バラの使い手
ローズさんはバックに薔薇を背負っていた。
「こんにちは皆さん! 初めまして! ローズです!」
ローズさんは背景ではなく、本当に薔薇を背負っていた。綺麗な制服の肩パッドから薔薇が生えている。
「趣味はガーデニングです」
ガーデニングが趣味だからって、肩パッドから薔薇を生やしている人を地雷は初めて見た!!顔を動かしたら棘が顔に刺さりそうだ!!
「私の家族を紹介します。メガネと、トラと、ハルです」
眼鏡をかけた冒険者と、虎のモンスターが二匹仲良くじゃれあって遊んでいた。とても仲が良さそうだ。
「では、実際にモンスターと戦って頂き、観客にアピールして頂きます!!」
司会のお姉さんが叫ぶと、会場の床が開いてモンスターが出てきた!!大きい巨人みたいなモンスターだ!!
「では! 始めっ!!」
モンスターが棍棒を振り回して来た!!ローズさんは華麗に攻撃をよける!!さりげなく顔の横にある棘もよける!!
「すっ……凄い!! 顔の横にある棘にあたらない!!」
「注目する所はそこなのか?」
ぽたんちゃんのツッコミが入る。
「うわぁあああ!!」
メガネさんが敵の攻撃を受けて倒れ込んだ。ローズさんはすかさず彼の前に出ると、叫んだ!!
「くらえっ!! 豚バラ肉スライス!! 653円!!」
ローズさんの周りに竜巻が起きて、豚バラスライスが飛び散っていく!! 凄い勿体ない!!
飛び散った豚バラスライスが大きい巨人モンスターに張り付いた!!
「行きなさい!! トラッ!! ハルッ!!」
張り付いた豚バラスライスめがけて二匹の虎が巨人モンスターに食いついていく!!
「ウヲォオオオウ!!」
モンスターが悲鳴を上げた!効果はバツグンだ!!
ローズさんの勢いは止まらない!!
「豚ローズ厚切り!! 698円!!」
豚ローズじゃなくて豚ロースだよね?……という、地雷の思いはきっとローズさんには届かない!!
彼は豚ロースを手裏剣みたいに投げてモンスターに張り付けた!!
「トラッ!! ハルッ!! 今日はご馳走よっ!!」
二匹の虎は尻尾を振り、豚ロースめがけてモンスターに突撃していく!!
「ギャオォウオォ〜」
モンスターは相当なダメージを受けている。ローズさんは一気に畳み掛ける!!
「さぁっ!! メインディッシュ!! 行くわよ!!」
ローズさんは重い塊みたいなのをモンスターに投げつけながら叫んだ!!
「豚バラブロック!! 1980円!!」
豚バラブロックがモンスターに当たり、重さでモンスターが倒れた!!モンスターに乗っかった豚バラブロックを目掛けて二匹の虎が飛びついた!!
……その内、豚バラブロックの取り合いになってモンスターの上で喧嘩を始めた!!
「コラッ!! トラッ!! ハルッ!! 喧嘩はよしなさい!!」
ご主人に怒られて、二匹の虎は喧嘩するのをやめた。モンスターは見事に力尽きていた。
ちなみに、床に飛び散った豚バラスライスは、虎達がしっかり食べて片付けたようだ。
「勝者!! ローズ!!」
司会のお姉さんが手を上げながら、ローズさんの勝利を観客に伝えた。
観客に向かってローズさんは笑顔で叫ぶ!
「火曜、土曜は、牛乳と卵の日!! 主婦の力を見せつけてやったわ!!」
『主婦』という単語を聞いて、男性スタッフが動き出した。男性スタッフがローズさんに尋ねる。
「ローズさん……あの、もしかして女性の方ですか?」
「……そうだけど?」
「あの……すみませんが。プリンスコンテストは男性のみの参加です」
「はぁああぁあ〜??」
横にいたメガネさんがローズさんに話しかけた。
「ほらっ! やっぱりダメだったじゃないか! 僕は女だからきっとダメだって反対したろ?」
メガネさんにローズさんは対抗する。
「顔だけのイケメンより、いつも頑張ってる主婦の方が、よっぽどイケメンじゃない!?」
「いやまぁ……それはそうだけど」
有無を言わさず、ローズさんは男性スタッフ二名に引きずらる形で会場を後にした。
「いつも家が綺麗で、美味しい料理が出てくる事を、当たり前と思うな!! バカヤロー!!」
ローズさんは失格になってしまったけれど、多くの主婦を味方につけたと思う!!主婦(主夫)は、当たり前に思われがちな仕事だけど、そんな事はない!!
全国の主婦(主夫)はイケメンだっ!!間違いない!!
「ローズさんも楽しい人だったね! 今度料理教えて貰おうかなぁー!!」
地雷が楽しそうに言うと、ぽたんちゃんは何だか複雑な表情でつぶやいた。
「うちのチームは本当に変わっている奴が多い……もしかして、私も……変わっている……のか??」
思い悩んでいるぽたんちゃんをよそに、地雷はローズさんの真似をしていた。
「豚バラ肉!! 698円!!」
自分の腹の肉を摘みながら、ラスボスに言ったらラスボスが吹き出した。
「創造主様!! さすがにそれは食べられません!!」
三人はこんな感じで平常運転だったが、ライルンはだいぶヤバい状態になっていた。会場裏の隅の方で体育座りをして、床を見ながらなにやらブツブツつぶやいている。
「僕は雷神……僕は雷神……大丈夫……大丈夫……僕は雷神……」
「えっ? ライ人??」
地雷の声も届いていない様だ。凄い緊張してる……。大丈夫かなぁ??
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