくれませんか??」


 ライルンはあの店の店主が苦手みたいだったから、一人だと心細いんだろう。


「いいよ〜! 行こ行こ!!」


「ありがとうございます」


 こうして二人で『ルノールの美術品』に向かった。いつもならガランとしてて静かな店のはずなのに、何故か今日は賑やかだ。店の前に列が出来ている。


「あっ、死神プリンスだ!!」


 親と一緒に列に並んでた子どもが叫んだ。それを合図に、並んでいた子ども達が一斉にライルンに群がる。


「えっ……? あっ、えっと……」


 ライルンは混乱していた。混乱しながらも子ども達に優しく対応する。子ども達のノートや紙にサインを書いてあげたり、写真を一緒に撮ったり……。


「どういう事だ??」


 完全にアウトオブ眼中になっている地雷は、つぶやいて店の方を見た。店の前にのぼりが立っている。


『死神プリンスの剣 あります!!』 


 まるで『冷やし中華あります』みたいに書いてあった。

あの気持ち悪い店主……やりやがったな!!

 店の前に行くと、アイスコーナーまで設置されていた。アイスの形はやっぱり声剣だ!!


「うひょひょ!! ありがとうございます!!」


 店を覗いたら、気持ち悪い店主がカウンターで笑っていた。気持ち悪い顔がより一層気持ち悪くなっている。


「……これか」


 何十本も声剣が陳列されており、その内の一本を手に取ってみた。ライルンが持っているものよりも、子ども用に改良されてある。

 ボタンが四つあったので押してみた。


「名は死神としておこう。君達の魂を管理している者だ。間違っても私の顔を見ようなどとは考えない方が良い。魂を吸い取ってしまうぞ? ハハハハ!!」


「今、隠された力が暴走している!! ぐぁああぁああ!!」


「見ろっ!! 私が花咲プリンスだっ!!」


「今回は事故だったので魂を返してやろう。二度目はないぞ……」


 陳列されている部分の壁に、大きいポスターが貼ってあった。


『ツインの死神プリンスの剣は近日発売!!』

 

 なんだか腹が立ってきた!!地雷は気持ち悪い店主の金儲けの為にライルンをプリンスコンテストに出した訳じゃない!!


「……ふぅ」


 怒りの感情を収めるために一旦店から出た。ライルンは子ども達の対応に忙しそうだ。


「ラスボスストーン」


「サンダーストーン」


「ラスボスストーン」


「サンダーストーン」


 石を投げて遊んでいる子ども達の様だ。せっかく買った声剣があるというのに、腰に差したまま遊んでいる。


「いや……これでいいのかもしれない」

 

 地雷はつぶやきながら思う。むやみやたらに武器を振り回す大人になってほしくはない。

 それは言葉という武器だったり、拳という武器だったり様々だ。


「くらぇえええ〜〜!! 核地雷ーーー!!」


 大きい丸太みたいな木を持って投げようとしている子どもがいる。……いや、マジでそれはやめてほしい!!色んな意味で教育に悪い!!


「……やばい。鳥肌たってきた」


 光る蜘蛛の感触を思い出す。あの戦いでトラウマに拍車がかかった様だ。


「おっ……お待たせしました」


 子ども達に揉みくちゃにされたライルンが疲れた感じで戻って来た。列に並んでいる子ども達分のサインは終わったらしい。


「一旦、帰って閉店してからまた来ましょう!!」


 新しい子どもが来る前にライルンは退散した。もの凄い速さだ!!Now loadingが見たら悔しがる速さだろう。


「あぁ……どうしてこんな事に」


 ライルンは木の影に隠れながらつぶやいた。人気者って大変なんだなぁ〜。


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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