地雷、宗教勧誘を受ける
「お探ししておりました!」
「……えっ?」
めっちゃドストライクなイケメンに声をかけられた。なんだなんだ!?新手のナンパの手口か??彼は片膝ついて熱視線を地雷に向ける。
「私達に『心』という、素晴らしい贈り物をくださりありがとうございました。我らが創造主……」
はっ!?何、言っちゃってんの??このイケメン!!想像酒ってなんの酒だよ!!
「えっ!? 想像酒?? ナニソレ美味しいの??」
彼は一瞬キョトンとすると吹き出した。
「あはははははは! さすが我らが愉快な創造主だ!!」
「……」
あぁ!!これはアレだ!?ナンパに見せかけての宗教勧誘だ!!高い数珠とか、高い像とかを売って……『これであなたも幸せになれマッシュ!!』とか言われるんだ!!
「すいません! 万年金欠なんで間に合ってマッシュ!」
「あっ……待って!!」
イケメンの雰囲気に流されない内に退散しようとしたらめっちゃ追いかけてくる!!しかもクソ速えぇ!!魔法使いかよ!!ナニコレモテ期!?モテ期キターー!?
って、そんな訳ないよねーデスヨネ〜……。
「はぁはぁはぁ……」
「いい運動になりましたね〜! あはは〜!!」
走るのをやめてイケメン見たらめっちゃ笑ってるし!!なんだかNow loadingの気持ちがわかるわぁ〜。
「あの……地雷に何か用でしょうか?」
「用って訳ではありませんが、我らの神を一目見ておきたくて!!」
「……はぁ」
なんだかイッちゃってんなコイツ。イケメンなのに勿体ない……。
「私は……私の名前は……そう! ラスボス!! ラスボスと申します」
「ラッ……ラスボス」
また変わった名前のプレイヤー名だなぁ。なんか魔王みたいだ。
「なんか魔王みたい」
「あっ、そうなんです。魔王なんです」
魔王設定キタコレ!ある意味ミコトよりヤベー奴だよ。
「えっと……魔王さん。地雷はどうしたら良いでしょう」
「フレ登録お願いします! 私の出番はまだまだまだまだ先だし、冒険者って憧れだったので!!」
「……はぁ」
設定までキッチリなりきってるよ!!マジ凄いわ!!
悪い事はされなそうなのでフレ登録した。
「ありがとう!!」
ラスボスは無邪気に笑っていた。彼はポケットから数珠を取り出すと地雷に渡してきた。やっぱりなんとか商法!?
「ちょっ……買えないよ!?」
「いやいや、あげますよ! プレゼント!!」
「……えっ??」
……やっぱりナンパだったのかな??期待しちゃうぞ!!コノヤロ〜〜!!
「これはあなたの欲しい人の心を手に入れる事が出来ます」
「ふむふむ」
タダで貰えるし、彼の熱い設定のアイテム説明をしっかり聞いてあげよう。多分、彼は話を聞いて欲しいだけの寂しがりやなんだと思う。
「ただ一人をずっとそばで感じる事が出来ます。いつでもどこでも、〇〇の心!!と叫べばその人を召喚する事が出来ます」
「召喚出来る!? モンスターじゃなくて人を!?」
「はい。召喚出来ます。基本的には一定時間で消えてしまいますが……」
ふぅ〜む。人間召喚バージョンか!!そんなアイテムってあったかな〜??最近出来たのかな??
「わかった!! ありがとうラスボス!!」
「でも、一つ注意があります。たった一人の心しか手に入れられません」
今までずっと無邪気に笑っていたラスボスが、急に凄い悪い顔をしながら言った。
「あなたは誰とずっとずっと一緒にいたいと思いますか?誰の心が欲しいですか??」
パッと浮かんだのはやっぱりそるとちゃんだ。これからも、ずっとずっと一緒にいたい。ずっとずっと仲良くしていきたい!!死ぬまで面倒みて貰っちゃお!!
……でも、なんだか、そるとちゃんを選んだらいけないような気がした。
「……」
地雷が答えられないでいると、悪い顔したラスボスが無邪気な笑顔に戻った。
「まぁ!! ゆっくり考えるといいと思いますよ!! それじゃあまた!!」
手を振りながらラスボスは街に消えていった。
◇
そるとはぽたんの家の扉をノックしていた。
「こんにちは。ぽたんさん、いますか?」
扉が開いてガチ勢のぽたんが顔を出した。
「うぃ。どうした?」
「ちょっとお願いがあって来ました。今、お時間空いてますか……??」
ぽたんは無言で家の扉を大きく開き、そるとを家の中に招待した。
「お邪魔します」
軽くお辞儀をしながら家に入ると、ぽたんに勧められるまま椅子に座る。
そるとは、一本の弓を机の上に置くと話し始めた。
「この弓を差し上げるので、たまに地雷と遊んでやってくれませんか?」
ぽたんは不思議そうな表情をしながら答える。
「それは全然構わない。今までもそうしてきたし、これからもそうする。だから武器なんていらないぞ」
机の上の弓を手に取ると続けてぽたんは話す。
「状態異常スキル理論値の弓……いい弓だ。売れば高いだろう。余計貰えん」
そるとは笑顔で言葉を返す。
「まぁ……そう言うと思ってました。実は仕事が忙しくなってきてあまり遊んでやれなくなってきたので」
「そうなのか」
「はい。……それにあの子は私にべったりで凄いシスコンになってしまいました。私がいなくても大丈夫な様に少しずつ練習させる事にしたんです」
「なるほど……確かにな。わかった」
そるとは続けてぽたんにお願いをする。
「なのでこれは気持ちとして受け取っていただけませんか??」
ぽたんは真剣なそるとの表情を見て答えた。
「わかった。これは頂いておこう。ありがとう」
「いえ!! こちらこそありがとうございます」
そるとは再びお辞儀をして、ぽたんの家を後にした。
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