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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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プリンスコンテスト


 待ちに待ったプリンスコンテストの日が来た!!ライルンは地雷があげた剣と、声剣を腰に差して歩いている。だが、本日の主役だというのにライルンは気が重そうだ。


「なぜ……よりによって、この街でプリンスコンテストなんでしょうか?」


「いいじゃん!! 有名人は有利だよっ!!」


「……はぁ」


 プリンスコンテストが行なわれる場所は、ライルンが棺桶を運んで有名になった街だった。


「あっ!! 死神だぞっ!!」


「怖ーい!! 魂、取られちゃう〜〜!!」


 街の子ども達がライルンをはやしたてるので、ライルンは出来るだけ隅を歩いている。


「……もう、帰りたい」


「今夜は……君を、帰さない!!」


「……まだそんなドラマみたいなセリフ言ってるんですか?」


「死ぬまで言う!! 推しに!!」


 地雷に何を言っても無駄だとわかっているライルンは、無言でプリンスコンテスト会場に向かった。

 会場では、ぽたんちゃんが斜に構えながら待っていた。


「ぽたんちゃん! 今日はよろしくー!!」


「うぃ」


「来て頂いてありがとうございます」


 ぽたんちゃんは珍しく弓を装備していた。


「ぽたんちゃん、遠距離武器って珍しい!! いつも剣とか、斧とか、近接武器なのに!!」


「近接武器はある程度揃えている。だからあえて弓だったんだろうな……」


「……えっ?」


「いや、すまない。こちらの話だ」


 ちょっと遅れてチムリもやって来た。よしっ!!これでバッチリ!!って思ってたらチムリが言った。


「……ごめん。急遽リアルで仕事入っちゃった!!」


 な、な、な、なんだってぇええぇー!!チムリがいない地雷だけの回復パーティーなんて、棺桶祭り必須だよ!!


「そうですか。お仕事、頑張って下さい!」


 淡々とライルンが言う。平静を装って、地雷もチムリを送り出した。


「わかった! お仕事頑張ってー!」


 動揺して、ちょっと声が裏返ったかもしれない。チムリは申し訳なさそうにログアウトしていった。

 

 動揺している地雷を見て、ライルンは言った。


「やれるだけ練習したんですから、後は気を楽にしてやって下さい。僕としてはプリンスコンテストに出場出来れば目的は達成出来ますから」


「ライルン……」


「あとはまぁ……自由に楽しんで下さい」


「……わかった!!」


 せっかく、ライルンのプリンスコンテストなんだ!!楽しまなくちゃ損だ!!もしかしたらもしかして……ライルンの素顔を見れるかもだし!!


 

「創造主様!! ご機嫌麗しゅう存じます!」


「あっ、ラスボス〜! お久しぶり〜!」


 ラスボスが地雷を見つけてやって来た。相変わらず片膝をついて挨拶している。ライルンとぽたんちゃんは何だか驚いていた。

 ぽたんちゃんが思わず地雷に言う。


「ついにホストに貢ぎ始めたのか?」


「ちっがーう! ちっがーうよっ!! だいたい貢げる程金がない!!」


「……それもそうか」


 ラスボスは、二人にも片膝をついて挨拶をした。


「ラスボスです。 どうぞよろしくお願いします」


「なんだナルシストか。リュウみたいだな。よろしく」


「よろしくお願いします」


 リュウさんはナルシストだったのか!?思わずぽたんちゃんに聞いてしまう。


「リュウさんはナルシストなの!?」


「あいつはマジもんのナルシストだ。鏡を見て『どの角度が一番、カッコよく見える角度か教えてくれ!!』とか言うんだぞ?」


「……それは内緒にしておいた方が良かったのでは?」


 思わずライルンのフォローが入る。


 ラスボスが暇そうだったのでナンパした。ラスボスは嬉しそうに私達のパーティーに参加してくれた。やっぱり寂しがりやのプレイヤーなんだと思う。


 こうしてめでたく四人パーティーが確立したので、みんなで受付をすませる。用紙に名前と職業を書くだけだから簡単だ!!


「ちょっと!! なんですか職業『魔王』って!! ふざけないで下さい!!」


「えーっ! ダメ〜〜??」


 ラスボスは受付のお姉さんに怒られていた。彼はまだ『魔王』設定らしい。

 受付をすませたら、パンフレットを貰う事が出来た。私達は四番目みたいだ。会場の裏方に行って順番を待つ。


「僕は『死神』だから四番目なんですよね? きっとそうなんですよね?? はぁ〜……」


 ライルンのネガティブ度はMAXだ!!



 司会のお姉さんが手を上げて観客に向かって叫んだ。

 

「皆様!! お待たせ致しました!! それではプリンスコンテストを始めさせて頂きまーす!!」


「キャーッ!! 待ってましたぁ!!」


「イケメン!! イケメン!!」


「ヒューヒュー!!」


 会場は凄い盛り上がりをみせていた。その会場を見て、ライルンは緊張し始めてしまった。


「あぁ……、この雰囲気、この状況……本当に無理……帰りたい……」


「大丈夫! 大丈夫! ライルンはただ立っていれば大丈夫だから!! セリフは地雷が言うから!!」


「……頼みましたよ? 普通でお願いしますね!」


「大丈夫! 大丈夫!」


 ライルンの背中をさすりながら励ます。

 声剣とツインになっているネックレスは地雷がつけていて、ライルンの声と同じ設定にしてある。

 ボタンを押すと声剣から地雷の考えた言葉が聞こえるという仕組みだ。ちなみにちょっとした言葉なら、ネックレスに直接話かければ対応可能だ。


「それでは早速、いってみましょう!! エントリーナンバー1番!! ローズさんお願いします!!」


 宝塚にいそうな、凛々しい目をした赤髪の人が会場に出て行った。……あれ?何か見た事ある様な??


「あれっ……。あの人どっかで……」


 地雷が言ったらぽたんちゃんが言った。


「この間、うちのチームに入った人だ。まだあまり話した事はないが……」

 


 


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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