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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
43/125

花咲プリンス


 こうして私達、死神パーティーの出番は終わり、舞台裏で他のパーティーが終わるのを待っていた。ライルンは座り込んでつぶやく。


「あぁ〜……疲れた。もう、二度とこういうのはやりたくないです」


「いやいや、まだ終わりじゃないよ!? 結果発表があるんだから!!」


 地雷がライルンを諭した。遠足は帰るまでが遠足なのだ!!気を引き締めてもらわなくちゃ!!


「あんな中二病の紹介で、優勝なんて無理でしょう……」


「いやいや、満更でもないと思いますが……」


 ラスボスが笑顔でライルンを励ます!!


「いや、もう……なんでもいいんで早く帰りたいです」


 そんな感じでのほほんと会話してたら、血相変えたスタッフが舞台裏の人達に叫んだ。


「大変だ!! 管理していた飛行系のモンスターが一斉に逃げ出した!!」


 舞台裏から覗いてみたら、凄い数のモンスターが空を飛んでいた。会場は大パニックだ!!


「なんで管理出来ない数のモンスターをこんなに捕まえたんだ!? こんなに倒せないぞ!!」


「いちいち捕獲しに行くのが面倒だから沢山捕まえろって上の人が……」


「なんて事だ……」


 スタッフは緊急性を優先して舞台裏の冒険者に助けを求めた。


「申し訳ありません!! 戦える冒険者の方!! 力を貸してください!! お願いします!!」


 司会のお姉さんが、会場がこれ以上パニックにならない様に観客に案内を入れた。


「皆さーん!! ちょっとしたハプニングですが、イケメン冒険者さん達が倒してくれまーす!! 座ってしばらくお待ち下さ〜い!!」


 舞台裏から沢山の冒険者が出て行って、モンスターと戦っていく。だが、飛行系のモンスターの為か、あまり攻撃出来ていない。攻撃出来るのは遠距離攻撃が出来る人だけだ。


「この数……なかなかだな」


「……そうですね」


 ぽたんちゃんが弓、ラスボスが魔法で攻撃していた。二人も一生懸命攻撃していたが、それでも数が多すぎてキリがなかった。

 ……あれっ?そういえばライルンは??


「……ライルン?」


 会場をキョロキョロ見回して見たら、ライルンは会場のすぐそばにある高い木に登っていた。そして、木の高い所から凄い勢いで砂をモンスターにぶつけた。


「ギルギルギルギル……」


 変なうめき声を出して、飛行系モンスターが床に落ちていく。床に落ちたモンスターを、他の冒険者が倒していった。


「ナイス!! ライルン!!」


 その様子を見て、地雷はある名案が浮かんでいた。レッド応援団長の力が……火を吹くぜ!!

 地雷は一定時間の後、空に向かって叫んだ。


「✳︎✳︎✳︎! ✳︎✳︎✳︎!」


 すると、同志達の声が聞こえてきた。


「✳︎✳︎✳︎! ✳︎✳︎✳︎!」


「✳︎✳︎✳︎! ✳︎✳︎✳︎!」


 来たっ!!我が同志達だ!!そして、案の定、会場にお花畑が広がっていく……。

 

✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!

✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!

✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!

✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!

✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎!


 お花畑が広がった辺りで、地雷はネックレスに向かって叫んだ。


「見ろっ!! 私が花咲プリンスだっ!!」


 会場はお花畑を見て、テンションが上がっていった。


「なんだ!? 急に花の弾幕が広がったぞ!?」


「もしかして……演出だったんじゃないのか??」


「花の死神プリンス……ヤバかっこいい!!」


 そるとちゃんはドンチャン騒ぎする会場を、何かを諦めた様な目で見つめていた。


「あっ……そるとさん」


 そるとちゃんが声のする方を見ると、そこにはチムリがいた。


「あら、チムリ。今、来たの?」


「いや……なんか、仕事だったんだけど。血を吐いてぶっ倒れたらしくて帰れって言われちゃって……」


「そっ……そうなのね」


 そるとちゃんは少し気まずそうに返事をした。


「それにしても……この花の弾幕。どういう事だ??」


 チムリの疑問の声に、そるとちゃんが答えた。


「なんか地雷がレッド応援団長らしくて。『世界に花を届けたい』っていう集まりを作ったそうなんです」


「ふむふむ」


「その集まり内で地雷が『世界に花を届けたい!!』って叫ぶと、手が空いた人から地雷の所に飛んでいって弾幕を作るそうです……」


「えっ……。なにその暇人の集まり」


 そんな暇人の集まりの中に、しっかりちゃっかりミコトもいた。あいつは比較的早く集まりに来る。暇人のスペシャリストだ。


「✳︎✳︎✳︎! ✳︎✳︎✳︎!」


 こうして、死神プリンスと沢山の冒険者のおかげで飛行系モンスターの掃除が終わった。観客も、舞台裏の冒険者も、みんながライルンをマジマジと見つめている。


「もう……穴があったら入りたいです。むしろ埋めて下さい」


 ライルンはまた舞台裏の隅でブルブル震えだした。


 

「それでは、全てのイケメンプリンスの紹介が終わりましたので、観客の皆様に投票をお願いしたいと思います!」


 司会のお姉さんが集計を開始した様だった。

 舞台裏でやる事もなく暇だったので調子にのって想像酒を飲んでみた。味は果実酒みたいな感じで甘めだ。しばらくすると身体に異変を感じてきた……。


「うおっ!? うぉおおおおぉ!?!?」


 胸元に息苦しさを感じて思わず鎧を脱いだ。鎧は無事だったけど、中のブラジャーのホックが弾け飛んだ。


「マジスゲー!! ✳︎✳︎✳︎✳︎ボインボインだぜっ!! うははっ!!」


 サブリの真似をしながら谷間を作っていたら、元の貧乳に戻ってしまった。


「あっ……」


 一瞬の沈黙の後、ラスボスがしゃべり出した。


「創造主様。自分の理想を体験する事で、人は理想に近付く努力をします。そして結果的に、現実にする事が出来るのです」


「はぁ」


 ラスボスはマジ顔で地雷を説き伏せた。やっぱりラスボスは教祖様みたいだなと思う。


「ちなみに『想像酒』は、手始めにこの街で売ってみようと思っています」


「そんな事より、ブラジャー壊れちゃったんだけど」


「大丈夫です! その為の鎧じゃないですか!!」


 よりによって、晴れ舞台だからいいブラジャーを着けてきてしまった。高いのに……。それにしても地雷は鎧つければブラジャーなんて意味ないと思っているのか??

 考えると虚しくなるからやめた。地雷はいそいそと鎧を着ける。


「それでは集計が終わりました!! イケメンプリンスの冒険者の皆様〜!! 舞台の方にお願いしま〜す!!」


 舞台裏から舞台に出て、端から三番目に、ライルンを先頭にして縦に並んだ。


ジャカジャカジャカジャカジャカ……ジャン!!


 BGMが止まって、スポットライトがライルンに当たった。


「優勝は四番の『死神』さんでーす!! 今のお気持ちをどうぞ!!」


 ライルンは棒立ちして無言だった。


「もしもーし? 優勝ですよ?? 大丈夫ですか??」


 下から司会のお姉さんが、ライルンを見上げたら司会のお姉さんの顔がポッと赤くなった。


「あっ……」


 なんと司会のお姉さんさんは、ライルンの顔を見て気絶してしまった。地雷も顔を見た事ないのに!!ずるい!!

 観客の子どもの一人が叫んだ。


「死神プリンスに魂を抜かれたんだ!!」

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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