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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
40/125

ご要望にお応えして……


 二番目、三番目のイケメン達は確かにイケメンだった。ただ、ローズさんのインパクトが強すぎて、イケメン度が霞んでしまっていた。ローズさんが男性だったら優勝だったかもしれない。


「ふぅ〜……ふぅ〜……」


「……ライルン、大丈夫?」


 順番が近づくにつれて、ライルンの息遣いが荒くなっていった。どうしよう、そろそろ出番なのに!!

 酸素ボンベを背負わせてあげたい位、心配だ!!


「ライルン、大丈夫! 大丈夫! これ飲んで!!」


 ラスボスがコップに水を入れて持って来た。なにげにライルンをもう呼び捨てにしている!!地雷は名前を言えるまでが長かったのに!!


「……ありがとうございます」


 ライルンはコップの水を飲み干すと急に立ち上がった。


「皆さん、何をしているんですか? もうそろそろ出番じゃないですか!」


「……へっ?」


 ライルンは会場裏の隅から移動して、舞台裏のすぐ近くまで歩いて行った。


「……うまくいったようですね」


「……ラスボス! まさか! そんなお約束な事、してないよね!?」


 ラスボスは片膝をついて、一本の瓶を地雷に献上した。


「ご要望にお応えして作らせて頂いた『想像酒』でございます」


「要望出してねーよ!」


 なんにせよ、ライルンが大丈夫そうになって良かったけど、急に変わりすぎじゃないか!?どういう事だ??


「こちらの『想像酒』は飲んだ者の理想になる事が可能なお酒になっております!! 3分しかもちませんが……」


「3分ってカップ麺かよ!!」


「いや、かの有名なアニメでは3分で怪獣を倒すそうですから上手く使えればよろしいかと……」


 アレだ……。そんなに都合良くは出来ていないって事だ!!でも、それでいいと思う……『想像酒』だし。


「さて、創造主様!! ぽたんさんと一緒に我々も参りましょう!! なぁ〜に……ライルンが舞台に上がってしまえば、こちらのものですよ!!」


 地雷にウィンクしながらラスボスが言う。あぁっ!!やめろやめろぉ!!イケメンのウィンクはまぶしすぎる!!


 そんな事してたら、いよいよ順番がまわってきた!司会のお姉さんが叫ぶ。


「それではドンドンいきましょう!! エントリーナンバー4番! 死神さんお願いします!!」


 ライルンは堂々と舞台に上がっていく。……よしよし、その調子だ!!頑張れー!!

 私達三人もライルンの後ろについて舞台に上がった。

 四人揃ったタイミングで、地雷は首元のネックレスのボタンを押した。声剣から声が響く。


「名は死神としておこう。君達の魂を管理している者だ。間違っても私の顔を見ようなどとは考えない方が良い。魂を吸い取ってしまうぞ? ハハハハ!!」


 声が流れ終わったあたりから、ライルンの足がガクガク震えてきた。帽子を深く被って肩も震えてる。

 ぽたんちゃんはライルンを哀れんだ瞳で見つめていた。

やばい!酒の効果が切れたんだ!!フォローしなきゃ!!

 地雷はちょっと後ろを向いてネックレスに話しかける。


「今、隠された力が暴走している!! ぐぁああぁああ!!」


 ライルンの力が暴走している事にした!!


「……あの、次の段階に移っても大丈夫でしょうか?」


 司会のお姉さんが困っているみたいだったので、ラスボスがフォローに入る!!


「あっ、大丈夫です! 通常運転ですので! どーぞどーぞ!!」


 司会のお姉さんは気を取り直して叫んだ!!


