VS女の敵
簀巻きから解放された地雷が、蜘蛛から逃れて仲間の元に帰った。ラスボスを軽く睨みながら叫ぶ。
「ラスボス!! おのれぇええ〜〜〜!!」
「あははっ! 創造主様! 怒った顔も可愛いですよ!」
ラスボスは軽口を叩きながら、地雷から逃亡していく。相変わらずクソはぇええ!!気付いたらこっちが息切れしていた。
「はぁはぁはぁ……」
「想像酒、お試しになりますか?」
「お試しになりません!! ボケェ〜〜〜!!」
ラスボスとドンチャンやっていたら、ライルンがやってきて謝ってきた。
「すみません……なんかやっと落ち着きました。もう開き直ったっていうか、吹っ切れたっていうか……スカッとした!!」
地雷をブン投げてスカッとしたって、どういう事やねん!!……とか思ったけど、元気になったならいいや!!
「おい、戦いは後二回あるぞ。気を引き締めないと」
ぽたんちゃんの一言で我に返った。そうだった、そうだった!!モンスターの種類で、得意不得意が出ないように三回戦う事になっている。地雷としてはもう帰りたい所だが……。
「では、引き続き二回戦! 頑張って頂きましょう!!」
司会のお姉さんが叫んだら、床が開いてモンスターが出てきた。……ジジイだった。
このジジイはマジ、女の敵だった。
「なんじゃ、なんじゃ、貧相な身体じゃのう。もっと✳︎✳︎✳︎✳︎ボインボインのお姉さんが良かった」
「……はぁあああ〜??」
ジジイのくせに何言ってんだこいつ!!そんなに✳︎✳︎✳︎✳︎ボインボインのお姉さんと仲良くしたいなら、金払って仲良くして貰え!!
「やめろっ!! 地雷の悪口はそこまでだ!!」
ぽたんちゃんが叫んだ。……んっ?ちょっと待って!!
「なんで地雷になるの? そこはぽたんちゃんじゃ……」
「どうして私になるんだ!」
そこから醜い争いに発展した。やれ、『大きさは重要ではない、形だ!!』……だの、『これから成長するんだ!!』……だの、言い合っていた。
「埒があかない!! 鎧を脱げ!! 真剣勝負だ!!」
「おういえ!!」
二人で鎧を脱ぎあっているとライルンが止めに入った。
「公共の場で脱ぐのはやめて下さい!! だいたいアバターで競っても意味ないでしょう!! 現実世界のあなた達でも、そんなに差はありませんよ!!」
司会のお姉さんが様子を見ていたが、現状が変わる事はないと判断して開始の合図をした。
「時間が押してますので開始とさせて頂きます!! 始め!!」
案の定、女子達はまだ醜い争いを続けている。
「うひょひょひょ!! 貧乳の醜い争いだ……」
うるせぇ!!セクハラジジイ!!てめーはちょっと黙っとけ!!
気持ち悪く笑っていたクソジジイだったが、ラスボスの顔を見て表情が変わった。恐怖の声色で叫ぶ。
「ヒィイイイィ!! どうしてあなたがここに??」
ラスボスは今までで一番、怖い顔でつぶやいた。
「冒険者には優しくしろと……あれほど言ったのに」
ラスボスはライルンの方を向くと満面の笑みで言った。
「死神様! 野球しましょう!!」
「……はぁ」
「封印されし力のこもった巾着をお借りしてもよろしいでしょうか?」
ラスボスはライルンの巾着から石を取ると、ジジイに投げつけた。
「くらえっ! 死神様の戯れだっ!!」
「ぐあっ!!」
石が当たると相当痛かった様で、ジジイは当たった所を手でおさえている。ラスボスが小声でライルンに言う。
「さぁ、ライルンも……」
「サンダーストーン!!」
ライルンの石がジジイに当たる。
「ギャッ!!」
ジジイはダメージが大きくてしゃがみ込んでしまった。
「死神様!! 倒した方が負けです!!」
「普通、逆なんじゃ……」
こうしてラスボスとライルンの石投げ制裁タイムがスタートした。
「ラスボスストーン」
「サンダーストーン」
「ラスボスストーン」
「サンダーストーン」
石が当たるとジジイは身悶えながら悲鳴を上げていた。
「あぁあああ!! お許しを!! どうかお許しを!! まおうさ……ぐはっ!!」
「その名で呼ぶな!!」
ラスボスが叫びながら石を投げたらジジイが力尽きた。
「勝者! 死神!!」
司会のお姉さんが叫んだ後、ラスボスが残念そうにつぶやいた。
「あぁ〜あ。やっぱりイライラしながら石投げちゃダメだね。負けちゃった〜」
女子達は露出狂の手前まで服を脱いでいた。これ以上脱いだら運営警察が来てしまう位、脱ぎまくっていた!!
観客はラスボスとライルンが石を投げるたびに、一枚ずつ脱いでいると思っているようだ。
「ちょっ!! やめなさい!! バンされます!!」
ライルンが止めに入って地雷は我に返った。ぽたんちゃんも同じだった様だ!!
「ジジイの策略かっ!! 恐るべし!!」
「……はっ!! そうだ!! ジジイは??」
ぽたんちゃんと一緒にジジイを見たらジジイはくたばっていた。
「……私とした事が」
ぽたんちゃんはうつむいて落ち込んでいた。元気のないぽたんちゃんに地雷は笑顔で言った。
「大丈夫!! 私達は……美乳だから!!」
「……そうだな」
あとちょっとで裸の付き合いになりそうだった。でも、裸の付き合いは温泉とかでしようと思う。
「あいつら……やっぱり漫才やってるぜ!」
「そうだな……野球拳とか始めるし!!」
「止めに入る死神!! カッコいい!!」
セクハラクソジジイの制裁タイムは、観客にも好評だったらしい。盛り上がっている観客の中で、呆れ顔で戦いを見つめている人物がいた。
「はぁ……相変わらずね」
地雷の相方、そるとちゃんだった。
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