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明日は檜になろう  作者: 夜空雷流
第二章
31/125

プロローグ


「……願い……ます。あ……の……ちか……必な……す」


 えっ!?なになに!?何か言った??聞き慣れた魔法使いの声が地雷の頭に響いてくる。


「お願いします。あなたの力が必要なんです」


 あっ!今度は良く聞こえた!!

 ……でも、あの最強の魔法使いが地雷に助けて欲しい事なんてあるんだろうか??

 ないない!!地雷がむしろ助けて欲しいよ〜!!



 ジリリリリリリ!!

 

 目覚まし時計で目を覚ます。急がないと会社に遅刻してしまう!!コーンフレークを口に押し込んで、パンを鞄に詰め込んで会社に行く!!


「おはようございます!!」


「あ〜……。もう準備終わったし、どっか行ってくんない?」


「わっ、わかりました」


 地雷はいじめられていた。優しい人が多い職場だったがただ一人仕事に関係なくストレスの吐け口にする人がいた。しかも人前ではやらず、地雷一人にだけいじわるをする。

 引きこもりから就職をすればゴールだと思っていたが甘かったようだ……。タバコを吸いながら睨みつけられる。


「あ〜! もうホント邪魔!!」


 地雷のスリッパを目の前で蹴っ飛ばされる。立ち尽くしているとすれ違い様に耳元で言われる。


「……潰す」


 怖ぇええー!!社会、怖いよーーー!!

 そるとちゃんと先生がいなかったら多分二週間で辞めている。我慢出来なくてそるとちゃんに相談したら彼女は言った。


「そんな所、辞めなさい」


 きっとそるとちゃんならそう言ってくれると思っていた。でも、やっと社会に戻れたのだ。


「ありがとう! そるとちゃん! でも、やっと働けるようになったから出来る所までやってみる」


「……無理しないようにね」


「うん!!」


 正直、無理はしている。三日に一回は泣いているし、辛い時は心で『死なない 死なない 死なない』とかつぶやいている。

 休みの日もゲームを楽しくプレイ出来ない。考えない様にしても、考えてしまう……。

 それでも、とりあえず会社に行けば……仕事は終わる。一日一日を行ければ良しとしている……そんな状態だ。


「むしろ地雷を助けてくれよ〜! ライルン!!」


 独り言を言ってみる。

 お得意の『サンダーなんとか』で、いじめてくる人をおしおきして欲しい!!

 それと……そろそろ名前で呼んでも大丈夫だろうか??きっと地雷に苦手意識あったと思うけど、慣れてくれたよね??





 いじめられる様になって、だんだんゲームをする心の余裕がなくなってきた。休みの日は、ベッドに横になって何もしないで寝たきりになっている。

 らくがき帳に『死なない 死なない 死なない』とか書いたり、隅っこで三角座りをしていたり、いよいよ精神的にキツくなってきた。


「あ〜……。今日も何か言われるんだろうなぁ」


 そう思いながら会社に行ったら、地雷のシンデレラストーリーが始まった。

 そう!!運命の王子様がっ!!

 ……そんな人はいなかった。人生は厳しいらしい。

 そのかわり、現実世界の魔法使いが地雷に話しかけてきた。


「はじめまして! 少しお話いいですか?」


 現実世界の魔法使いは女性で、会社のエライ人だった。凄い綺麗な女神みたいな人で、彼女が歩くとヒールから『カツカツカツ』ってカッコいい音がした。


「単刀直入に言いますが、接客をやってみませんか?」


「……接客ですか?」


 元、前髪のれんだった人間が接客業って大丈夫なんだろうか……?


「今、接客やってる人が怪我をしたり、退職になったりで凄く凄く大変なの!! 人が足りなくて!! お願い、助けて頂戴!!」


 自信はないけど……いじめられるより全然マシッ!!

 そう思って正直、地雷は逃げた。こうして接客業にジョブチェンジしたのだった。


 

「すみません、ここから駅まで徒歩で何分ですか?」


 お客様に突然声をかけられて、テンパる地雷!!


「えっ……えっと……」


 先輩の男性社員の方が、カウンター下でピースをしてくれた。


「あっ……にっ、二分です!!」


「……えっ?」


 先輩の男性社員がすかさずフォローに入る。


「……すみません。二十分です」


 よく考えればわかる事なのだが、あがりまくってテンパっている地雷にはハードルが高すぎた。

 こんな調子なので先輩達にこう言われる。


「新しく入った奴……やべぇ……」


 当たりが強く感じる気がした。でも、それは地雷が仕事が出来ないから仕方のない事だ。いじめではない。怒られるのも仕事の事なので納得出来る。


「はいっ! ごめんなさい! 気をつけます!」


 そう言って反省して、ひたすらメモをとって家でそのメモをわかりやすくまとめた。こうして少しずつマシになっていった。

 その内、言われてもあまりめげないので先輩達にこう言われる様になった。


「あいつは心臓に毛が生えてる……」


 こんな感じで心に余裕が出来たので、無事またゲームを楽しめる様になった。




 

 


読んで頂いてありがとうございます!!楽しい作品になるよう頑張っています!!良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします!

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