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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
41/125

VS女の敵


 簀巻きから解放された地雷が、蜘蛛から逃れて仲間の元に帰った。ラスボスを軽く睨みながら叫ぶ。


「ラスボス!! おのれぇええ〜〜〜!!」


「あははっ! 創造主様! 怒った顔も可愛いですよ!」


 ラスボスは軽口を叩きながら、地雷から逃亡していく。相変わらずクソはぇええ!!気付いたらこっちが息切れしていた。


「はぁはぁはぁ……」


「想像酒、お試しになりますか?」


「お試しになりません!! ボケェ〜〜〜!!」


 ラスボスとドンチャンやっていたら、ライルンがやってきて謝ってきた。


「すみません……なんかやっと落ち着きました。もう開き直ったっていうか、吹っ切れたっていうか……スカッとした!!」


 地雷をブン投げてスカッとしたって、どういう事やねん!!……とか思ったけど、元気になったならいいや!!


「おい、戦いは後二回あるぞ。気を引き締めないと」


 ぽたんちゃんの一言で我に返った。そうだった、そうだった!!モンスターの種類で、得意不得意が出ないように三回戦う事になっている。地雷としてはもう帰りたい所だが……。


「では、引き続き二回戦! 頑張って頂きましょう!!」


 司会のお姉さんが叫んだら、床が開いてモンスターが出てきた。……ジジイだった。

 このジジイはマジ、女の敵だった。


「なんじゃ、なんじゃ、貧相な身体じゃのう。もっと✳︎✳︎✳︎✳︎ボインボインのお姉さんが良かった」


「……はぁあああ〜??」


 ジジイのくせに何言ってんだこいつ!!そんなに✳︎✳︎✳︎✳︎ボインボインのお姉さんと仲良くしたいなら、金払って仲良くして貰え!!


「やめろっ!! 地雷の悪口はそこまでだ!!」


 ぽたんちゃんが叫んだ。……んっ?ちょっと待って!!


「なんで地雷になるの? そこはぽたんちゃんじゃ……」


「どうして私になるんだ!」


 そこから醜い争いに発展した。やれ、『大きさは重要ではない、形だ!!』……だの、『これから成長するんだ!!』……だの、言い合っていた。


「埒があかない!! 鎧を脱げ!! 真剣勝負だ!!」


「おういえ!!」


 二人で鎧を脱ぎあっているとライルンが止めに入った。


「公共の場で脱ぐのはやめて下さい!! だいたいアバターで競っても意味ないでしょう!! 現実世界のあなた達でも、そんなに差はありませんよ!!」


 司会のお姉さんが様子を見ていたが、現状が変わる事はないと判断して開始の合図をした。


「時間が押してますので開始とさせて頂きます!! 始め!!」


 案の定、女子達はまだ醜い争いを続けている。


「うひょひょひょ!! 貧乳の醜い争いだ……」


 うるせぇ!!セクハラジジイ!!てめーはちょっと黙っとけ!!

 気持ち悪く笑っていたクソジジイだったが、ラスボスの顔を見て表情が変わった。恐怖の声色で叫ぶ。


「ヒィイイイィ!! どうしてあなたがここに??」


 ラスボスは今までで一番、怖い顔でつぶやいた。


「冒険者には優しくしろと……あれほど言ったのに」


 ラスボスはライルンの方を向くと満面の笑みで言った。


「死神様! 野球しましょう!!」


「……はぁ」


「封印されし力のこもった巾着をお借りしてもよろしいでしょうか?」


 ラスボスはライルンの巾着から石を取ると、ジジイに投げつけた。


「くらえっ! 死神様の戯れだっ!!」


「ぐあっ!!」


 石が当たると相当痛かった様で、ジジイは当たった所を手でおさえている。ラスボスが小声でライルンに言う。


「さぁ、ライルンも……」


「サンダーストーン!!」


 ライルンの石がジジイに当たる。


「ギャッ!!」


 ジジイはダメージが大きくてしゃがみ込んでしまった。


「死神様!! 倒した方が負けです!!」


「普通、逆なんじゃ……」


 こうしてラスボスとライルンの石投げ制裁タイムがスタートした。


「ラスボスストーン」


「サンダーストーン」


「ラスボスストーン」


「サンダーストーン」


 石が当たるとジジイは身悶えながら悲鳴を上げていた。


「あぁあああ!! お許しを!! どうかお許しを!! まおうさ……ぐはっ!!」


「その名で呼ぶな!!」


 ラスボスが叫びながら石を投げたらジジイが力尽きた。


「勝者! 死神!!」


 司会のお姉さんが叫んだ後、ラスボスが残念そうにつぶやいた。

 

「あぁ〜あ。やっぱりイライラしながら石投げちゃダメだね。負けちゃった〜」

 


 女子達は露出狂の手前まで服を脱いでいた。これ以上脱いだら運営警察が来てしまう位、脱ぎまくっていた!!

 観客はラスボスとライルンが石を投げるたびに、一枚ずつ脱いでいると思っているようだ。


「ちょっ!! やめなさい!! バンされます!!」


 ライルンが止めに入って地雷は我に返った。ぽたんちゃんも同じだった様だ!!


「ジジイの策略かっ!! 恐るべし!!」


「……はっ!! そうだ!! ジジイは??」


 ぽたんちゃんと一緒にジジイを見たらジジイはくたばっていた。


「……私とした事が」


 ぽたんちゃんはうつむいて落ち込んでいた。元気のないぽたんちゃんに地雷は笑顔で言った。


「大丈夫!! 私達は……美乳だから!!」


「……そうだな」


 あとちょっとで裸の付き合いになりそうだった。でも、裸の付き合いは温泉とかでしようと思う。


「あいつら……やっぱり漫才やってるぜ!」


「そうだな……野球拳とか始めるし!!」


「止めに入る死神!! カッコいい!!」


 セクハラクソジジイの制裁タイムは、観客にも好評だったらしい。盛り上がっている観客の中で、呆れ顔で戦いを見つめている人物がいた。


「はぁ……相変わらずね」


 地雷の相方、そるとちゃんだった。

 

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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