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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
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魔法使いの誘い


「今、お時間ありますか?」


 魔法使いから、突然のラブコールが届いた。とてつもなく珍しい事だ。なんとく……先日見た夢の事を思い出す。


 

「お願いします。あなたの力が必要なんです」


 夢の中で魔法使いはそう言っていた。まさか正夢だったりするんだろうか??


「なになに〜? 全然、フリーだよライルン!!」


 どさくさに紛れて名前で呼んでみた!!


「僕の家に招待してもよろしいですか?」


 な、な、な、何だとーーー!?イケメンの家に、ご招待されちゃっただと!?!?……あっ、でも、チムリもいるんだった!!


「はいっ! 喜んでーー!!」


 居酒屋のかけ声みたいな返事をした。



 ライルンの家は凄くかわいい家だった!!ちなみにチムリは不在のようだ。ぬいぐるみが所々にあって、絵本とか本が沢山あった。ぬいぐるみはお手製らしい!!女子力たかっ!!


「うぉおおおぉお!! なんか凄いかわいい!!」


「……ありがとうございます」


 そういやライルンは男だった。かわいいとか言って大丈夫だったんだろうか。まぁいいや〜。

 ライルンは奥から強そうな立派な剣を出して来た。


「お願いがあります……」


「お願い??」


 まさか正夢だったりするの??でも、地雷の力なんてライルンの1/1000じゃないか??


「この剣とあなたが持っている剣を交換していただけませんか??」


「……えっ?」


 地雷の力とか関係なかったぁああ!!いやいやいや、それよりも!!こぉ〜んなどこにでもありそうな剣と、スゲー剣を交換ってどういう事!?


「別に構わないけど、こんな剣欲しいの?? 一体どういう心境??」


 ライルンはちょっと言いづらそうに答えた。


「あなたにはもう必要がないと思いますし……なんて言うか、その……」


「うんうん」


 ライルンはちょっと悩んで続けて言った。


「あっ……そうそう。ちょっと前衛をしてみたくなりまして」


「戦士って事!?」


「そうです」


 まぁ、ライルンなら前衛だろうが、後衛だろうが、どっちでもこなせそうだ。


「でもそれならライルンが今持ってる剣で戦った方がいいんじゃない?? きっとかっこいいよ」


「僕は……」


 少し言葉に詰まりながらライルンは言った。


「困難に立ち向かうあなたの姿を見て……とても感動しました。心からそう思います。だからお守りとしてその剣が

欲しいのです」


「えっ!? なんかありがとう」


 凄く凄く嬉しいけど……地雷、何かしたっけ?


「じゃあこの剣はライルンにあげるよ!! あと、その強そうな立派な剣はいらない!!」


「いやいや、そういう訳には……」


「だってそんな強そうで立派な剣なんて地雷に似合わないし! 剣が一人で歩いてるみたいになるよ!! 想像してみ??」


 ライルンはちょっと上を向いて、立派な剣を差した地雷を想像した。


「……確かに何か違いますね」


「でしょでしょ!?」


「じゃあ僕はどうしたらいいでしょう?」


「あっ!! じゃあ一つだけお願いっ!!」


 目をギラギラさせながらライルンに言った。


「他の部屋も見せてっ!! 凄いセンスいい部屋だと思うから見てみたい!!」


「……そんな事でいいんですか?」


「オッケー!! オッケー!!」


 こうしてライルンの部屋をバタバタと徘徊した。予想通りセンスのいい、かわいい部屋が多かった。マジでここに住みたい位だ!!

 地雷は万年金欠なので貰い物の家具と、イベントの家具で、まとまりのない家になっている。散らかっている訳ではないがセンスは0だ。


「ねぇねぇ!! ここにある本、少し見ていいかな??」


「……どうぞ」


「やったー! ありがとう!!」


「ちょっとお茶持ってきますね」


 ライルンはお茶を淹れに行った。真面目なライルンらしく、各職業の戦い方の本みたいなのがずら〜っと並べてあった。

 地雷はそれとなく……回復職の本を手に取って眺めていた。なんとなく先生を思い出すからだ。



 

「やってみたいですか? 回復役……」


 お盆にお茶をのせてライルンが戻ってきた。


「まぁ〜。正直、ちょっとは興味あるけど……」


 先生がどんな気持ちで回復役をやっているのか知りたい気もする。……でも、多分地雷がやったら迷惑かけまくってしまうだろう。前科ありだし!!


「またライルンに棺桶運ばせちゃうかもだし!! 無理無理〜!!」


 地雷がそう言って笑うと、ライルンはちょっと考えて言ってくれた。


「棺桶ぐらい何回でも運びますよ」


「……えっ!?」


 ど、ど、ど、どうしちゃったの!?ライルン!!どちらかというとそるとちゃんと同じで塩対応だったのに!!


「じゃあ今度一緒にやりましょう」


「あっ……ありがとう」


 なんだか動揺しながら本を棚に戻そうとしたら、並んでいる本の上にあった薄い本が棚から落ちてきた。

 地雷が拾おうと思ったら、凄い勢いでライルンがその本を取り上げた。


「……」


「……」


 そういえば絵本とか小説を書くって言ってたっけ。制作途中だと人に見られたくないよね。地雷も恋愛小説書いたりするしわかるなー。

 ライルンは薄い本を奥の方にしまって、地雷にお茶を出してくれた。お茶を飲みながら聞いてみる。


「そういえば創作趣味だって言ってたよね? やっぱりハッピーエンドのお話書けないの?」


 ライルンは少し考えて答えてくれた。


「なんていうんですかねぇ……。現実は、こう上手くいかないだろうなぁ〜って思ってしまうんですよねぇ」


「ふむふむ」


「それで結末を現実的に考えてしまって……。傷つく登場人物に感情移入しすぎて筆を折ってしまいます」


「……なるほど。ライルンは優しいんだね」


「……優しい?」


 ちょっとびっくりした感じでライルンはつぶやいた。地雷は更に言葉を続ける。


「繊細なんだよ。自分の事じゃないのに、他人の事まで想って傷ついてしまうんだ。だから辛いんだね」


「……そう、なんですかね?」


「そうだよ。だから他の人より心のダメージを受けやすい」


「……」


 ライルンは黙ってしまった。どうしよう……ネガティブな事ばっか言ってしまったかな??


「えっと、考え方を変えるといいと思うよ。大きい光を感じる為には、深い闇も知らないといけないんだ」


「深い闇を知る……?」


 ライルンが会話に食いついた!!


「ハッピーエンドになるまでには、辛い事や悲しい事がどれだけ大変だったか描かないといけないんだ。そういう闇の部分があるから光が引き立って大きい光になる!!」


「なるほど、一理あります」


 よしよし!!前向きになってきた!!


「だから今は……闇を知る時なんだと思う!! 物書きには必要な経験だったと捉えたら??」


「物書きに必要……」


 ライルンはつぶやいて考えこんでしまった。やっぱり真面目すぎるタイプな気がする。


「だからそう考えすぎずに気楽にやりなよっ!!」


 ライルンの肩をバーン!!って叩いたら、ちょうどお茶飲んでたタイミングだったみたいでライルンはお茶を吹き出した。


「ブハッ!!」


「あっ、ごめん!」


 なんだか今日はライルンと凄く仲良くなって良かった!

読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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