「ではっ!! アピールタイムに入らせて頂きます!! モンスターと戦って下さ〜い!!」


 例のごとく、床が開いてモンスターが『こんにちは』して来た!!モンスターを見て、地雷は思わずつぶやいた。


「……ゲッ。マジで??」


 それは、地雷の大嫌いな蜘蛛だった。まぁ〜た、害虫駆除かよ……。城でのトラウマを思い出す。しかも今回の蜘蛛は、気持ち悪さパワーアップの光る蜘蛛になっていた!ルノールの店みたいに派手派手ピカピカの蜘蛛で絶対触りたくない!!


「ある意味、回復役で良かった……」


 地雷はつぶやいて、ない胸を撫で下ろした。あんな『暗闇でも光るんデス!!』……みたいな蜘蛛に張り付いていたくない。


「ではっ!! 始めっ!!」


 司会のお姉さんが叫んだ後、蜘蛛がカサカサ動き出した!!あぁ……もう、ホントきめぇええ!!誰か巨大ハエ叩きで退治して欲しい!!

 おっと、そんな事より回復役だった!!集中、集中!!


「補助魔法はやるから、回復だけして」


 ぽたんちゃんが地雷に声をかけてくれた!!やはりガチ勢は頼りになるっ!!ぽたんちゃんは蜘蛛を弓で攻撃しつつ、状態異常ガードとか、魔法耐性を下げたりとかしてくれた!!


「私はなんか適当に魔法撃ってますね!」


 ラスボスは紫色っぽい魔法とか、黒っぽい魔法とか撃っていた。魔王設定だから闇属性なのかな??


「ヒュ〜……ヒュ〜……」


 ライルンは息遣いも荒い感じで、その場に座り込んでブルブルと震えていた。とても前衛出来そうな感じではない。やばい!!めっちゃ緊張しとる!!


「あっ!! やべっ!!」


 ライルンに気を取られていたら蜘蛛の糸の攻撃をモロにくらい、縛られて身動きが取れなくなった。


「ああぁああ!! またこのパターン!? 棺桶必須なんですけどぉおおーーー!?」


 今回も寝袋みたいな感じで、簀巻きみたいな状態のままジャンプした。


「誰か助けてーーー!!」


 いや、回復役が叫ぶセリフじゃないよね??むしろパーティー組んでるメンバーが叫びたいセリフだよ。

 ヤケクソになって、ふとラスボスを見たら悪い顔で笑いながら地雷を見つめていた。……ヤバイ!!地雷は直感でそう感じた。


「創造主様。出過ぎた真似とは思いますが……失礼します」


 ラスボスは小声で言うと、地雷をお姫様抱っこし始めた。なんだなんだ!?こんな格好でお姫様抱っこされても、ときめかないぞ!?

 ラスボスはライルンの前に行くと地雷を献上した。


「主様!! 隠された力を……今!! 解き放つのです!! どうかこちらで怒りをお納め下さい!!」


 ライルンは無言でラスボスから地雷を受け取ると、蜘蛛に向かって狙いを定めた。


「ちょっ……ライルン??」


 ライルンから、なぜか地雷に向かっての怒りの波動を感じた。ライルンは覚悟を決めて叫んだ!!


「くらぇえええ〜〜!! 核地雷ーーー!!」


 凄い力で蜘蛛に向かって地雷を投げつけた!!


「ぎゃあああああぁあぁ〜〜〜!!」


 会場に地雷の叫びが響き渡った。地雷がっ……地雷が何したってんだぁああ〜〜!!隠された力とかあるかボケェ〜〜!!ただの緊張からの震えだぁああ〜〜!!


 案の定、蜘蛛は一撃で倒れた。


「勝者! 死神!!」


 司会のお姉さんが手を上げながら叫んだ。


「なんだあいつら……コントみたいだな!」


「ネタでやってんだろ。いいぞー! やれやれ〜」


「死神……かっこいい!!」


 観客は漫才でもやっていると思っているようだ。子供たちは羨望の眼差しでライルンを見つめている。


「ふひゃははははは!!」


 ルノールは観客席で腹を抱えて笑っていた。やっぱりなんか腹立つ〜〜〜。



読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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